施工の神様 powered by 施工管理求人ナビ
  • 施工の神様とは?
  • 記事掲載・取材をご希望の方へ
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設用語

「やっと完全無機にちかい塗料ができたでぇっ!」 鳴かず飛ばずだった構想、春秋を経て革新的技術に

  • インタビュー
  • 技術を知る
公開日:2024.07.09
  • シェア
  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0 コメント
  • メールで共有

環境負荷、社会的負荷のより少ないものを選ぶ世の中に

――まずインフラの話を教えてください。革新的技術として反応が良いということは、需要があったが供給がなかったという状況だったんですか?

平良さん それもありますし、そういう世の中になってきたというところもありますね。SDGsとかエシカルとか、そういった環境に良いとか社会に良いとかが判断の物差しとして定着してきて、無機系塗料が選ばれる世の中になってきましたし、そうなってくるとさらに高い要求として「完全無機塗料はないのか?」となりますから。

先ほどお話したように、完全無機はとても難しいんです。実社会での施工性と施工品質を伴うとさらに難しい。だから完全無機はなかなか達成できないなか、今回完全無機にちかい珪酸ヒドロゾル系常温硬化型完全無機質コーティング剤W10番ができたのは画期的なわけです。

火事や中毒の不安を排除したいインフラ管理者さんも多く、施工品質・塗膜品質が確かならなるべく無機を選びたいという需要も多いです。現場でも消防法の関係で、燃える材料は保管量に制限がありますから、結構小出しに運搬する間接費も膨らんでしまうのです。

また世の中空前の人手不足ですから、とくに現業のエッセンシャルワーカーが足らん。みんな時短でできる方法を探っている世の中で、現場が省工程でできれば工期を短くでき、通行止めも短くできますから、多くの人が助かりますよね。

小川さん いろいろな化学物質で問題が顕在化してきて規制も整備されてきたこともありますね。ホルムアルデヒドの問題、エポキシのビスフェノールの問題、アミンの皮膚障害、エチルベンゼンの発がん性、VOCの問題、有機則の問題、鉛則の問題、PFASの問題などです。

なので、こうしたものを含まない無機系塗料が採用される世の中になってきて、さらに今はより環境や社会に良いものを積極的に採用するのが当たり前な世の中になってきていますからね。そこで、ジンクリッチペイントについても、インフラ管理者さんからより一層の環境にも良く性能も良いものを探しているとのお話があり、協会でも水性無機ジンクリッチを持っていますから、そのバージョンアップ版を開発して、というかこれまでとは全く別のものになりまして、社内試験での結果も良いと出てますねん。それで、有料高速道路さんからテスト施工の依頼が来てるんですわ。

――これまでとは全く別の水性無機ジンクリッチですか?

小川さん まず、ジンクリッチとは亜鉛が70%以上入っているものをいうんです。管理者さんの中には、水性とか無機とかのジンクリッチを採用しているけれども、めくれてきてしまうというお悩みがある、というところもありました。めくれると、そもそもコートできないわけですから、せっかく亜鉛を70%入れていてもその性能が発揮できないわけです。

そこでなぜめくれてしまうのか。水が入って接着性が落ちるからなんですね。だから、まず水が入りにくい構造にする必要があるわけです。これまでのジンクリッチはポーラス構造ですから水が入りますので、新製品「W-100」では亜鉛をフレーク状にすることでラベリンス効果を出して水を入りにくくしています。日本では亜鉛フレークはあまり見聞きしないのですが、ドイツにエカルトというメーカーがあるんですけれど、ここがデータを公表しているんですね。これがあったので、開発が速かった。

インフラだけじゃない。世界中のバスタイムをハッピーにしますのや

――浴槽の話も教えてください

平良さん 浴槽から洗い場まで、まるっとリニューアルできるんです。工事は1日もかからへんし、安い、環境も心配ない。住宅関連さんや、大家さん、そして奥さまがたに喜ばれていて、えらい反響ですわ。これも施工は簡単なんですが、施工品質が大事ですから、必ず研修をしています。引き合いが多くて研修が追い付かへん。

――そうでしたね、平良さんのところは、講習や研修をやっていますよね。協会員向けに年に何回とか、インフラ関係でも現場が始まる前に、発注者さんも参加して実際の現場でとか。

平良さん 無機の塗料は言ってみれば新技術でしたから、協会員の施工会社さんも発注者さんも、土木や建築のプロではあるけれども、新技術に関してはその技術がどういう理屈なのか、だからどう扱えばいいのか、実際に施工に関してのポイントはどこかなど、具体的に知りたいんですよ。発注者さんも施工者さんも、目的は一緒で、確実な塗膜品質を実現したい、思いは一緒ですからね。ですから、その目的に向かって「なるほどそうか」というアイデアが出てきて、そこでディスカッションもできます。

加えて、現場現場で、対象の構造物のコンディション、既存構造物の塗装系とか、現場の温度湿度とか、表面処理の程度とかいろいろ異なりますから、2回目、3回目と採用いただいている発注者さんでも、やっぱりその現場ごとに研修を開きたいという要請もあって、ほとんど習慣化しているんです。

土木とか建築は大きな構造物をつくるので、なにかある程度大雑把さが許容されているようなイメージを持たれがちなんですが、実際はいろいろなコンディションに対してものすごく繊細な対応が必要ですから、ちょっとしたコンディションの変化で、期待品質とのズレが出てしまうことがあります。そうしたときは、必ず速やかに対応することを徹底しています。そして研修や講習でフィードバックして再発防止しています。

無機質コーティング協会は施工品質への取り組みに熱心なことでも知られ、年に数回の技術情報交換会も兼ねた研修や講習を開くほか、現場に入る前にも発注者の要請で発注者と施工者が共に現場前研修を開くことも多い。

無機質コーティング協会は施工品質への取り組みに熱心なことでも知られ、年に数回の技術情報交換会も兼ねた研修や講習を開くほか、現場に入る前にも発注者の要請で発注者と施工者が共に現場前研修を開くことも多い。

――そうなんですね。それで浴槽に関しては、どうしてそこまで反響がすごくなっているんですか?

小川さん 安くてエコ、ここが反響のポイントですね。浴槽は長く使うとどうしても、表面にすごく微細な傷だとかしわだとかが入ってきて、そこに汚れが定着してしまうんですね。なので、中古住宅販売の会社さんとか、大家さんとか、一般家庭の奥さまとか、「バスルームをリフォームしたいわ」となるんですけれど、とても高くなるんですよ。なぜかというと、現状の浴槽を生かした簡便なリフォーム技術はあまりないことと、だったらいっそ浴槽を取り換えるか、となると浴室のドアを壊さないと浴槽が入れ替えられないので、これも大掛かりになるんです。大概の場合、浴槽が大きいので浴槽を設置してから、出入り口のドアを施工するので、浴槽の交換にはドアや壁の破壊が伴うんです。

我々の工法は、浴槽や浴室の表面をいっぺんキレイに表面処理して、珪酸ヒドロゾル系常温硬化型完全無機質コーティング剤W10番を塗るだけです。常温で乾きも早いです。なので、簡便で少人数・省工程施工、工期も早く1日、ごみも少ないしエコ、環境に悪いものは使いませんので安全安心、つまり安くてエコ。

なので、喜ばれるんですよ。商いでリフォームされる中古住宅販売関連の業者さんや大家さんはもちろんのこととして、リフォーム工事を個別にされる一般家庭の奥さまがたがとにかく喜ばれる、僕らも嬉しいわ。世界中のバスタイムをハッピーにしますのや。

既存のバスルームを簡便な塗り替え工事でリニューアルする。

既存のバスルームを簡便な塗り替え工事でリニューアルする。

――喜ぶでしょうね。使えるものを粗大ごみで捨てる罪悪感もないし。それで、お掃除とかも普通にやって大丈夫なんですか? “シャーっとミスト状に吹きかけて、こすらなくってもいいんです”タイプのバス洗剤でも、コーティングを傷めませんか?あと消費者の敵・ピンク色のカビに対策する洗剤とかも大丈夫ですか?

小川さん お掃除は通常のお風呂と一緒です。ただこすり落とすタイプのお掃除道具はあきまへんわ、珪酸ヒドロゾル系常温硬化型完全無機質コーティング剤W10番に限らず、全般的にそうですわ。表面にすごく微細な傷だとかしわだとかできる原因のひとつですから。

――そうなんですね。それで、この珪酸ヒドロゾル系常温硬化型完全無機質コーティング剤W10番に興味がある、話を聞いてみたいとか、使ってみたいとかいう発注者さんや施工者さん、奥さまがたはどうすればよいですか?

平良さん 協会にお電話でもメールでもしてもらえれば、技術関係に詳しいスタッフがお話を聞かせてもらいます。インフラも浴室・浴槽もテスト施工をいくつかさせてもらって、順調に経過していまして、それを受けて現場写真集、仕様書ができあがったところですので、やっとお渡しできますわ。

やっとと言えば、発注者さんから近年強く望まれてきた”無機の塗装の規格化”についても、ほんまにもう大詰めの大詰めで、間もなくお出しできそうですねん。

――えっ、いつごろですか?内容はどうなっているんですか?

平良さん ほんまに間もなくですんで、またゆっくりお話しさせてもらいますわ。

人材採用・企業PR・販促等を強力サポート!

「施工の神様」に取材してほしい企業・個人の方は、

こちらからお気軽にお問い合わせください。

«12
  • この記事をシェアする0
  • この記事をツイートする0
この記事のコメントを見る0
こちらも合わせてどうぞ!
ホルムアルデヒドとは?発生源や人体への影響を紹介
ホルムアルデヒドとは?発生源や人体への影響を紹介
シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド。聞いたことがある方も多いかと思います。では、ホルムアルデヒドはどのように危険な物質なのかご存じでしょうか? ホルムアルデヒドが危険な物質ということは知っているけど、何が危険...

この記事を書いた人

根津 寿子
この著者の他の記事を見る
橋の記事を中心に、公共事業の記事を書きます。読んでくださったかたに、お役立ていただける情報発信を心がけています。データサイエンスに関心があります。Master of Business Administration
「やっと完全無機にちかい塗料ができたでぇっ!」 鳴かず飛ばずだった構想、春秋を経て革新的技術に 「やっと完全無機にちかい塗料ができたでぇっ!」 鳴かず飛ばずだった構想、春秋を経て革新的技術に

施工の神様をフォローして
最新情報をチェック!

  • フォローする5388

現場で使える最新情報をお届けします。

  • 施工の神様
  • インタビュー
  • 「やっと完全無機にちかい塗料ができたでぇっ!」 鳴かず飛ばずだった構想、春秋を経て革新的技術に
  • 施工の神様
  • 技術を知る
  • 「やっと完全無機にちかい塗料ができたでぇっ!」 鳴かず飛ばずだった構想、春秋を経て革新的技術に

コメント(0)

コメントフォームへ

コメントする コメントをキャンセル


コメントガイドラインをお読みになった上で投稿してください。

email confirm*

post date*

あなたも施工の神様に記事を投稿してみませんか?
おすすめ記事
  • 【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

    【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

  • 点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

    点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

  • 「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

    「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

  • 「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

    「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

  • 建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

    建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

  • 人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

    人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

注目のコメント
  • 権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 公務員なんて、甘ったれのわがまま人間の巣窟。特に、バブル世代にパワハラとかするのが多い気がする。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 34℃で湿度がどれくらいか判断出来ないが今日びの38℃超え猛暑に比べればまだまし。 皆が言う体調管理なんかで対応出来る範囲を超えている。 朝一番から警戒レベルMAXが普...

    最高気温36℃の”猛暑日”。舗装工事は中止すべきか?【熱中症対策】
  • 勝手に喫煙休憩するな→即飛び蹴り シュールなコントみたいだな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 辞めていいんじゃねーか? 下請けの奴隷ならともかく、大手ゼネコンの現場監督ならやりたい奴いくらでもいるだろw

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 若くても無能なら要らない

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 休憩するなら水分取るだけで充分なのにねwタバコまで吸いに行き注意されると即飛び蹴りとはヤニ中毒は危険だな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 結局本人の申告によるものでしかないので、無理がありますよ。 すべての作業員さんにカメラつけて録画でもするならば別ですが。 公共工事にしろ民間工事にしろ、昔からすれ...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 熱中症チェックシートは本当に不毛。 挙句の果てに、それを書いていても熱中症が発生したら「管理が甘かったからだ!」といってチェック項目を増やしたり、記入内容の真偽を...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 建設業界のパワハラと言うよりは特定の会社の特定の上司のパワハラ。

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 返信した人の日本語もわかりません。 やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 建設業界って 何処に業界のパワハラをかいてるの? やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 所長が部下の人間性を否定するような現場がうまく回るはずがない。 現場は信頼関係で成り立っている。 現場の雰囲気は主に所長がつくりあげあてしまう。そのような管理職が...

    65歳以上と外国人は、全員”安全弱者”のヘルメットバンドをつけろ!? 納得できない話
  • この著者は神様とは思えないです まず、職人は工程を縮めたいんじゃなく無駄が嫌いなんです。それは管理者もだと思いますよ。 無駄=損害ですからね。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • スーパーゼネコンの監督とは仲良くなれないな。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • まったく現場の事を理解していない! もっと色んな事を経験して、勉強して下さい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • 不仲は横柄で生意気ななゼネコンのセコカンが原因だと思いますけどね。 舐められない様な教育受けているので仕方ない所もありますが。 職人さんも見栄えよりも工数へらして...

    「不仲説」 現場監督と職人
  •  不仲なら発注しない、請負わない。 お互い仕事できなくなればいい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設
    用語
【PR】施工管理技士の転職に特化した求人サイト
施工の神様ロゴ
  • 施工の神様とは?
  • 原稿募集
  • 取材ライター募集
  • 運営会社
  • PR・プレスリリース
  • プライバシーポリシー
  • 広告掲載について
  • お問い合わせ
Copyright © 2025 WILLOF CONSTRUCTION, Inc. All Rights Reserved  リンクフリー
施工の神様