「涼しさ」を科学する。昭和商会と生んだ「ファン付きペルチェ式冷却ベスト」
――熱中症対策のなかでも、「ファン付きペルチェ式冷却ベスト」が大きな注目を集めていますね。
荒川氏 約1年前、現場からの切実な要望が製品開発のスタートでした。当時、「ファン付き作業服」と、冷たい金属端子で身体を冷やす「ペルチェ素子内蔵ベスト」がそれぞれ別々に存在していましたが、現場管理者はフルハーネスをはじめとする多くの装備を背負って業務を行う必要があるため、両方を重ねて着るとかさばり、現場での動きが著しく制限される課題がありました。
そこで、安全管理課から現場用品の総合卸商社である昭和商会様に「この2つの機能を1つのベストに統合できないか」という提案を行って、共同開発がスタートしました。完成した初代モデルは2025年に全社員に配布し、大東建託協力会の会員様向けにも購入費の補助金支給を始めました。そして、1年間現場で運用する中で集まったさまざまな意見を取り入れ、今期大幅なリニューアルを施したのが最新の「ファン付きペルチェ式冷却ベスト」です。
――どのようなリニューアルを?
荒川氏 主に4点あります。まず1つ目は「ベストのカラー」です。色によって直射日光下での太陽光の熱吸収率は大きく異なるため、従来の紺色から、シルバー系にすることで、輻射熱の影響を大幅に低減しました。
2つ目は「ファンの能力向上」です。より強力な風量を確保できるよう、ファンの基本性能を引き上げました。
3つ目は「バッテリーの軽量化と統合」です。昨年はペルチェ用とファン用で計2個のバッテリーを搭載しなければならず重さが課題でしたが、今期は1.5個分相当の重量に抑えた1つのシステムで、両方の機能を同時に回せるように改良しました。
4つ目が「ペルチェ素子の配置自由度の向上」です。昨年までは脇の下だけを冷却する構造でしたが、今期からは着る人の好みに合わせて、襟元(首元)にもペルチェ端子を付け替えられる仕様にしました。
このように、現場の声を忠実に反映させることで、実用性を極限まで高めた作業着へと進化させています。
――体感だけでなく、科学的な有効性についてはどのように実証されましたか?
荒川氏 単に「冷たくて気持ちがいい」という主観的な感想だけでなく、学術的な知見から製品の真の効果を検証するため、立教大学スポーツウエルネス学部の石渡貴之教授、安松幹展教授、そして環境生理学および熱中症対策の権威である松山大学人文学部の田中英登教授(横浜国立大学名誉教授)に委託し、共同で実証実験を行っていただきました。
実験では、気温32℃・WBGT 28℃という暑熱環境を再現し、被験者に軽運動(歩行)を行ってもらいながら、身体の生理反応や心理変化を精密に測定しました。従来のファン付き作業服は外気を取り込んで汗を蒸発させる「気化熱」に依存するため、気温が皮膚温を超えるような高気温下では熱風を吸い込むことになり、冷却効果が限定的になるという弱点がありました。
しかし、気化熱ファンと「ペルチェ素子による直接冷却」を組み合わせることで、ペルチェ端子が直接触れている部位だけでなく、非接触部位である「上腕部」の皮膚温度の上昇までも約0.5℃抑制できるという結果がデータとして実証されました。
この実験結果を受け、監修いただいた石渡教授からは「使用者の好みに合わせてペルチェの設置箇所を自由に変更し、人体に正しく接触させることで、より高い効果が得られる」との評価をいただき、田中教授からも「厚生労働省が進める建設現場の熱中症対策に大きく貢献する価値ある取組み」という大変心強いコメントをいただくことができました。
――かなり高性能な冷却ベストですが、どのように現場への普及促進をしているのでしょうか?
荒川氏 まず、4月に当社へ入社した約70名の新入社員や中途採用の社員をはじめ、すべての現場監督に対しては会社から新タイプを直接貸与・配布しています。すでに昨年の旧タイプを支給されている社員に対しても、現場で長年使用して壊れた際などの交換時には、順次この新型モデルへと切り替える運用を行っています。
一方、協力会社への提供については、大東建託の協力会社向けに安全備品などの販売を行う「すまちく建材店」というWEBサイトを窓口に対応しています。大東建託協力会に所属している事業者から協力会費をいただいて運営しているため、その原資をもとに「独自の補助金」を上乗せして特別価格で販売しています。
具体的な累計販売個数については、まだ今期のリリースから間もないため詳細な数字までは把握できておりませんが、昨年の旧タイプの段階でも数百単位での注文がありました。
“サウナ”からの解放。ソーラー駆動の「ミストファン付き快適トイレ」
――熱中症対策のもう一つの目玉として、現場用の仮設トイレを刷新し、大東建託モデルである「ミストファン付き快適トイレ」を試行設置されていますね。
荒川氏 この仮設トイレの刷新は「休憩・リフレッシュ環境の改善」を狙ったものです。建設現場でトイレを使用するタイミングというのは、朝の到着時、10時の休憩時、お昼前、そして15時の休憩時と予測がつきます。従来の仮設トイレはプラスチック製の密閉された空間のため、真夏には室内に熱がこもり、まるでサウナや温室のような過酷な高温多湿状態になっていました。
そこで、単に衛生的なだけでなく、快適に過ごせる空間づくりを目指しました。実は、外壁に光触媒コーティングを施してアンモニア臭などの不快な臭いを抑制する「快適トイレ」自体は、昨年10月以降の契約物件からすでに標準導入を進めていました。今回はそれをさらに進化させて、天井部に「太陽光パネル」を搭載した独自の試行モデルです。
このモデルの最大の特長は、現場に外部電源がない状態でも、太陽光パネルによる自家発電によって、室内の「強制換気扇」と「ミストファン」を完全に省エネ運用できる点にあります。これにより、用を足すわずかな時間であっても、こもった熱気や臭いを一掃し、ひんやりとしたミストによる確実なクールダウン空間を提供することが可能となりました。
また、現場で活躍する女性現場監督や女性技能労働者の増加という時代の変化に合わせ、防犯面とプライバシーに配慮した「二重ロック」構造を採用し、アメニティが置ける収納ボックスの設置や室内外の抗菌加工を施すなど、男女問わず誰もが安心して清潔に使用できる設計を徹底しています。
――「ミストファン付き快適トイレ」の試験現場での評判は?
荒川氏 実際にこの試行モデルを設置して運用している現場にヒアリングを実施しました。最も多く聞かれたのは、「真夏でもトイレに入るのが苦にならなくなった」という非常に率直かつ喜びの声です。私も現場の叩き上げとして20年以上建設業界に身を置いていますから、夏の仮設トイレに入った瞬間のあの”ツン”とする凄まじいアンモニア臭や、一気に汗が吹き出すような不快感は身に染みて知っています。
「ここまで現場の環境を快適に変えようと考えて、配慮してくれていることが本当にありがたい」という感謝の言葉を直接いただき、実施してよかったと心から実感しています。
また、女性の現場監督や作業員からも、「二重ロックがあることで安心して利用できる」「女性への配慮がしっかり感じられる仕様になっている」といった好意的な意見を数多く集めることができました。
「ミストファン付き快適トイレ」の試行モデルについては、東京都新宿区大久保のRC造ホテル・共同住宅現場(101戸)等、都内2箇所の現場に先行して設置を予定しています。
今後も、実際に使用した方々から寄せられた様々な改善点や意見を精査し、さらなる展開の拡大を行っていくつもりです。





やはり思うのは予算のある現場は良い!
実際のところ業務委託のインフラ工事でこう言った装備を支給できるかが課題でしょう…。
実際熱中症労災があった現場の工事金額とか公表した方が良いと思いますよw
この業界安全管理費等で計上できる物も計上されていませんからねw
安さが正義ですよね?行政機関は見て見ぬふりですよね?
市町村の行政機関は本当に内訳書や請負書チェックしてるんですかね?
追記ですが凍らせたペットボトル入れるやつありますよw
ペルチェ素子は長持ちしませんから高くつきますよw
パソコンのオーバークロックで昔良く使われていましたね!
炭酸ガスや液体窒素を使って冷やすんですw
ミストクーラーと仮設テントで休息を増やした方が良いと思いますねw