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日本のCO2排出「2/3」はインフラ関連。土木分野のCN実装を阻む「構造的課題と打開策」とは?

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公開日:2026.06.11
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CNの「普及の壁」を打破する3つのアプローチ

そこで同プロジェクトでは、主として次の3点に取り組む。第1に、排出量の約3分の2を占めるインフラ等の運用に広く関わる土木分野として、長期にわたり国や地域の安全や社会経済活動を支えるというインフラの特質を踏まえた上で、CNを進めるに当たり不可欠な視点を提示する。あわせて、土木分野でのCN関連の取組みを俯瞰し、体系的に整理・取りまとめた上で、取組みの「見える化」を図り、社会に分かりやすく発信する。

第2に、災害時の電源確保に資するCNへの取組みを整理・取りまとめ、発信する。エネルギーの脱炭素化、分散型電源、蓄電は、平時でのCNの推進に役立つだけでなく、災害時の非常時における電源確保を通じて災害対応力の強化にも役立つ。この相乗効果を具体的に示し、レジリエンス強化の観点からも土木分野としての貢献の姿を提示する。

第3に、CNの推進に当たり、普及・定着に向けて関係者が共通に押さえるべき課題を整理するとともに、普及を阻害している具体的な障壁(既存の基準・規制・制度・運用)を明確化する。実効性のある見直しや運用改善の方向性を提示し、先進的な事例が社会に広がるための環境整備を図る。同プロジェクトは、土木分野のCNを体系的に整理・発信し、これらの社会実装を阻む課題の解消に向けた改善方策を提示し、CNの実現に向けた実施の加速を目指す。

プレスに提言の解説をする池内会長

プレスに提言の解説をする池内会長

CN実装の鍵を握る「4つの本質的視点」

土木分野におけるCNの実現には、インフラのライフサイクル全体を見据え、中長期的かつ統合的な視点で施策・投資・運用を組み合わせることが不可欠だ。提言では、「4つの視点」と「5つのカテゴリー」を示した。

第1に「長期的な視点」。耐用年数が長いインフラの特質を踏まえ、100年程度の時間軸を意識し、将来の不確実性を前提とした段階的更新など「将来の選択肢を残す設計・投資」が求められる。

第2に「空間的な視点」。国土・流域・街区といった複数の空間スケールでCNを推進し、エネルギー、土地利用、インフラ配置を行政区域にとらわれず空間上で統合・可視化して一体的に扱う必要がある。

第3に「エネルギー形態の視点」。電気・熱・化学エネルギーの利用・貯蔵特性に応じ、変換・貯蔵・融通を組み合わせてシステム全体の最適化と損失低減を図る。

第4に「レジリエンス強化の視点」。平時の排出削減だけでなく、非常時の機能維持(電力・熱・燃料の供給)による災害対応力強化を一体的に計画・運用することが重要となる。

土木分野でのCNは、再生可能エネルギーの活用、都市・交通の省エネ、インフラの整備・維持管理、CO₂吸収源の拡大、分散型エネルギーの導入など多岐にわたり、行政・企業・大学・地域など多様な主体が個別に推進している。しかし、広範囲な取組みが個別展開されているため、土木分野全体として「何が、どのように、どの程度行われているのか」という体系的な把握や、相互の関係性が見えにくいという課題がある。

これらの4つの視点を踏まえ、土木分野の取組みを俯瞰的に整理・分類し、分野横断的な位置づけと代表例を示している。

① 再生可能エネルギー等の供給・貯蔵・利用

水力や風力発電、水素、軽油代替燃料、下水汚泥等の未利用エネルギーの供給・貯蔵・利用によるCNの推進。

② エネルギー利用の効率化・省エネ

交通の効率化、街区・流域単位など空間的視点での分野横断的連携を通じたエネルギー利用の効率化や省エネの推進。

③ インフラの整備・維持管理・更新

低炭素材料の開発とインフラへの導入、建設機械の脱炭素化、インフラの長寿命化など、ライフサイクル全体を通じたCNの推進。

④ CO₂の吸収

ブルーカーボン、CO₂固定コンクリートの活用、木材利用、地下貯留等による、排出されたCO₂の回収と長期的な固定の推進。

⑤ レジリエンス強化につながるCNへの取組

地域マイクログリッド等による脱炭素化と、これを通じた災害時の機能維持、地域レジリエンスの強化。

これらのうち、①および②は対象エリアのスケールに応じたエネルギーの最適化が必要なため、「空間的」「エネルギー形態」の視点がとくに重要となる。③や④はインフラの耐用年数や炭素固定の持続性を踏まえるため「長期的な視点」が不可欠で、⑤は「レジリエンス強化の視点」を軸に、他分野と組み合わせることで相乗効果を生む。

土木分野でのCNへの取組み事例

土木分野でのCNへの取組み事例

ルールを変え、人を育てる。分野横断のCN推進

CN実現では、土木分野はインフラの「つくり方」と「使い方」の双方に深く関与し、排出量の相当部分に対して影響を及ぼし得る分野だ。このため、緩和と適応を車の両輪として一体的に進めるうえで、重要な役割を担う。とりわけ、気候変動の影響が顕在化する今日では、CN推進とともに、災害等の非常時でも機能を確実に維持し得る社会の実現が強く求められる。

そこで提言では、各分野での推進における「課題」と、「障壁」を明確化し、社会実装と普及を阻害している要因と改善の方向性を示した。CNを社会に定着させるには、個別技術の開発・導入促進に加え、基準・規制・制度・運用といった周辺条件を整備し、事業の意思決定から実施に至るプロセス全体において「より低炭素な取組が選択される」環境を構築することが不可欠だ。

今後は、計画段階から設計、施工、維持管理に至る各局面で、阻害要因の見直しと運用改善を着実に推進する必要がある。とりわけ、排出削減効果を客観的に評価し得る共通指標を整備し、これを計画策定、公共調達、補助制度、評価制度に一貫して組み込むことが重要となる。これにより、投資判断や技術選定が「費用」のみならず「削減効果」を含めた総合的な比較に基づいて行われるようになり、関係者が説明責任を果たしやすくなる。

さらに、先行事例の成果やデータを体系的に蓄積・共有し、計画や基準の改定、運用改善へとつなげるフィードバックの循環を確立することで、普及・定着の一層の加速が期待される。加えて、人材や組織の観点からも、評価手法やデータ整備を担う体制の確立、地方自治体・事業者・研究機関の連携強化、標準化やガイドライン整備を推進する枠組みの充実が求められる。

提言でCNに資する取組みの一つとして示された「矢作川・豊川CNプロジェクト」

提言でCNに資する取組みの一つとして示された「矢作川・豊川CNプロジェクト」

CNの推進には、土木分野にとどまらない多様な知見と実践の連携が不可欠だ。まずは分野横断・異分野連携を促進していく必要がある。それと同時に、技術者の資質向上を支援する学習プログラムの充実や、未来の技術者へのアウトリーチの強化など、CNに資する人材の育成を進めることも重要となる。

今後、土木学会は、①課題や障壁の改善状況の把握と見える化、②CNに資する土木技術の体系化と標準化の推進、③CNに資する研究成果の発信を通じて、土木分野におけるCNの普及・定着を継続的に支える方針を示した。

参考:提言「カーボンニュートラルでレジリエントな社会づくりプロジェクト ~気候変動に対する緩和と適応に向けて、何を改善すればよいのか~」を公表いたしました(土木学会)

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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コメント(1)

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  • - 2026/06/11 19:11

    世界情勢を見るとCNがどうなるか分かりませんね…。

    先ずは電力をどうするか考えないと駄目な気がしますね。

    物事を大きくとらえるとAIが稼働する事も関係しますね。

    国内だけで考えるのも何か違う気がしますしね。

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