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コマツはなぜ、ガチで月面建機を開発しようとしているのか

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公開日:2024.01.12
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タイムスケジュールもかなりキビしい

――燃料電池のお話がありましたが、月面でも普通に使えるものなのですか。

杉村さん 熱がキビしいらしいです。地球上では、空気に放熱して温度を保っているのですが、月面には空気がないので、熱が逃げないからです。ようするに、空冷が効かないのです。放熱効率が空気中と比べて桁違いに悪いと考えられています。

――バッテリーと両方検討しているということですかね。

杉村さん そうですね。燃料電池はどうやって燃料を補給するのかという問題がありますし、バッテリーだと、どうやって充電するのかという問題があります。たとえば、クレーターの底にいると、太陽光が当たらないので、太陽光発電ができません。バッテリーを運ぶのか、送電線を引っ張るのか、ということです。

――2030年前半に月面に有人滞在のための基地を建設するという話になっていますが、タイムスケジュール的にどう見ていますか。

杉村さん かなりキビしいです(笑)。

どういう施工がされるのかもまだわかっていない

――とってつけた質問で恐縮ですが、今一番ご苦労されていることはなんでしょうか。

杉村さん 月面に適したコンポーネント、素材探しです。今のところこの方面の知見がないからです。一生懸命情報を集めているところです。

あとは、月面でどういう施工がされるのか、まったく決まっていないのです。つまり、建機でどれぐらい掘って、どれぐらい埋め戻すか、まだわからないのです。その辺の情報収集にも苦労していますね。いったん情報を入手しても、またガラッと変わる可能性もありますし。

さきほども触れましたが、土の固さがわかっていないので、どう掘るかが決められません。もし月面がカッチカチの場合、バケットが刺さらないので、掘り方を抜本的に変えなければいけない可能性があります。もちろん、カッチカチの場合も想定してつくっておけば良いのですが、そう簡単なことではありません。

完全自動化も苦労しているところです。月面で実際に掘ってみて、掘れなかったときにどう修正するのかという問題もあります。コマツだけでは対応できないことなので、ゼネコンやほかの機械メーカーらとどう連携していくのか、ということです。その枠組みもまだありませんし、ソフトウェアの部分ならデータ通信で修正できる可能性がありますが、機械の部分だと、もう一台機械を送る以外方法がありません。

――メンタル的にやられそうなこともあると思われますが、その辺は大丈夫ですか?

杉村さん みんな自ら手を挙げてやってきているので、基本的にモチベーションは高いです。意外と大丈夫です(笑)。

日本の名、コマツの名を世界にアピールできたら

――今後の意気込みをお願いします。

堀江さん 将来的に月や火星に人が住めるようになるためには、建機が必要ですが、その建機はコマツの建機でありたいと思っています。これをぜひ実現したいと思っています。

菊池さん 先日、先端・基盤技術センタのトップである所長自ら、「月面建機開発に対してコマツは本気です」とおっしゃっていました。なので、私たちも本気で取り組んでいます。

杉村さん 会社としても、今のところわれわれを応援してくれています(笑)。月面建設機械プロジェクトは、人類の夢ではありますが、日本ならではの技術を活かしたオールジャパンのプロジェクトでもあります。その壮大なプロジェクトの一員として参画して、コマツの名を世界にアピールできたら良いなと思っています。

新しいことをやることで、技術分野の幅が広がる

濱田 知秀さん コマツ開発本部先端・基盤技術センタ 所長

濱田 知秀さん コマツ開発本部先端・基盤技術センタ 所長

――ここでシメようと思ったのですが、急きょ先端・基盤技術センタ所長の濱田知秀さんにもお話が伺えることになったので、ご登場いただくことにします。「コマツは本気だ」とおっしゃったそうですが、どういう判断だったのでしょうか。

濱田さん 月面建機研究のそもそもの始まりは、国土交通省からプロジェクトの公募が出たという情報をコマツの当時のCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)が入手し、その後、私を含めた関係者で話をし、「これはやるべきだ」ということを決めました。コマツとしては、宇宙関連の開発をやったことはなかったのですが、開発部門のモチベーションアップになるという思いもあったので、やると決断したわけです。

――「やるべきだ」と決断した理由について、もうちょっと教えていただけますか。

濱田さん 宇宙に関することは、われわれがこれまで手を出したことがない技術の世界だからこそ、新しいことをやることによって、われわれの技術分野の幅が広がるし、得られるものも大きい、と判断したわけです。

――これまでの取り組みについて、どう評価していますか。

濱田さん 国土交通省は2025年以降に実証実験をするというロードマップを描いていますので、われわれとしても、これを目標に一歩一歩取り組みを進めているところです。

世界を引っ張っていく思いを持って、頑張ってほしい

集合写真

――月面建機研究チームのお三方へのコメントをお願いします。

濱田さん 彼らは、何千人といる開発部門の社員の中から手を挙げてもらって、私やCTOが中心となって選定したメンバーです。非常にモチベーションが高いメンバーなので、私としては全く心配していません。世界を引っ張っていくという思いを持って、ぜひ月面で動く建機の第一号を実現してほしい、そのために頑張ってほしいです。

――とくに杉村さんに対して、コメントをお願いします。

濱田さん こういうプロジェクトではリーダーの役割が大事になります。そういう意味では杉村さんは適任だし、ぜひ、他のメンバーを引っ張って、月面に建機を送り出していただきたいと思います。

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この記事を書いた人

四国の犬
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基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
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