自転車でお遍路さん回りを実行中

第45番札所 岩屋寺を詣る奥田さん(本人提供写真)
――四国地方整備局の企画部長にご就任されてまだ数か月ですが、いかがですか?
奥田さん 機会を見つけて、各県に足を運んできました。今動いている現場も、一通り見させてもらいましたので、四国が抱えている課題、今後取り組まなければならないことについては、おおむね理解しているつもりです。地域の特性や特色についても、休みを利用して、理解するよう努めているところです。
仕事の話から少しそれますが、休みの日は自転車で四国遍路を回っています。徳島から始めて、高知を回って、今愛媛を回っている途中です。現地まではJRに自転車を乗せて行っています。
――自転車がご趣味でらっしゃる?
奥田さん 趣味というほどではありませんが、自転車活用推進官のころに「自分も自転車に乗らんといかんのかな」ということで、クロスバイクに乗るようになりました。初心者に毛が生えた程度です(笑)。1日で走れるのはせいぜい100kmぐらいですね。
――「自転車でお遍路を回ろう」という発想はどこからきたのですか。
奥田さん 四国地整の先輩方から「俺はお遍路回ったけど、お前も行くんだろうな」と言われたからです(笑)。
――そんな伝統があるとは知りませんでした(笑)。
奥田さん 歴代の局長さん、歴代の企画部長さんでお遍路を回っている方々は多いですよ。自転車で回った方もいらっしゃいます。さすがに歩くのは途方に暮れてしまいますが、「自転車ならなんとかいけるやろ」という感じで回っています(笑)。
――過酷そうでもあり、楽しそうでもありますが、どうですか?
奥田さん 両方ですね(笑)。とくに強風の向かい風の中、ずっと走るのはツラいです(笑)。あとはパンクが怖いですね。その一方で、地域のことがよくわかります。事業箇所のヨコを通ることもありますし。
働き方改革への対応が一番大事な仕事

一斉閉所呼びかけに関する資料(四国地方整備局提供)
――企画部のお仕事についてはどうですか?
奥田さん 建設産業が抱える問題として、2024年問題があります。2024年度以降、罰則付きの残業上限規制が適用されることになっていますが、これに対応するために、働き方改革をどうやって実現していくか、建設産業の生産性を上げていくかが、私にとって、今一番大事な仕事になっています。
企画部は建設業界との窓口の役割を担っているので、常に建設産業の皆さんのご意見を聞きながら、改善すべきところは改善していくということで取り組んでいるところです。それと同時に、若い担い手が少なくなってきている中で、建設産業全体の魅力も高めていかなければなりません。この辺が一番大切な部分だと考えています。
――インフラDXについてはどうですか。
奥田さん インフラDXは大手建設会社が先行していますが、地方の中小建設会社も積極的に取り組んでいただく必要があります。そのために、中小企業を対象とした現場見学会や講習会を定期的に実施したり、DXのための人材育成を支援したりしています。
――働き方改革と言うと、週休2日の徹底と長時間労働の是正がポイントになると思われますが、現状をどう見ていますか。
奥田さん 直轄工事については、週休2日はだいたい達成できていますが、完全週休2日を目指しているところです。完全週休2日とは、土日、祝日をカレンダー通り休みにするということです。これまでは4週間のうちのどこかで8日休みがあれば良いということでやってきましたが、これからはカレンダー通り休みが取れるようにするということです。いつ休みかあらかじめわかっていれば、計画立てて生活することができますし、プライベートも充実するからです。
われわれ自身が建設産業の魅力を高めていかなければならない
――土木広報についてどうお考えですか。
奥田さん 今はだいぶ進んでいると思います。「現場の見える化」という言葉も一般化してきました。ちなみ、「見える化」という言葉はもともと、トヨタが使い始めた言葉です。デジタルサイネージを使って積極的に情報発信している現場も増えてきています。現場見学会なども活発です。土木広報は、そういった一つひとつの積み重ねが大事だと思っています。
ただ、さきほどもちょっと触れましたが、われわれの建設産業が本当に魅力あるものかどうかという問題があります。われわれ自身が建設産業の魅力をもっと高めていかなければならないし、そういった情報を発信し、国民に理解していただかなくてはなりません。国民の方々に、夢が持てる、成長できる、チャレンジしがいのある仕事だと思っていただけるよう、しっかり広報活動していきたいと考えています。
――災害対策についてはどうですか。
奥田さん 南海トラフ巨大地震の発生確率は、今後30年で70%~80%と言われています。地震発生から津波到達までほんの数分と予想されている地域もあるわけです。そういう状況下では、いつ災害が起きても不思議ではないという意識付けが大切であり、そのための広報が必要だと考えています。
四国には年間3000mmを超える雨が降る地域もあります。地震だけでなく、想定外の風水害にも常に備えておく必要があります。そのためには、ハード対策だけでは追いつかないので、ソフト対策が大事になってきます。各事務所が主体となって、県や市町村、住民などとしっかり連携しながら、災害に強いまちづくりというものを計画的に進めていく必要があると考えています。企画部としても、積極的に関与していくことにしています。
国を、地域をより良くしていくのが大きなやりがい
――奥田さんにとって、国土交通省の仕事の魅力はなんですか。
奥田さん 社会資本整備を計画的に、着実に進めていくというのが、われわれの大事な責務だと認識しています。社会資本整備とは、安全に安心して暮らせるまちづくりであったり、地域と地域経済の発展を下支えするといったことです。われわれの仕事は、目先だけではなく、中長期的な視点に立って、地域の皆さんと一緒に考えながら、地域をより良くしていく仕事です。時には困難を伴う仕事ですが、それを成し遂げるところに大きなやりがい、魅力を感じています。
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久しぶりに奥田秀樹様のお顔を拝見し、懐かしさとその後の経歴に感嘆
しております。全国各地を転勤されて色々な経験を積まれ素晴らしい
栄転をされている事を嬉しく思っております。宮崎河川国道においては、
私が長崎河川国道へ転勤する後任として宮崎に来ていただき、宿舎も
大塚町の私が住んでいた木造宿舎に入られ、エリートの方の住むような
宿舎では無く、大変申し訳なく思った事が、昨日の出来事のように思い
出されます。長崎では荒瀬美和様と一緒に仕事をさせて頂きましたが、
本省で奥田さんが一緒に仕事された事を初めて知りました。岩切清樹