発注者としてレスポンス良く対応する
――今担当している現場数はいくつですか?
矢野さん 8現場です。松岡を中心に、私ともう一人の係員の3名で監督しています。
――現場を監督する上で心がけていることはありますか?
矢野さん 受注者さんとの信頼関係が大事かなと思います。双方が施工現場を効率よく進めていく上でも必要かと思っています。あとは、工期内完成や無事故・無災害での工事完了です。
松岡さん まずは、適切かつ十分な工期を確保して工事発注することを大事にしています。既設構造物の改良を行う現場ではとくに、現状不一致など、想定し得ない事象が発生することがあります。そういう場合、受注者としっかり連携しながら、発注者としてレスポンス良く対応する必要があります。
芝さん 発注者と受注者が協力してモノをつくっていくのが一番大事だと思っています。そのためには、密な打ち合わせをしながら、発注者としても、工期内に収めるためには、どういう工程管理をすれば良いか、しっかり考える必要があると思っています。
――2023年度からBIM/CIM原則適用になっていますが、現場の対応はどうなっていますか?
松岡さん 適用以前からの継続工事は除きますが、新規工事については、原則適用ということでやっています。
芝さん BIM/CIMを適用することで、しっかり効果が出る工事を選んで適用しています。規模や重要性、難易度といったところを考慮するようにしています。
――BIM/CIMによる効果について、どう感じていますか?
芝さん 受注者に聞いた話では、工事説明や安全教育を行う際、CIMデータが役に立ったと聞いています。
松岡さん CIMデータをもとに作成したVRを使って、安全教育をしており、施工確認や安全教育にて、一定の効果が出ていると感じております。
港湾工事で一番多い事故は「溺れ」
――安全管理という点で、港湾ならではの気をつけるポイントがあれば、教えてください。
矢野さん たとえば、潜水士さんに関する安全管理があります。潜る時間や休憩時間をしっかり管理する必要があります。受注者さんによっては、専用のシステムなどを使ってしっかり管理されているようです。
芝さん 港湾工事の事故で一番多いのは、溺れ、つまり海中への転落です。ここは常に気をつけなければいけないポイントです。あとは、波浪条件です。たとえば、作業の途中で急に海がシケた場合、すぐに工事を止めることはできないので、事故のリスクが高まります。そうならないためには、天気の変化を読んで、午後に海が荒れそうなら、午前中で切り上げる、または中止するといった対応が必要になります。
――現場周辺を航行する船舶への対応はどうですか?
矢野さん 高知港周辺では、漁船やプレジャーボート、クルーズ船も航行しています。これら漁業・海事関係者の方々に対しては、事前に工事説明会を行なっています。工事中も必要に応じて協議を行なっております。
松岡さん ケーソンの仮置き場の工事に着手しているのですが、この場所が船舶航路に近接しています。このため、着手に先立って、安全連絡協議会を設置して、必要に応じて協議連絡しながら、安全確保に努めているところです。
重要な場所で、大きな構造物を扱うのが魅力
――話は変わりますが、港湾の仕事は楽しいですか?
矢野さん 楽しいというしかありません(笑)。
――港湾の仕事の思い出はありますか?
矢野さん もう忘れかけていますが(笑)、宿毛湾港での防波堤工事での最初1函目のケーソンを設置したときです。すでにケーソンがあれば、そうでもなかったと思いますが、なにもない海上での1函目のケーソンだったので、神経を使いました。
――港湾の仕事の魅力はなんでしょうか?
芝さん よく言われていることですが、港湾は物流の拠点として、国民の日常生活に密接に関わっています。そういう重要な場所で仕事をしていることに魅力を感じています。あとは、比較的大きな構造物を扱うことが多いのですが、自治体ではあまり経験できないことだと思っていますし、海の上をはじめ、ふだん見ることができない場所で仕事ができるのも、港湾ならではの仕事だと思っています。
松岡さん 私はまだ仕事の経験が浅いので、多くを語れませんが、港湾の仕事を選んだ理由としては、仕事のスケールの大きさに惹かれたというのがありました。たとえば、ケーソンを据え付ける際には、高さ約130mの大型起重機船がやってきて作業を行います。そういう仕事に関わりたいというのがありました。
どの現場も無事故無災害を前提に、事業に携わっていく
――三重防護事業への意気込みをお願いします。
矢野さん 津波から地域の安心安全を守るために、三重防護の効果が発揮できるよう1日も早い完成を目指して取り組んでいきたいと思います。
松岡さん 私自身高知出身なので、県民の安心安全のために、1日でも早い完成に向けて日々頑張っていきます。発注者としては、今後いろいろな現場がスタートしていく中で、難しい現場も出てくると思いますが、どの現場でも無事故・無災害を大前提に据えて、この事業に携わっていきたいと思います。
芝さん 三重防護のような大規模事業に携われるのは貴重な経験だと思っています。無事故・無災害で早期の完成を目指し取り組んでいきたいと思っています。
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