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【OJT依存からの脱却】老舗地域ゼネコン・八木建設が仕掛ける、就業時間内の「3年1サイクル」育成革命

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長井 雄一朗
公開日:2026.03.25
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八木建設株式会社の八木雅之社長

八木建設株式会社の八木雅之社長

目次
  1. 限界を迎えた「OJT依存」と「現場の性善説」
  2. 1講義120分を就業時間内に。「木造建築の現場責任者」を育てる実践的カリキュラム
  3. 「答えられず自信を失う」若手をどう救うか。実務的なコミュニケーション手法も体系化
  4. いつか卒業生が「講師」になる日まで。木造非住宅のプロを育てる育成の好循環

若手の離職を防ぎ、一人前の現場責任者をどう育てるか。全国の地域建設業者が頭を悩ませるこの難題に対し、1955年創業の老舗ゼネコン・八木建設株式会社(本社:埼玉県本庄市、八木雅之社長)は、一つの答えを出した。

それが2026年7月に開校する社内大学「YAGIビルドアカデミー」だ。最大の特徴は3年間の育成を基本サイクルとし、年間24講義・計56時間にも及ぶカリキュラムすべてを「就業時間内」に行うことだ。施工管理技士の資格取得支援も含め、若手を責任ある現場管理者へと着実に引き上げるための教育環境を本格的に整えていく。

同社がこの仕組みを構築した背景には、従来の「現場任せ・OJT依存の教育体制」に対する、経営トップとしての強い危機感と反省があったという。「木造非住宅のプロを育てる基礎を学ぶ大学」をコンセプトに掲げる同アカデミーでは、1年目で現場に必要な基礎を体系的に学び、2年目で更地から完成までの全体像を把握。3年間を通じて、若手が抱える「判断への不安」を払拭し、社会人としてのキャリア形成を後押しする。この取組みは、教育機関からの信頼向上や採用力強化に繋がるだけでなく、地域を支える次世代の建築人材育成モデルとしても注目を集めそうだ。

「アカデミーを通じ、人として、そして地域の現場を支える責任者として成長できる環境を整えていきたい」と語る八木社長に話を聞いた。

限界を迎えた「OJT依存」と「現場の性善説」

――まずは、御社の概要からお願いします。

八木雅之社長(以下、八木社長) 当社は埼玉県本庄市に本社を置く、1955年創業の総合建設会社です。2025年で創業70周年を迎えました。売上高の8割が工場、倉庫、医療福祉施設といった民間の非住宅事業で、残りの1割が公共工事、もう1割が注文住宅やリフォーム工事となっています。

現在、従業員は25名ですが、そのうち女性が36%を占めており、女性活躍推進にも力を入れています。その結果、2025年度には「埼玉県荻野吟子賞(※)」のいきいき職場部門賞を受賞することができました。

※埼玉県荻野吟子賞…埼玉県出身で日本初の公認女性医師となった荻野吟子にちなみ、男女共同参画の推進に顕著な功績のあった個人や団体に贈られる賞。

知事公館で行われた「埼玉県荻野吟子賞」の表彰式(右は大野元裕・埼玉県知事)

知事公館で行われた「埼玉県荻野吟子賞」の表彰式(右は大野元裕・埼玉県知事)

――今回、社内大学「YAGIビルドアカデミー」を設立された背景についてお聞かせください。

八木社長 80周年に向けたコーポレートメッセージとして、「人と環境にやさしい マチ・ヒトづくり」を掲げました。この「ヒトづくり」を具体化したプロジェクトこそが、今回の「YAGIビルドアカデミー」です。

そもそも、こうした教育体制の再構築を急いだきっかけは、若手に任せた小規模工事で、先輩社員からの指導不足が原因で手戻りが発生してしまったことです。その失敗の原因を探っていくと、社内教育が行き届いていないことに気が付き、トップとして大いに反省させられました。

それからは「工事で必ずチェックしなければならない工程は、先輩社員が現場で指導しているだろう」という、性善説に基づく考えを改めました。マニュアルや社内ルールを充実させて、それをただ読んでもらうのではなく、基礎的な部分からしっかりと教え、自社に合った教育体制を整えることが大切だと思い至ったんです。

YAGIビルドアカデミーのロゴ

YAGIビルドアカデミーのロゴ

――仕事をやりながら覚えるOJTは、様々な課題が指摘されていますね。

八木社長 2018年に本社を木造で新築したのですが、当社ではこの時点からOJTに依存した社員教育はストップしていました。その後、社外から講師を招いて、社会人の在り方や組織運営の教育を実施していた時期もあります。

木造建ての八木建設本社

木造建ての八木建設本社

ただ、講師は建設技術者ではないので、当社の根幹である建物の施工については先輩社員から若手へ教えるしかありませんでした。しかし、その先輩社員のやり方が本人にとっては正しくても、会社としては別の方法でやってほしいケースもあり得ます。また、そもそも教える機会がないと、基礎的な技術伝承すら途絶えてしまう可能性に気づきました。

若手が現場のOJTだけで業務を覚えて成長するという想定には、明確な限界が来ていたと思います。

1講義120分を就業時間内に。「木造建築の現場責任者」を育てる実践的カリキュラム

――アカデミーの具体的なカリキュラムについて教えてください。

八木社長 カリキュラムを構築する上で最もこだわったのは、「新入社員研修」と「アカデミー」を明確に切り離すことです。

まず、4月の入社から3ヶ月間の試用期間は、純粋な新入社員研修にあてます。ここではパワーポイントを使い、「ヘルメットの正しい被り方」から「現場での安全靴の着用」「足場にのぼる際の安全帯のルール」まで、建設業に携わる人間なら当然分かっているべき基本中の基本を教え込みます。

そして、試用期間を終えた7月からいよいよアカデミーが開校します。こちらは「木造建築の現場責任者」を育成するための本格的なカリキュラムです。1講義120分、年間24講義を設け、更地の状態から建物の引き渡し、さらにはその後の維持管理に至るまでの全工程を網羅します。

年間カリキュラム。丸数字の⑧⑰⑳㉒は新入社員・2年目・3年目、それ以外は新入社員・2年目の受講を想定。

年間カリキュラム。丸数字の⑧⑰⑳㉒は新入社員・2年目・3年目、それ以外は新入社員・2年目の受講を想定。

また、ありがたいことに、プレスリリースで当社の取組みを知った協力会社の社長さんたちから「私が講師を担当してもいいですよ」とお声がけをいただいたんです。現時点でのカリキュラムはあくまで「たたき台」で、今後はこうしたサブコンの皆様や外部教育機関にも120分の講義枠をお任せし、リアルで専門的な知見も取り入れながら、“生きたカリキュラム”へと進化させていく方針です。

――講義はすべて「就業時間内」に行うそうですね。

八木社長 はい。教育は就業時間中にやるべきものですから。具体的には、第2・第4木曜日の午後1時から午後3時にかけてに想定しています。基本的には座学を社内の会議室で行い、測量や実機を必要とする場合は現場で実施します。

講義イメージ

講義イメージ

――アカデミーは3年サイクルとのことですが、座学と現場はどのようにリンクしていくのでしょうか。

八木社長 1年目と2年目は、基本的に同じカリキュラムを反復させる予定です。というのも、新入社員がいきなり講義を聞いて100%理解できるとは思っていません。講義を聞いた上で現場へ行き、「これはアカデミーで教わったことだ」と答え合わせをする。その経験を経た上で、2年目に復習というかたちでもう一度同じ講義を受け、現場で絶対に踏み外してはいけないチェック項目を落とし込む予定です。

そして3年目には、当社の強みである「木造非住宅」の現場責任者になることをゴールに見据え、より実践的なカリキュラムへとステップアップさせます。

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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コメント(1)

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  • - 2026/03/26 19:29

    就業時間での教育素晴らしいですね!

    ほぼ強制参加や会社・先輩・上司の圧力がある地域貢献があるらしいので
    こう言うのも是正が必要だと思います!

    記事の会社の事ではありません!

    やりたい人だけやればいいと思います!

    就業時間なら誰も損しませんよね?

    返信する 通報する

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  • 若くても無能なら要らない

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  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

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  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

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