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建設用3Dプリンタ、ついに社会実装へ。老舗ゼネコン×気鋭スタートアップが切り拓く施工革命と次世代の現場像

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長井 雄一朗
公開日:2026.04.01
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「中山石見線道路改築工事」見学会での集合写真

「中山石見線道路改築工事」見学会での集合写真

目次
  1. 「作業人員6割減・当該施工日数7割短縮」という驚異の成果
  2. 現場と行政の「認識のズレ」をなくす土木学会指針
  3. 「石工」の伝統と最新ICTの融合
  4. 入社2年目が建設用3Dプリンタを主導。「平均年齢24歳」チームの底力
  5. 建設DXが切り拓く「障壁なき」ものづくりの未来

2026年度は、建設用3Dプリンタの普及がより一層加速する年となりそうだ。建設業界が直面する人材不足と熟練工の高齢化は深刻を極めており、人手不足に対する即効性の高い解決策として期待されている。

今回注目するのは、地域ゼネコンである吉村建設工業株式会社(京都府京都市)が施工した「中山石見線道路改築工事」だ。同現場では建設用3DプリンタとCIMなどのICT施工を融合。従来の現場打ち工法等と比較して、作業人数を6割削減、施工日数も7割削減と大幅に短縮するという3Dプリンタ技術を活用することによる施工効果を証明した。

2025年11月には、吉村建設工業と建設用3Dプリンタを開発する株式会社Polyuse(東京都港区)が共同で現場見学会を開催。多くのメディアから高い関心が寄せられたことも記憶に新しい。

一方、業界のルールづくりも着実に進展している。土木学会コンクリート委員会は約1年半の議論を経て、2025年7月に「建設用3Dプリント埋設型枠を用いたコンクリート構造物の技術指針(案)」を発刊。製造から維持管理に至る体系的な取り扱いが整理された。

現場での実績と土木学会による指針策定。これらにより、建設用3Dプリンタは今、まさに「本格的な社会実装ステージ」へと移行したと言えよう。今後は地域ゼネコンを中心に導入が加速し、一般土木のみならず災害復旧での活用も期待される。

今回は吉村建設工業取締役・吉村成一氏と、Polyuse代表取締役・大岡航氏の両名に、建設用3Dプリンタで描くこれからの展望について聞いた。

「作業人員6割減・当該施工日数7割短縮」という驚異の成果

左から、吉村建設工業取締役・吉村成一氏、Polyuse代表取締役・大岡航氏

左から、吉村建設工業取締役・吉村成一氏、Polyuse代表取締役・大岡航氏

――中山石見線道路改築工事では、「作業人員6割減・当該施工日数7割短縮」という驚異的な成果を上げました。これほどの大規模工事で実利を生み出した具体的な手法と、そのインパクトについて教えてください。

大岡氏 日本の建設現場において、これほど大規模かつ実戦的に3Dプリンタが活用された事例は注目すべき事例だと思います。とくに特筆すべきは、受注者である吉村建設工業さんが、弊社の建設用3Dプリンタ技術を自社の事業スキームの中に完全に組み込み、自社技術として若手社員チームが主体となって現場を動かしていた点です。

本工事では、現場付近に設置したヤードで約350個の部材を製作する「ニアサイト」方式を採用し、輸送コストの大幅な抑制に成功しました。また、重力式擁壁(116.4m)では、「埋設型枠」の方式を採用し、内部にコンクリートを充填する工法を適用しています。

これほど大幅な数値削減を実現できたことは、施工プロセスそのものを変革する建設DXの大きな到達点の一つといえる成果だと考えています。見学会の際は、擁壁部材を直接設置場所に造形する「オンサイトプリンティング」も公開し、施工のあり方を刷新する新たな可能性を提示しました。今後に向けての実証と情報発信の両面で意義ある成果を示すことができ、建設用3Dプリンタの更なる可能性を構築していく大きな手応えを感じています。

3Dプリンタ施工

――発注者が「京都市」であるという点も、自治体発注工事におけるDX推進として象徴的ですね。

大岡氏 これは吉村建設工業さんが5年という歳月をかけ、京都市を含めた行政機関の方々と今後の建設業界、実際の現場状況、建設用3Dプリンタ技術の品質や安全性、周辺環境への配慮などを一つ一つ対話を重ね、信頼関係を築いてこられた結果だと感じています。AR技術やCIMデータの活用を含め、地域ゼネコンが「地域の守り手」としての誇りを持ち、最先端技術で土台を支える姿は、他のゼネコンにとっても非常に参考になるモデルケースになるはずです。

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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