施工の神様 powered by 施工管理求人ナビ
  • 施工の神様とは?
  • 記事掲載・取材をご希望の方へ
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設用語

【砂防職の魅力を探るvol.2】国土交通省入省3年目 小林正直さんのケース

  • インタビュー
  • キャリアを考える
四国の犬
公開日:2024.05.30
  • シェア
  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2 コメント
  • メールで共有
小林さん(写真本人提供)

小林さん(写真本人提供)

目次
  1. 「登山しながら研究ができたら、おもしろそうだな」
  2. なりゆきこそ、人生?
  3. とりあえず飛び込んでみて、ダメだったら、そのとき考えれば良い
  4. 砂防事業のある事務所で道路を担当する
  5. 宿舎の近くに家畜場があったので、部屋がたまにクサかった(笑)
  6. 田舎好きにはたまらないロケーション
  7. 自分がやりたい調査研究ができる
  8. 自分の知らない分野を経験できるのが魅力

国土交通省には、砂防職という専門職のワクがある。現役の砂防職職員数は100人(2024年4月1日時点)、省全体職員数のうち0.25%と、数の上では少数派だが、専門技術者集団として、独自の勢力を保っている。

今回、砂防職採用の若手(20才代)職員の方々に取材する機会を得た。なぜ砂防という道を選んだのか、砂防職の仕事はどのようなものか、砂防の魅力はなにかといったことについて、率直なところを聞いてみた。

第2弾として、入省3年目で、近畿地方整備局紀伊山系砂防事務所の大規模土砂災害対策技術センターで勤務する小林正直さんを取り上げる。

第1弾はコチラ:【砂防職の魅力を探るvol.1】国土交通省入省5年目 北本楽さんのケース

「登山しながら研究ができたら、おもしろそうだな」

小林 正直さん 国土交通省近畿地方整備局 紀伊山系砂防事務所 調査課・大規模土砂災害対策技術センター(写真本人提供)

小林 正直さん 国土交通省近畿地方整備局 紀伊山系砂防事務所 調査課・大規模土砂災害対策技術センター(写真本人提供)

――砂防との出会いはどのようなものでしたか?

小林さん 私は京都大学で土木を学んでいたのですが、研究室を選ぶときに、砂防の存在を知りました。大学の砂防研究室は、岐阜県高山市にある穂高砂防観測所と連携しているのですが、私は登山が趣味なので、「登山しながら研究ができたら、おもしろそうだな」と思って、砂防研究室に入ったのが、砂防との出会いになります。

――最初は土木に興味があったということですか?

小林さん いえ、ただのなりゆきです(笑)。

まず、大学に入学する際、大学でなにを学びたいというのはとくになかったのですが、高校のときに物理とか数学が好きだったので、なんとなく工学部を志望しました。次に、工学部には5つほど学科があって、どれかを選ぶ必要がありました。宇宙に興味があったので、宇宙を含む物理工学科を第一志望にしました。すべり止めとして、土木を含む地球工学科を第二志望にしました。入学試験を受けた結果、第二志望の地球工学科になったというわけです。

――砂防研究室でなにを研究したいというのはとくになかったということですか?

小林さん そうですね。正直、砂防研究室でなにをやっているか、あまり知らないまま入ったところがあります。当時の関心事は、研究よりも登山でしたね。とにかく観測所のロケーションが良かったので(笑)。

――かなりの登山好きですか?

小林さん 好きですね。私は名古屋市内にある高校に通っていたのですが、ワンダーフォーゲル部に入って、長野や岐阜、三重あたりの山々を登っていました。大学も登山サークルに入っていましたし、個人でも登っていました。大学のころは縦走登山がメインでした。テントなどを背負って、数日間かけて泊まり歩くという感じの登山です。

なりゆきこそ、人生?

登山を楽しむ小林さん(右、写真本人提供)

登山を楽しむ小林さん(右、写真本人提供)

――砂防研究室ではどのような研究をしましたか?

小林さん 土石流のメカニズムを数値計算して解析する研究をしました。土石流がなぜ起きるのかとか、土石流によってどういう被害が起きるかといったことです。あとは、土砂が河川に流れた際のシミュレーションなんかもやっていました。

――研究は楽しかったですか?

小林さん 楽しくも苦しくもあり、難しいところですね(笑)。これを学びたいというものがとくになかったと言いましたが、逆に言えば、いろいろ学びたいというのがあったということになります。

養老孟司さんが「なりゆきで、目の前のことをやるのが人生であり、仕事だ」という趣旨のことを書いていましたが、まさに私のことだなと思ったことがありました。1つのことを深く突き詰めて研究するより、広く浅くいろいろなことに手を出すほうが性に合っているんです。つまり、そういうノリで研究していたということです(笑)。

とりあえず飛び込んでみて、ダメだったら、そのとき考えれば良い

穂高砂防観測所近くの焼岳で現地調査中の小林さん(写真本人提供)

穂高砂防観測所近くの焼岳で現地調査中の小林さん(写真本人提供)

――就活はどんな感じでしたか?

小林さん なりゆきとは言え、せっかく土木や砂防を勉強したので、それを活かしたいという気持ちがありました。建設コンサルタントなども一応視野に入れていましたが、幅広くスケールの大きな仕事ができそうだということで、国土交通省が第一志望でした。全国転勤があるのも、私にとってはメリットだと考えていました。

――他の学生さんは全国転勤ウェルカムな感じでしたか?

小林さん いえ、そうではないと思います。私は少数派でしたね(笑)。他の学生には、「どこか特定の場所で落ち着いて働きたい」という考えが多かったと思います。

――国交省は砂防職一択という感じでしたか?

小林さん 就活に際しては、先生方などから「終身雇用の時代じゃないからね」というアドバイスもいただいていました。それはその通りだなと思いました。その上で、「まずは国交省に飛び込んでみよう」ということで、国交省の砂防職を受けました。極端ですが、「もしダメだったら、辞めれば良い」ぐらいの気持ちでいました。

――国交省でなにをやりたいというのはありましたか?

小林さん 「大学時代に学んだことを活かせられる仕事ができたら良いな」ぐらいに思っていました。一方で、国交省の仕事には自分が知らない分野がいっぱいあるわけですが、自分の知らない仕事もいろいろ経験してみたいというのもありました。このときも「流れに身を任せよう」というノリが自分の中にありましたね(笑)。

砂防事業のある事務所で道路を担当する

――最初の配属先はどちらでしたか?

小林さん 九州地方整備局大隅河川国道事務所でした。この事務所は、道路と河川のほかに砂防も所管している珍しい事務所なのですが、私は道路工事を担当する工務第二課に配属になりました。ちなみに、砂防職の同期は、私を含め3人いるのですが、配属先は全員道路関係でした。

――どのような業務を担当しましたか?

小林さん 道路工事の設計、積算、発注です。具体的には、東九州自動車道などの新設工事を担当していました。大学の土木の授業で学んだことを思い出しながら、仕事をしていました。

――砂防職とは言え、道路の職員なので、砂防関係の仕事にはノータッチだったのですか?

小林さん 基本的にはそうでしたが、所長が砂防職の方だったので、研修的な意味で、砂防関係の仕事に関わらせていただくこともありました。私のほうから積極的にアピールしたこともありました。

次のページ家畜場があったので、部屋がたまにクサかった(笑)

12»
  • この記事をシェアする0
  • この記事をツイートする0
この記事のコメントを見る2
こちらも合わせてどうぞ!
【砂防職の魅力を探るvol.1】国土交通省入省5年目 北本楽さんのケース
【砂防職の魅力を探るvol.1】国土交通省入省5年目 北本楽さんのケース
国土交通省には、砂防職という専門職のワクがある。現役の砂防職職員数は100人(2024年4月1日時点)、省全体職員数のうち0.25%と、数の上では少数派だが、専門技術者集団として、独自の勢力を保っている。 今回、砂防職採...
【「砂防」という仕事のリアルを探る第1弾】四国山地砂防事務所建設専門官(祖谷地区工事担当)編
【「砂防」という仕事のリアルを探る第1弾】四国山地砂防事務所建設専門官(祖谷地区工事担当)編
国土交通省(四国山地砂防事務所)のご協力を得て、四国中央部の山奥、祖谷地区で動いている3つの砂防(地すべり対策)工事の現場を取材する機会を得た。砂防の現場ではなにをしているのかと言うより、砂防の現場ではなにを喜びとしてい...
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
※本記事は『建設ITワールド』の許諾を得て掲載しています。 「BIMを活用したいけれど、人材が見つからない」「どう始めたらいいの?」—そんな悩みを解決するのが、ウィルオブ・コンストラクション(本社:東京都新宿区)が提供す...

この記事を書いた人

四国の犬
この著者の他の記事を見る
基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
【砂防職の魅力を探るvol.2】国土交通省入省3年目 小林正直さんのケース 【砂防職の魅力を探るvol.2】国土交通省入省3年目 小林正直さんのケース

施工の神様をフォローして
最新情報をチェック!

  • フォローする5388

現場で使える最新情報をお届けします。

  • 施工の神様
  • インタビュー
  • 【砂防職の魅力を探るvol.2】国土交通省入省3年目 小林正直さんのケース
  • 施工の神様
  • キャリアを考える
  • 【砂防職の魅力を探るvol.2】国土交通省入省3年目 小林正直さんのケース

コメント(2)

コメントフォームへ
  • - 2024/05/30 18:20

    ほぼ山の写真…笑
    これからもお仕事頑張ってください!

    返信する 通報する
  • - 2024/05/30 22:47

    自分について、仕事について、丁寧に取材してありわかりやすかったです!建築に関わってくれる人柄増えるといいですね。

    返信する 通報する

コメントする コメントをキャンセル


コメントガイドラインをお読みになった上で投稿してください。

email confirm*

post date*

あなたも施工の神様に記事を投稿してみませんか?
おすすめ記事
  • 【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

    【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

  • 点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

    点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

  • 「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

    「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

  • 「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

    「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

  • 建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

    建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

  • 人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

    人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

注目のコメント
  • 権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 公務員なんて、甘ったれのわがまま人間の巣窟。特に、バブル世代にパワハラとかするのが多い気がする。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 34℃で湿度がどれくらいか判断出来ないが今日びの38℃超え猛暑に比べればまだまし。 皆が言う体調管理なんかで対応出来る範囲を超えている。 朝一番から警戒レベルMAXが普...

    最高気温36℃の”猛暑日”。舗装工事は中止すべきか?【熱中症対策】
  • 勝手に喫煙休憩するな→即飛び蹴り シュールなコントみたいだな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 辞めていいんじゃねーか? 下請けの奴隷ならともかく、大手ゼネコンの現場監督ならやりたい奴いくらでもいるだろw

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 若くても無能なら要らない

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 休憩するなら水分取るだけで充分なのにねwタバコまで吸いに行き注意されると即飛び蹴りとはヤニ中毒は危険だな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 結局本人の申告によるものでしかないので、無理がありますよ。 すべての作業員さんにカメラつけて録画でもするならば別ですが。 公共工事にしろ民間工事にしろ、昔からすれ...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 熱中症チェックシートは本当に不毛。 挙句の果てに、それを書いていても熱中症が発生したら「管理が甘かったからだ!」といってチェック項目を増やしたり、記入内容の真偽を...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 建設業界のパワハラと言うよりは特定の会社の特定の上司のパワハラ。

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 返信した人の日本語もわかりません。 やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 建設業界って 何処に業界のパワハラをかいてるの? やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 所長が部下の人間性を否定するような現場がうまく回るはずがない。 現場は信頼関係で成り立っている。 現場の雰囲気は主に所長がつくりあげあてしまう。そのような管理職が...

    65歳以上と外国人は、全員”安全弱者”のヘルメットバンドをつけろ!? 納得できない話
  • この著者は神様とは思えないです まず、職人は工程を縮めたいんじゃなく無駄が嫌いなんです。それは管理者もだと思いますよ。 無駄=損害ですからね。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • スーパーゼネコンの監督とは仲良くなれないな。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • まったく現場の事を理解していない! もっと色んな事を経験して、勉強して下さい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • 不仲は横柄で生意気ななゼネコンのセコカンが原因だと思いますけどね。 舐められない様な教育受けているので仕方ない所もありますが。 職人さんも見栄えよりも工数へらして...

    「不仲説」 現場監督と職人
  •  不仲なら発注しない、請負わない。 お互い仕事できなくなればいい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設
    用語
【PR】施工管理技士の転職に特化した求人サイト
施工の神様ロゴ
  • 施工の神様とは?
  • 原稿募集
  • 取材ライター募集
  • 運営会社
  • PR・プレスリリース
  • プライバシーポリシー
  • 広告掲載について
  • お問い合わせ
Copyright © 2025 WILLOF CONSTRUCTION, Inc. All Rights Reserved  リンクフリー
施工の神様