波と風の予測を超えて
海岸工事の難しさは、予報と現実のギャップだ。「港湾工事ではうねりを予測して中止すれば済むが、海岸工事は予報が外れることが多い」(岡﨑氏)。ある日、プレーン作業中に急に風が強まり、慌てて中断。「中止したのに波が来なかったときは『できたかも』と思うが、翌日に高波が来て正解だった」(古川氏)と振り返る。ヒヤヒヤする判断の連続が、海岸工事の日常だ。
袋詰め作業でも工夫が光る。「採取した中詰め材が湿気で固まらないよう、タイミングを調整。簡易乾燥で材料を最適化した」と担当者。現場での柔軟な対応が、工程の遅れを防ぐ。「発注者に提案し、設計変更を認めてもらえたのは、現場の観察力があったから」(岡﨑氏)と語る。古川氏は、「波の変化に対応する判断を、毎日学んでいる」と成長を実感する。
働きやすさとチームワーク 大林組との連携も
現場の雰囲気は抜群だ。「岡﨑さんが雰囲気を良くしてくれるので、ストレスなく働ける」と古川氏。残業は書類処理で発生するが、「許容範囲内。楽しく仕事ができている」と笑う。岡﨑氏は、「大林組の4号突堤工事時に基盤整備を担当。交通規制の調整で学び、親しく話せる関係を築けた」と語る。たとえば、大林組と規制のタイミングを相談し、午後の出入りを確保。「快く調整してくれて助かった」と感謝する。
古川氏は、大林組との電話でのやりとりが印象的だったと振り返る。「初対面でもスムーズに話せたのは、電話での良い印象があったから」と言う。発注者や下請けとのコミュニケーションも重視。「誠意を持って説明し、データや写真で提案。納得してもらえるよう心がけた」と岡﨑氏。下請けにはオンオフを分け、オフでは冗談を交わし、オンでは真剣に打ち合わせ。「下請けの経験を尊重し、一緒に考える」(岡﨑氏)と話す。たとえば、袋詰め作業のペースを相談し、「2日で終わる」との助言通りに進んだときは、「チームワークの力を感じた」(岡﨑氏)と笑う。
海岸現場は柔軟性がカギ
海岸工事の特徴は、予報の不確実性だ。「港湾工事より波の変化が激しく、中止の判断が難しい」(岡﨑氏)。プレーン作業中に風が強まり、急遽中断した経験は、「海岸工事ならではの試練」と振り返る。袋詰め作業では、中詰め剤の採取で設計とズレが生じた。「掘削からやり直す判断をその場で下し、発注者に提案。柔軟性が試された」(同)と語る。
技術的挑戦は、現場の観察力で乗り越えた。「材料の湿気を防ぐ簡易乾燥は、現場での試行錯誤の結果。次の工程がスムーズに進んだ時は達成感があった」(古川氏)。岡﨑氏は、「設計調査の徹底が、ズレを最小限に抑えた。現場と設計の橋渡しがカギ」と強調する。
新しい事業にも挑戦し、成長し続ける吉田組
吉田組は、全国に拠点を持つ総合建設企業だ。「岡山出身で、平成7年入社。岡山支店を選んだが、全国の現場を経験してきた」(岡﨑氏)と語る。中国、九州、大阪、東京、東北、札幌、沖縄と、各地で工事を手掛ける。「昔は残業が多くブラックだったが、今は働きやすい環境に変わった。新しい事業にも挑戦し、成長を続けている」(同)と語る。
古川氏も岡山出身。「4年目で、大学時代の縁で入社。東京での現場が中心だが、働きやすさを実感する」と笑う。部活の先輩や人事との繋がりで吉田組を選んだが、「これからも成長する会社」と期待を寄せる。全国を舞台に、マリコンとしての技術を磨く吉田組の未来は明るい。
砂浜再生は技術とチームワークの結晶
西湘海岸の工事は、吉田組にとってマリコンの雄としてのチカラを試す場だ。波と風の予測を超え、設計と現場のギャップを埋める柔軟性。大林組や発注者との信頼関係、チームワークの力が、砂浜再生の夢を支える。
「大変だが面白い。自然と向き合う醍醐味がある」(岡﨑氏)。完成した作業用道路は、今後の海岸保全施設整備事業を支える存在となるだろう。
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