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「もう一つのYKK APを創る」堀会長が目指す“感動を伴う都市緑化構想”とは?

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長井 雄一朗
公開日:2026.04.08
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左から、テラヤマの寺山樹生社長、田主丸緑地建設の小西範揚社長、YKK AP LANDSCAPEの粟井琢美社長、YKK APの堀秀充会長

左から、テラヤマの寺山樹生社長、田主丸緑地建設の小西範揚社長、YKK AP LANDSCAPEの粟井琢美社長、YKK APの堀秀充会長

目次
  1. 「緑が持つ美しさに、心を大きく動かされた」
  2. 司令塔・LANDSCAPE社が描く「官民融合」のグランドデザイン
  3. 空間デザインと技術の最高峰。田主丸緑地建設が放つ圧倒的な「美」の世界
  4. 公園を激甚災害から街を守る砦に。テラヤマが挑むグリーンインフラ
  5. 改正都市緑地法を追い風に、3,800億円市場の「旗手」を目指す

YKK AP株式会社(魚津彰社長)の都市緑化事業を統べる「YKK AP LANDSCAPE株式会社(粟井琢美社長、以下・LANDSCAPE社)」が本格始動した。同社は2月10日、造園から植栽販売までを担う株式会社田主丸緑地建設(福岡県久留米市、小西範揚社長)の全株式を取得。さらに、公共領域への攻勢を見据え、2024年7月に取得済みであった株式会社テラヤマ(埼玉県川口市、寺山樹生社長)も傘下へ移管している。官民を繋ぐ巨大な緑化の歯車が、いよいよ回り出した。

企画から維持管理までを統括するLANDSCAPE社は、「都市の風景をデザインする」を掲げ、建築と緑が共鳴する豊かな空間を目指す。深刻化する気候変動を背景に、自然の力をインフラに宿す「グリーンインフラ」への期待は今、かつてないほどに高まっている。民間と公共の双方で、緑が持つ価値は都市の生命線へと変わりつつあるのだ。

LANDSCAPE社が求めたのは、民間領域における圧倒的なデザイン力と施工、そして安定した供給力だ。その鍵を握るのが、植木の産地・久留米に根を下ろす創業70年の雄、田主丸緑地建設である。小西範揚社長が生み出す意匠は、米国の国際アワード金賞を射止めるなど世界を魅了してやまない。中高価格帯の戸建住宅から商業施設まで、そのブランド力は「技術者集団」としての矜持を体現し、都市の余白を美しく埋めていく。

一方で、創業から58年の歴史を誇るテラヤマは、街路樹や公園といった「公共の顔」を長年支え続けてきた。今回の再編により、田主丸緑地建設が「民間」を、テラヤマが「公共」を担う包括的体制が完成。設計から施工までを一貫提供するこの力強いタッグは、YKK APの建材事業と深く連動し、都市に新たな価値を創造する。LANDSCAPE社は2030年度の売上目標に100億円を掲げ、持続可能な未来に向けた挑戦を加速させる。

2月16日、都内で開催された記者会見。壇上にはYKK APの堀秀充会長をはじめ、粟井、小西、寺山各社長が顔を揃えた。

「緑が持つ美しさに、心を大きく動かされた」

YKK APの堀秀充会長

YKK APの堀秀充会長

会見でYKK APの堀秀充会長は、次のように切り出した。

「コロナ禍以前から、ずっと考えていたことがある。それは、『もう一つのYKK AP』を創り上げることだ」

常に精密な工業製品と向き合ってきた堀会長が、次なる情熱を注ぐのは「緑」だ。美しい自然とともに歩む事業展開。その想いはコロナ禍という荒波で一時停滞を余儀なくされたが、決して潰えることはなかった。

「私以外の3名は、文字通り緑化事業のプロフェッショナル。この上なく優れたメンバーに恵まれ、ようやくこの日を迎えることができた。省エネ、そして景観。都市が抱える課題に対し、心に響く『感動』を伴う事業を推進していきたい」

今回の田主丸緑地建設の全株式取得により、長年描き続けてきた構想が、確かな形となって動き出すこととなった。堀会長をそこまで突き動かしたものは何か。それは、田主丸緑地建設が創り出す圧倒的な美の世界だった。

「彼らの作品を拝見した際、そこには小さな庭と、苔、水、そして光が見事に調和していた。ただじっくりと眺めてしまった。『これならば、美味しいお酒が飲める』。そう直感するほどの感動が、そこにはあった」

窓という製品を眺め続ける人は稀かもしれない。しかし、緑の美しさには人の心を動かし、その足を止めさせる力がある。

「緑が持つその美しさに、私の心は大きく動かされた。この新体制を機に、我々の新たな柱としてさらなる高みを目指す」。堀会長はそう語り、緑化事業への並々ならぬ情熱をにじませる。

司令塔・LANDSCAPE社が描く「官民融合」のグランドデザイン

YKK AP LANDSCAPEの粟井琢美社長

YKK AP LANDSCAPEの粟井琢美社長

続いて、LANDSCAPE社の粟井琢美社長は、「官民融合のグランドデザイン」について語った。

「私たちの目的は、都市と自然を調和させること」

LANDSCAPE社が目指すのは、単なる植栽の提供ではない。建築と緑が一体となった「ランドスケープ」という新たな価値の創造だ。同社はグループの司令塔として、市場調査からM&A、コンサルティングまでを縦横無尽に展開。デベロッパーに対しても、開発の「川上」から参画し、理想的な都市の実装を狙う。

「時間はかかるかもしれないが、田主丸緑地建設が公共を、テラヤマが民間を担うような相互乗り入れも含めた相乗効果を期待している」

互いの強みを溶け合わせ、官民両輪で維持管理まで一貫提供する体制。それが彼らの武器だ。

事業体制と展開

事業体制と展開

今後の拠点戦略も明確だ。現在は首都圏を固めているが、次なる標的は関西。会見中、堀会長が「関西に支店を」と望む場面があった。個別にテラヤマの寺山社長へ取材したところ、「施工会社としてカバーできていないエリアは大阪。大阪支店を開設するか、良いお見合い相手がいて大阪の企業をM&Aできれば、補完的に大阪エリアも展開できる」と応じた。

その視線はさらに海を越え、シンガポールやアジア圏へ。本業との親和性が高いエリアでの調査も視野に入れる。「YKK APの理念に共感し、日本の環境整備に前向きな企業であれば、今後もM&Aは積極的に検討したい」

粟井社長の言葉からは、グリーンインフラの旗手としての覚悟が滲む。これまでもYKK APは、ビルダー向けに「売れる分譲住宅」のエクステリア設計支援を展開。3年間で約230ものプロジェクトが動いたこの成功体験に、小西社長の稀有なデザイン力が加わる。企業連携による大規模緑化から、中高価格帯の住宅緑化まで。五大領域をカバーする盤石の体制で、2030年度には売上100億円という大台を目指す。

「今後は設計だけでなく、植栽、施工、そして維持管理まで。長い時間軸で顧客を支えるスキームが完成した」

都市緑化事業への展開

都市緑化事業への展開

2月には、東京渋谷区に3社共同のサテライトオフィスを設置。そこは単なる執務スペースではなく、公共事業の拠点であり、何より「新たな人材を惹きつける場」だ。情報発信の中核となるこのオフィスから、彼らは都市緑化の概念を塗り替えていく。渋谷という変化の激しい街で、3社の個性が混ざり合い、これまでにない都市の風景が描き出されようとしている。

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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コメント(1)

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  • - 2026/04/08 19:57

    民間で必要とする人に提供する事は良いと思います

    公共事業の場合は市民の意見を聞いてからにした方が良いですね

    今の世界情勢を見ると防衛施設や避難所に
    お金をかけたほうが良いと思います

    地方のインフラなんかも良いですね
    無理に人口を同じ場所に集中させた場合戦争になった時怖くないですか?

    返信する 通報する

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