「経験値の過信」を防ぐ。独自休憩ルールと遠隔見守りカメラ
――独自に導入している休憩のルールはありますか?
荒川氏 どれだけ優れた冷却装備や快適なトイレを用意しても、現場で正しく運用され、作業を「止める判断」が実行されなければ意味がありません。現在、大東建託の現場では、環境省が推奨する暑さ指数(WBGT値)が28℃以上の「厳重警戒」に達すると予測される日の朝、すべての現場管理者がスマートフォンなどで「アラートメール」を受信する設定を義務付けています。そして現場に設置の黒球付熱中症計のアラート発令時には、当社独自ルールとしてWBGT値28以上の場合、「1時間おきに15分から20分程度の休憩を必ず挟む」という運用を現場へ義務付けています。
しかし、この取組みをスタートした当初は、現場の職人さんたちの「経験値への過信」という壁にぶつかりました。「WBGTが28℃を超えていても、まだ自分の体は動くから大丈夫だ」「切りのいいところまでやってしまいたい」と、作業を継続しようとする傾向がどうしても見られたんです。職人さんたちは日給月給制や出来高制で動いている側面もあるため、やった分だけ報酬になるという心理から、仕事に熱中してしまうのは無理もないことではあります。
しかし、熱中症の恐ろしさは、そうした目に見えない疲労や脱水の蓄積によって、ある瞬間を境に一気に重症化・重篤化する点にあります。プールで1時間泳いだら必ず一度全員を水から上がらせて休憩させるのと同じように、強制的に身体をクールダウンさせる時間を設けることは、科学的にも絶対必要な措置なんです。熱中症は防ぎ得る「労働災害」であることを分かってもらうため、朝礼や昼礼、さらには、毎月開催の災害防止協議会や安全大会の場を通じて、根気強く、何度も繰り返し伝達を行ってきました。
その結果、現在では現場全体にこの意識が徐々に浸透しており、アラートが鳴った際には自発的に作業をストップさせる体制が実行されつつあります。昨年もいくつか熱中症の事例自体は発生してしまったものの、初期の適切な休憩と処置により、重症化・重篤化を防ぐことができたのは、この繰り返しによる大きな成果だと捉えています。
――こうした取組みの現場での運用は、どのように確認しているのでしょうか?
荒川氏 全国の施工現場に計730台の「遠隔見守り用ライブカメラ」を配備しています。このカメラは、資材の搬出入や工程の進捗確認といった通常の現場管理だけでなく、安全管理における極めて貴重なツールになっています。各拠点の管理職が複数現場をオフィスから一括で見守るだけでなく、複数の現場を掛け持つ担当監督が、外出先から自身のスマートフォンで現場の安全状況をリアルタイムに確認・監視できる体制になっています。
歩み寄るのは元請から。多言語ツールで外国人作業員の命も等しく守る
――大東建託では、多くの外国人作業員が従事されていますが、どのような安全・熱中症対策の工夫をしていますか?
荒川氏 2025年度の実績では、外国人作業員数は7,970名に達しており、全体の12.2%を占めています。彼らの安全を預かる立場として、言語の壁をいかに乗り越えるかは非常に重要なテーマです。
具体的な対策では、現場内に最大7ヶ国語に対応したピクトグラム付きの熱中症啓発看板や禁止事項のポスターを掲出しています。「めまい」「吐き気」「意識障害」という危険なサインや発症時の応急処置フロー、緊急連絡先をイラスト交えて多言語で分かりやすく表現したものです。
安全管理課が現場パトロールに赴いた際にも、外国人の作業員に直接ポスターを指差しながら「この文字の意味、分かる?」と声をかけるようにしており、「これなら分かります」という笑顔の返答をもらうと、現場への歩み寄りとして作って本当に意味があったと実感しますね。
さらに一歩進んだ取組みとして、外国人作業員の中でとくに割合の多い「ベトナム語」と「インドネシア語」の2ヶ国語に対応した「送り出し教育ツール動画」を独自に制作し、事業主の教育にも元請として安全ツールを提供しています。
動画には、一般的な建設現場への入場ルールだけでなく、大東建託独自のハウスルールや熱中症対策の細かな決まりごとが盛り込まれています。これを協力会専用のWEB掲示板にアップロードして、各会員事業主が外国人を雇用・配置する際の教育用資材として自由に活用できるシステムを構築しました。
彼らが日本に技術を学びに来てくれた大切な仲間であるからこそ、単に「早く日本語を覚えなさい」と突き放すのではなく、元請の側から教育環境を整備して歩み寄っていく姿勢こそが、外国人労働者の災害ゼロを達成するためには不可欠ですから、「送り出し教育」でも積極的なフォローとサポートを行っています。
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「当たり前の安全」を業界全体へ
――最後に、今後の抱負と建設業界全体の安全向上に向けたメッセージをお願いします。
荒川氏 私自身、安全管理課という部署でこうした大役を担わせていただいていますが、
数年後には現場の管理者となります。しかし、どの立場であっても、現場の命を守るという意志は変わりません。
私たちが実践しているこうした一連の取組みが、いずれは宝のように磨かれ、大東建託の現場だけでなく、日本の建設業界全体における「当たり前のスタンダード」になっていくことを願っています。
建設現場で働く皆さまが、夏になれば当たり前に涼しい高性能な作業着を着て、快適で綺麗なミスト付きのトイレを利用し、AIやウェアラブル端末に見守られながら、誰一人命を落とすことなく健康に家へ帰る。そんな安全な職場環境を業界全体が一体となって作り上げることができれば、これほど嬉しいことはありません。
これからも施工パートナーの皆さまと手を取り合って、労働災害ゼロ、熱中症による重症化ゼロの達成に向けて、一歩一歩着実に挑戦していきたいですね。
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やはり思うのは予算のある現場は良い!
実際のところ業務委託のインフラ工事でこう言った装備を支給できるかが課題でしょう…。
実際熱中症労災があった現場の工事金額とか公表した方が良いと思いますよw
この業界安全管理費等で計上できる物も計上されていませんからねw
安さが正義ですよね?行政機関は見て見ぬふりですよね?
市町村の行政機関は本当に内訳書や請負書チェックしてるんですかね?
追記ですが凍らせたペットボトル入れるやつありますよw
ペルチェ素子は長持ちしませんから高くつきますよw
パソコンのオーバークロックで昔良く使われていましたね!
炭酸ガスや液体窒素を使って冷やすんですw
ミストクーラーと仮設テントで休息を増やした方が良いと思いますねw