戸建て新築やリフォームにも適用可能と意欲的

今後の展開では「KIGOCOCHI」は、戸建ての新築やリフォームにも適用可能と語る菅田修司常務執行役員・リフォーム事業部門長
「KIGOCOCHI」により、マンション1住戸(約70m2)にリフォームを施した際、国産材ヒノキ合板が占める割合は約77%となる。仮に100戸の中規模マンション全戸をすべて「KIGOCOCHI」でリフォームした場合、約39haの森林 (約4万本)と同じ効果をもたらす。
今回の「KIGOCOCHI」の提案はマンションリフォームがターゲットだが、戸建て新築工事やリフォーム、マンション賃貸の新築やリフォームにも展開可能だ。木のユニット化はすでに実現しており、部分的な導入もでき、顧客の要望に合わせたカスタマイズが可能になる。
ちなみに、70m2のマンションを一般的にフルリフォームすると1500万円超が相場だが、「KIGOCOCHI」による同様のケースでは2000万円半ばを見込んでいる。年間目標棟数としては10棟をこなしていく予定だ。
今回、主要部で国産材ヒノキを採用。見た目の美しさと耐久性に優れ、湿度にも強い特性を持つ樹木として重宝されているが、内装材で使用する際は廃棄ロスに課題があった。そこで「KIGOCOCHI」では構造用部材として使用されるヒノキ合板を内装の仕上げ材として活用。表面にあたる部分をヒノキ本来の木目を維持するために厳選し、節の多い部分は隠れた層に活用し、大幅に廃棄ロスを減少。ドアノブ、引手や脱衣所の床など、人が直接触れるポイントに木を積極的に配置した。
建築家の鈴野浩一氏がデザインを監修

株式会社トラフ建築設計事務所の鈴野浩一氏が「KIGOCOCHI」のデザイン手法を披露
次に、「KIGOCOCHI」のコンセプトワークやデザインを監修した、株式会社トラフ建築設計事務所の鈴野浩一氏が登壇。「KIGOCOCHI」は、「木(KI)」+「居心地(IGOCOCHI)」を名称の由来として、「木」によって暮らす人の「居心地」を追及したという。居住スペースの中に出現した大木(コア)を中心に、暮らす人によって居心地の良い場所を見つけられるようなデザイン手法を採用した。
また、鈴野氏がコンセプトディレクターをつとめる木のコミュニティ「KIDZUKI」は、木で気づき、木で築く新たな価値という意味が込められている。三菱地所ホームがハブとなり、より木のことを深く知り、さらなる魅力を見出し、木を媒介とした課題解決や事業領域の創造でより良い社会を目指していく。
この「KIDZUKI」で出会ったトラフ建築設計事務所や愛媛県で木材業を営む共栄木材株式会社の協力のもと、「KIGOCOCHI」は誕生した。共栄木材はインテリア用のヒノキを保有し、採用に至った。ただ地産地消の視点では、東京都近辺と神奈川県が主な商圏となるため、今後は関東地方や山梨県での木材入手を検討している段階だという。
今回の横浜市のショールームでは、かねてからの付き合いのある協力会社が施工。この第1号をベースにしながら施工のノウハウを他の協力会社に水平展開できる体制を整備する。
ただし、今回はモジュール化することにはこだわらなかったという。第1号「KIGOCOCHI」の考え方を軸とし、その点をしっかりと組み立てて自由度のあるコアとした。
「ウッドデザイン賞2023」で対外的にも評価
「KIGOCOCHI」は対外的にも高く評価された。「ウッドデザイン賞2023」で、木を活かして質の高いライフ&ワークスタイルを提案しているものが対象となる「ライフスタイルデザイン部門」を受賞した。
三菱地所ホームは、木造木質化事業を推進しており、新築注文住宅1棟当たりの構造材での国産木材採用比率ではツーバイフォー工法を手掛ける住宅メーカーの中では国内トップレベルとなっている。また、木と鉄骨によるハイブリッド構法「FMT構法」による注文住宅での自由度を向上させ、都有地活用による魅力的な移転先整備事業『江北小路』が完成。このほか、非住宅の木造建築にも注力するほか、木のリフォームにより豊かな暮らしを実現する取組みも推進している。
さらに、一層の国産木材利用や住宅設備機器の効率化の向上により、2030年には三菱地所ホーム施工物件でのZEH率85%を目標に掲げ、2050年までにネットゼロの達成を目指す。加えて、廃棄物の発生が少ない施工方法やリサイクルの容易な材料の選定やプレカット技術の促進で、2030年度までにCO2排出量60%削減を目指している。
こうした環境向上を支えるのが「戸建て注文住宅」「施設建設などの非住宅分野」、それに加えて「リフォーム分野の強化」だ。高いデザイン性とディテールまでこだわり抜いた実例にフォーカスし、特に上質で機能的なアイデアやアイテムを紹介する「一邸一想(いっていいっそう)」を開始したことも大きなトピックスといえる。この3つの中核事業を確立し、国産材の採用と新たな木造技術の追求を図っており、今回の「KIGOCOCHI」もその一環となる。三菱地所ホームが追及する「木造木質化」やさらにその先の未来に期待したい。
『KIGOCOCHI』のメディア
- KIGOCOCHI ブランドページ:https://kigocochi.com/
- KIGOCOCHI Instagram:https://www.instagram.com/ki_gocochi/
ショールーム概要
- 名称:『三菱地所のリフォーム』 リフォームショールーム
- 所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1
- TEL:0120-429-115
- URL:https://www.mec-reform.com/showroom/