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【羽田空港アクセス線基盤整備事業の現場に迫るシリーズ第1弾】東京空港整備事務所編

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公開日:2025.03.28
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空港内施設への影響を最小化しながら、安全かつ確実に地中接合する

鹿島JVの工事とは、JR新駅から空港島護岸までの約2km区間のシールドトンネル工事で、警察庁舎、滑走路、共同溝などの既設構造物の直下を抜く。立坑はタクシープール内に構築する。既設のエアサイド連絡橋の撤去、迂回路の設置といった工事も含まれる。

工事の発注に当たっては、

  1. 空港内の施設への施工による影響を最小化することが必要
    (掘進時に地上の陥没や滑走路などの直下に空洞、既設構造物の変位などを発生させてはならない)
  2. 地盤条件などを考慮して他事業者(JR)が施工するシールドトンネルとの地中接合を安全・確実に施工することが必要

の2つを課題整理。鹿島JVからは、課題1に対して、

  • 地中に残存するサンドドレーン工法袋材を細断できるカッター(ソニックビット)をシールドマシンに装備する
  • カッタースポークの間隔を広げ、スクリューコンベアは軸のないリボン式を採用することで、地中に残存する鋼材や古タイヤなどによる閉塞を防止する
    →閉塞させないことでスムーズに掘削、排土することができ、切羽圧を安定させ、周辺地盤変状の誘発リスクや工程遅延リスクを回避
  • 可燃性ガスが溶存する土砂をシールドマシン内の泥水混合箱で流体化し、トンネル内を配管圧送することで、地上泥水処理プラントまで密閉状態で土砂を搬送する
    →可燃性ガスが火災や爆発を引き起こし空港内の施設に多大な影響を及ぼすリスクを回避

課題2について、

  • シールド構内からの地盤凍結工法(ICECRETE工法)による施工
    →高水圧で自立性の低い砂地盤内において必要な凍土をシールド構内から安全に造成し確実に止水

といった技術提案があった。

学識者が的確、中立な技術提案かどうか審査

これらの工事が本格化するのはまだ先だが、今回の技術提案の評価方法として、こうコメントしている。

「各工事ともに、各々の技術提案項目に対する的確性について中立かつ公正な審査・評価の確保を図るため、学識経験者で構成する『技術提案・交渉方式に係る専門部会』において、審査を行った上で契約を行っている」(今課長)

施工者ごとに「工事をちゃんと工程通り進めたい」という思いが随所で出てくる

ただ、同事業には、複数の現場が輻輳しているというまた別の問題もある。たとえば、清水建設の現場で言うと、柵を挟んで、他の複数の現場と隣接していたりする。こうなると、工程によっては、作業ヤードや資材置き場、車両ルートなどが一部重複してしまう、といった問題が発生する。この問題のやっかいなところは、それぞれの施工者の技術力、努力だけではどうにもならない点にある。

この点について、今課長、山本室長はそれぞれこう指摘する。

「施工を進めていく上で、一番問題になってくるのは、各現場間のヤードの取り合いだ。この問題を解決するには、新たなヤードを確保する必要があるわけだが、警察庁舎やタクシープールといった空きスペースをお借りするだけでは足りない。そこで、P3駐車場南側の周回道路を通行止めにした。空港内の大動脈道路だが、この道路を止めないと、どうしても施工に支障が出るからだ。2025年1月から5年間ほど止める見通しだ」(今課長)

「各工区が隣接しているので、それぞれの施工者ごとに『工事を計画工程通り進めたい』という思いが随所で出てくる。基本的には施工者同士で調整してもらうことにしているが、どうしても決めきれないことが出てくるだろう。そんなときは、われわれが最終的な調整をしっかりやっていかなければならない」(山本室長)

「ちゃんと休め。でも、工期はちゃんと守れ」という矛盾

最後に、同事業におけるいわゆる働き方改革への対応について、触れておく必要がある。国土交通省が発注する工事は、完全週休2日(土日祝日閉所)が基本となっており、この事業の現場も例外ではない。この事業の現場は現在、基本的に昼夜態勢(昼8時〜17時、夜20時〜5時の交代制)で動いている。

土日祝日に現場を動かせない以上、昼だけでなく、夜もやらないと、工期に間に合わないことから出た苦肉の策と思われるが、働き方改革への対応というものが、現場の手かせ足かせになっているのは明らかだ。「ちゃんと休め。でも、工期はちゃんと守れ」と言っているわけで、矛盾だとさえ言える。

この場で働き方改革にケチをつけるつもりはないが、ご改革によって、現場に矛盾がもたらされ、苦しいマネジメントを強いられている事実があることは、やはり摘示しておかなければならない。

どんなに工期がタイトでも、やはり安全が第一

その上で、締めくくりとして、山本室長のコメントを付記しておく。

「私がこの事業で一番気にかけていることは、やはり、まずは安全第一で工事を進める必要がある、ということだ。工期がタイトというのはあるが、安全が確保されていないと、空港の運用に影響を与えるリスクがあるからだ」

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この記事を書いた人

四国の犬
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基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
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コメント(1)

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  • - 2025/03/29 22:33

    東京は開発が大分進んでいるのでコストがかかりすぎないでしょうか?

    少しはなれるだけでもコスト削減になる気がするw

    東京、大阪以外の拠点を作るのもありでは?

    関東地方整備局は外部に発信している資料などが充実していて

    素晴らしいのですが地方との格差がなんだかなぁと思っちゃいますねw

    何年前の資料や情報だよと思うことが地方では発生していますねw

    関東から優秀な人材を地方に出向させて欲しいものですね!

    返信する 通報する

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