なんの経験もなく砂防の仕事をこなすのは難しい
――松岡さん、砂防の仕事も、やはり経験が重要なのでしょうか?
松岡さん そうだと思います。なんの経験もなく、いきなり砂防の仕事をこなすのは難しいと思います。当社は調査、設計、施工それぞれの業務をやっていますが、どちらかと言うと、山間部の仕事に特化した会社です。
ボクは施工一筋ですが、若いときに砂防の仕事を手伝ったことがありました。ボーリング調査や設計という別の業務ではありましたが、その経験は砂防の施工の仕事にも役立ったという実感があります。
アドリブがきかないと、自分のモノになったとは言えない
――砂防の仕事に関するノウハウの伝承について、どうお考えですか?
松岡さん こちらがいくら教えても、それを理解して、自分のモノにしてもらうのは、難しいところがあると感じています。知識として覚えたとしても、それを現場で使えるとは限らないからです。現場ごとに条件は違うので、アドリブがきかないと、自分のモノになったとは言えません。
若いころは、スパルタ教育的に怒られながら(笑)、それに立ち向かっていくカタチで、仕事を覚えていったようなところがありましたが、今はそういう時代ではないので、土木の楽しさを教えて、若い子のヤル気を出すように育てようと心がけています(笑)。本人に向上心(ヤル気)がないと、本当の意味で技術的に上には行けないと思っているので…。たまにはキツイ言葉も発しますが…。
――仕事をナメてる感じがある?
松岡さん ナメていると言うより、周りが見えていない、気が回らない、想像できていない、と言ったところでしょうか(笑)。この世界(建設業界)は想像力が非常に大切と考えていますので。
――ちょっと怒ると、クシャっとなってしまう?
松岡さん なりますね。クシャっとなる、言い訳をする、反発する、いろんな若手がいます。なので、あまり強く言えない(言葉を選んでしまう)んです。非常に苦労しています。
ICTだけで仕事をしていると、間違いに気づかなくなる
――梶浦さん、どうお考えですか?
梶浦さん 会社でも、最近はICT施工が浸透していますが、ICTだけで仕事をしていると、間違いに気づかないんです。機械のデータがこうなっているので、間違いないと思い込んでしまうんです。基本がわかっていないからです。なので、基本的なことから教えようとしているのですが、なかなか難しいです。
――たとえば、測量は杭ナビでやるのが当たり前だと思いこんでいる、とかですか?
梶浦さん そういうことです(笑)。杭ナビだけ得意なんです。若いので、それだけだとキビしいものがあるわけです。杭ナビは便利な道具ですが、人が育たなくなるのは、困ったことです。
松岡さん 砂防の現場は、ICTを使えばうまくいくような、そんな甘いモノではありませんから。ICTに関しては、使えるところで使っていこうとは思っていますが、やはり、人としての経験、感覚、ウデというものが必ず必要になります。
地味でシンドイ仕事だが、「やった感」が大きい
――砂防の仕事の魅力はなんですか?
松岡さん 地味だし、そもそも状況が見えなかったりするんですけど、難しいところです。シンドいですが、その分、モノができたときの達成感、「やった感」も大きいです。その喜び、感動がこの仕事の糧になってます。
梶浦さん 私も同じなんですが、モノができたときの達成感です。難しいと言われるほど、やってみようという気持ちになるし、完成させるために必要な発想も生まれます。そういうのが楽しいんですよね。あとは、地元の方々に喜んでもらえることです。まあ、仕事自体は地味なんですが(笑)。
建設業は、「モノづくりはこれがあるからやめられない!」と同業種で思われる方は多いと思いますよ。
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