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地域をつなぐ高規格道路・窪川佐賀道路建設現場のリアルに迫る

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四国の犬
公開日:2025.06.11
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地域をつなぐ高規格道路・窪川佐賀道路建設現場のリアルに迫る
目次
  1. 窪川佐賀道路の意義と小黒ノ川地区の役割
  2. ICT技術の活用と効率化
  3. 土の融通と受注者間の緊密な連携
  4. 若い社員と冗談を交え話し、協力会社にも感謝を伝える
  5. 工事内容をわかりやすく伝え、元気よく挨拶する
  6. 受注者が相談しやすい環境づくりを心がける
  7. ものづくりの喜びこそが土木の魅力
  8. 地域の未来を切り開く希望の道

四国の山間部を切り開き、地域の安全と発展を支える窪川佐賀道路。この全長11.2キロメートルの高規格道路は、国道56号と四国横断自動車道、片坂バイパス、佐賀大方道路と一体となり、災害時の緊急輸送路確保や医療施設へのアクセス向上、地域産業の活性化を目的としている。2025年2月の取材時点では、工事は全面展開中で、トンネル工事などの重要構造物を含め、数年後の完成を目指している。

本稿では、国土交通省中村河川国道事務所の建設監督官・橋田昌久氏、山本建設株式会社の山本博仁氏と小谷昌平氏、植田興業株式会社の長崎誠氏への取材をもとに、小黒ノ川地区を中心とした工事の進捗と、そこで展開される最新技術や連携の取り組みをレポートする。

※2025年2月上旬取材

橋田 昌久氏

橋田 昌久氏

山本 博仁氏

山本 博仁氏

小谷 昌平氏

小谷 昌平氏

長崎 誠氏

長崎 誠氏

窪川佐賀道路の意義と小黒ノ川地区の役割

窪川佐賀道路は、高知県高岡郡四万十町平串から幡多郡黒潮町佐賀に至る国道56号のバイパスとして計画された。この道路は、南海トラフ地震などの大規模災害に備え、緊急時の輸送路を確保すると同時に、医療機関への迅速なアクセスを可能にすることで地域住民の安全を支える。また、物流の効率化を通じて地域産業の活性化にも寄与する。四国横断自動車道の一部として、高規格道路ネットワークの形成に欠かせないインフラだ。

小黒ノ川地区は、窪川佐賀道路の佐賀工区の中央付近に位置し、改良工事や盛土・切土工事が主体となるエリアである。この地区では、山本建設と植田興業がそれぞれ異なる工区を担当し、土の融通や施工スケジュールの調整を密に行いながら工事を進めている。橋田氏は、「小黒ノ川地区は土の調整が特に重要。無駄なく効率的に工事を進めるため、発注者と受注者が連携して取り組んでいる」と語る。今回取材時点での工事の進捗は約80~98%で、2025年3月末の完成を目指している。小黒ノ川地区のトンネル工事などその他の構造物は今後数年を要する見込みだ。

ICT技術の活用と効率化

窪川佐賀道路の工事では、ICTを活用した施工が積極的に導入されている。特に小黒ノ川地区では、ブルドーザーやバックホウなどの建設機械にICTを搭載し、マシンガイダンスやマシンコントロールによる高精度な施工を実現している。長崎氏は、「ICTバックホウやブルドーザーで掘削や整地を行い、効率化を図っている。従来の測量では時間がかかっていたが、スマートフォンを使った位置情報がリアルタイムに確認できる測量方法へ変えることにより作業が迅速になった」と説明する。

さらに、ドローンやレーザースキャナーを活用した3次元測量も導入されており、従来2日程度かかっていた地形測量が数時間で完了するようになった。山本氏は、「3D出来形管理を取り入れ、擁壁やブロック積みの施工精度を向上させている。これにより、作業時間と人件費の削減につながっている」と語る。こうした技術革新は、働き方改革にも直結しており、残業時間の削減や週休2日制の徹底を可能にしている。

橋田氏は、令和4年度から本格的に遠隔臨場を導入し、ウェブ通信を利用した施工状況把握や段階確認を実施していると明かす。「移動時間が不要になり、業務効率が向上した。現地立会調整などの融通が利き、工事工程がスムーズになった」とその効果を強調する。インフラDXの推進により、現場の生産性向上と労働環境の改善が同時に進んでいる。

着手前(山本建設写真提供)

着手前(山本建設写真提供)

施工状況(山本建設写真提供)

施工状況(山本建設写真提供)

土の融通と受注者間の緊密な連携

小黒ノ川地区の工事では、盛土に必要な土の量が不足する課題が浮上した。長崎氏は、「現地の掘削土だけでは盛土に必要な約4万立方メートルに届かない。約3分の2を他の現場や別工事から調達する必要があった」と説明する。このため、発注者と複数の受注者間で土の融通を調整する仕組みが構築された。

長崎氏は自社の現場への土の受け入れについて、「ダンプ1台分の土を運び入れるにも、急峻で特殊な地形のため、受け入れ可能な量が限られる。また日当たりが悪く、雨天後には土の状態が悪化し、施工再開に時間を要する場合もある」と語る。そのため、現場事務所が隣接する山本建設と植田興業は、ほぼ毎日調整を行った。「8月から10月にかけては特に頻繁なやりとりが続き、時には1週間待機して工程を調整したこともあった」と長崎氏は振り返る。

こうした密な連携は、受注者間の信頼関係に支えられている。小谷氏は、「同じ会社の別工区でも、工程を考慮して土の搬出を調整している。互いに譲り合いながら進めている」と述べ、各工事との円滑なコミュニケーションを強調する。橋田氏は、「発注者として、工事工程会議で早めに土の需要や供給の情報を共有し、現場間の調整をサポートしている。こうした取り組みは他の現場でも行われてきたが、小黒ノ川地区では特に密な連携が必要だった」と語る。

着手前(山本建設写真提供)

着手前(山本建設写真提供)

施工状況(山本建設写真提供)

施工状況(山本建設写真提供)

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