(一社)建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)は、2022年度に会員企業等を対象に行った「働き方改革における週休2日制、専門工事業の適正な評価に関する調査結果」を公表した。
まず、平均給与額は登録基幹技能者が41万853円(前年度調査39万9,486円)、職長が36万7,857円(同38万812円)、日本人技能労働者は30万9,375円(同32万7,109円)で、意外なことに登録基幹技能者を除いて賃金は減少傾向となったことが明らかになった。
休日設定は「4週6休程度」が最も多い
就業規則による休日設定では、「4週6休程度」が37. 4%と最も多く、前年と比較すると休日数が多い企業が増加。社員数が増えるほど、「4週8休以上」を設定する割合が高く、「100 人~299人」では約61.0%、「300人以上」では72. 7%と最も多い。

就業規則による休日設定
しかし、実際に取得できている休日は「4週8休以上」が約12%で、 就業規則で決められている休日数(「4週8休以上」24. 8%)を大きく下回り、公共・民間別で見ると、公共工事を主体とする企業のほうが休日の取得が進んでいる。
週休2日制を導入できない理由としては、「適切な工期が確保できないため」が 71. 9%と圧倒的に多く、次いで「人手不足のため」「元請企業が休ませてくれないため」が、40%台で続く。請負階層別では、「1次下請」の5割が「元請企業が休ませてくれない」ことを導入していない理由として挙げている。
週休2日制の定着に必要な条件としては、「適正な工期」「労務単価のアップ」が6割と多く、「十分な人手の確保」がそれに続く。請負階層別で見ると、「元請」では「十分な人手の確保」「1次下請」と「2次下請」では「労務単価のアップ」が最も多い。

週休2日制の定着に必要な条件
時間外労働の上限規制は3割が未周知
2024年4月から、「働き方改革関連法」が時間外労働の上限規制が建設業にも適用することについては、「内容まで知っている」が58%と約6割にのぼる一方、「聞いたことはあるが、内容はわからない」も31.7%と約3割を超えているなど周知にも課題があることが分かった。
続いて、「時間外労働の上限規制を遵守できるか」という問いに対しては、「かなりの努力が必要だが、可能だと思う」が44.6%と最も多く、「遵守するのは困難だと思う」の22.1%と合わせると7割近くを占めるなど、多くの企業が上限規制の遵守に不安を覚えている。
時間外労働の削減に向けて実施している取組みでは、「業務の内容・分担・工程の見直し」が46.6%と最も多く、次いで「職員の意識改革」が36.2%、「経営トップ等による定時退社等の呼びかけ」が31%と続く。
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CCUS登録完了の事業者は8割を超える
現在、注目されている事業者の建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録申請状況は、全体で見ると「登録完了」した割合は8割を超える。しかし、社員数が少ない企業は登録が少なく、「1~4人」では5割に留まる。技能労働者のCCUSの登録申請状況については、全員の「登録」を完了している割合は7割を超え、2021年度調査と比較すると、8ポイント増えている。

登録申請状況(事業者登録)はほぼ9割に達する勢い

登録申請状況(技能者労働者登録)はほぼ7割に
各技能労働者の給与支給額を、CCUSの登録申請状況などで比較してみると、「登録完了」または「登録申請中」と回答した企業の方が、その他の企業に比べて給与が高いという傾向が見られた。また、現場入退場の管理方法においても、CCUSを積極的に活用している企業ほど、給与水準も高くなっていることが分かった。
CCUSの登録完了(事業者)の賃金は、登録基幹技能者(41万6,057円)、職長(36万8,874円)、日本人技能労働者(31万1,607円)であり、逆に「登録するつもりはない」(事業主)での賃金は、登録基幹技能者(33万7,500円)、職長(31万2,500円)、日本人技能労働者(25万円)と明確な差があることが明らかになった。

CCUSを積極的に活用している企業が給与水準は高い
社員数が多いほど月給制を採用
給与の支払い形態としては、「月給(固定給)」が64.6%で、「日給月給」が47. 7%と続き、 社員数が多い企業ほど「月給(固定給)」制の割合が多い。年次有給休暇の平均取得日は「4日以下」(16.5%)、「5~7日」(40.5%)、「8~9日」(16.2%)、「10~11日」(13.6%)、「12日以上」(13.2%)で、規模別に見ると、昨年同様、小規模企業ほど取得日数は少ない。
施工体制で、「専属下請の有無」を質問したところ、専属比率が5割を超える下請企業が「ある」のは全体で53.2 %で、前回調査より約4ポイント増加。とくに民間工事を主体とする企業や社員数の多い企業ほど、「ある」と回答した割合は約6割と多い。
専属下請のCCUS登録状況(事業者)については、全体で「100%」が39.8%と最も多く、前年度より約13ポイントも増加。次に「80~100%未満」が19. 8%と続く。「100~80%」の割合は合計で約6割になり、CCUSに登録している事業者が増加している状況となっている。
次に、専属下請のCCUS登録状況(技能者)は全体で「100%」「80~100%未満」がともに27%で最も多く、「100~80%」の割合は合計で約5割になり、技能者の登録が増加している。ちなみに「0%」は11%だった。
また、専属下請を選定する際に重視する要件としては、「施工能力の高さ」(86.8%)を筆頭に、「工事実績等の信頼度」(82.3%)、「長い取引関係」(63.2%)が上位を占める。一方、「社会保険等への加入状況」や「建設業許可の有無」という許可要件は5割程度であり、 「登録基幹技能者の有無」は1割程度だった。
インボイス制度への対応は各社とも苦慮
また、10月から導入されるインボイス制度は、「内容まで知っている」が 78.1%と約8割にのぼる。一方、「聞いたことはあるが、内容はわからない」は2割程度であった。本則課税事業者・簡易課税事業者・免税事業者のいずれに該当するかについては、「本則課税事業者」が93.7%で最も多く、「簡易課税事業者」の4.2%を合わせると、ほぼ課税事業者が占める。
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取引事業者に対する免税事業者の割合については、「取引を行っている免税事業者はいない」が32.1%で最も多く、次に「1割以下」が22.3%と続く。内装仕上工事業、大工工事業などは、他業種に比べて免税事業者との取引が多い状況がうかがえた。
一人親方を除く免税事業者との取引についての今後の対応方針は、「課税事業者へ転換してもらい取引を続ける」が44.8 %で最も多く、次に「わからない」が 37.7%と続く。一人親方(免税事業者)との取引についての今後の対応方針は、「わからない」が41.2%で最も多く、対応が定まっていない状況がうかがえる。「課税事業者へ転換してもらい取引を続ける」は34.6%であった。

一人親方を除く免税事業者との取引について今後の対応方針

一人親方(免税事業者)との取引について今後の対応方針
免税事業者との取引の今後の価格設定は、「従来通りの価格で取引きする」が59.3%で最も多く、次に「消費税相当額を値引いた価格で取引」が30.8%と続く。現行は免税事業者が今後、課税事業者への転換を検討するかについては、「検討する」「わからない」がともに41.2 %で最も多く、次に「検討しない」が17.6%が続いた。こうしてみるとインボイス制度への対応に苦慮している事業者が多いこともうかがえる。
技能者を正社員として適正に雇用することが大切
建専連では、(公財)建設業福祉共済団の協力のもと、芝浦工業大学の蟹澤宏剛教授を委員長とする「建設技能労働者の働き方改革検討委員会」を設置。2018年度から「働き方改革における週休二日制、専門工事業の適正な評価に関する調査」を実施している。建専連傘下の専門工事34団体の所属企業とその下請企業から2022年10月から11月にかけて実施しており、有効回答数は827件であった。2018年度から週休2日の実態などを継続的に調査、今回は時間外規制への対応状況などの質問項目を加えた。
委員長をつとめる蟹澤教授は、「働く人の減少を最小限にとどめるための最も効果的な方策は、せっかく入職してくれた担い手に見切られることなく、長く働き続けてもらうことである。そのためには、技能者を正社員として適切に雇用し、働き方改革に積極的に取り組んで労働環境を整え、教育訓練を充実し夢のあるキャリアパスを提示することができる優良な専門工事会社を見える化し、そんな会社を選べる環境を整えることが重要」と総括している。
給与が上がるのは良いですが。
運用の仕方がわからない企業従業員の方は非常に苦労されていると思いますよ。
無償で仕組みや導入を手助けする人員を整備しましょう。
国や企業負担でです。
人材不足なのに一人親方や中小企業に少なからず負担があると思います
簡単に言うとCCUSでかかるコストを弱い立場の人に負荷なく提供できるかということです。
とりあえずやって!というだけではなく向こう十年完全無料で一括工事のゼネコンさんが全て負担するとか良いと思いますよw
たまに仕事くれるだけだと絶対に負荷になるだけですよ!w
インボイス制度しかりですよ。
裏技会計やIT フリーランス【youtuber等も含む】から税金を徴収したい、気持ちは分かるんですがやりすぎれば世界で戦える会社が出来る事は無いでしょう。
そもそもやってるのが大手だけだからでは