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三菱地所ホームが本社移転。国産材を活用しイノベーションを生み出す新オフィス「TOKYO BASE」が誕生

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長井 雄一朗
公開日:2022.08.10
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新オフィス「TOKYO BASE」のカフェ空間「Ground」

新オフィス「TOKYO BASE」のカフェ空間「Ground」

目次
  1. オフィス空間提案の新規事業を検討
  2. グループで初のABWを導入、固定席を廃止に
  3. 木造木質化の流れがオフィスに変革を生み出す
  4. 7割強のペーパーレス、棚のスリム化を実現
  5. オフィスが変わると会社の風土や意識も変わる

三菱地所ホーム株式会社は、本社を国際新赤坂ビルから新宿イーストサイドスクエアに移転、国産材を活用し、感性を高め社会課題の解決に向けたさまざまな機能を実装する新オフィス「TOKYO BASE」を設立した。この感性を開く未来共創型オフィスから、価値あるイノベーションを創発させる場としていく方針だ。

「本業は住まいづくりですが、暮らしなどさまざまな領域でビジネスは存在します。住まい領域の隣地、あるいは飛び地でもビジネスの萌芽が生まれつつある。これから一つずつそれをカタチにしていきたい。こうしたオフィスであれば、新規事業の発想も生まれやすいのではないかと期待しています」と、加藤博文社長は語る。

なお同社は4月1日付で、新規事業領域への取り組みをより強化し、加速的に推進することを目的として、経営企画部の新規事業創造室を「新規事業創造部」に改組、部長に横須賀直人氏が就任している。

なお、本社移転のデザイン企画は同社、設計監理は株式会社イトーキ、施工はこの両者が担当した。

オフィス空間提案の新規事業を検討

この新オフィスを見て、オフィス革命の流れが建設業にも押し寄せていることが否が応にも実感できた。オフィスが変われば生産性も向上し、新たなアイディアも生まれる。

「このTOKYO BASEをスタートとし、ワークスタイルを変革し、あわせて当社の主力商品の材料である国産材を皆で感じてもらうため、オフィスに丸太などを散りばめており、国産材の中で仕事をして意識を高めてもらいます。当社は住宅の空間づくりを展開していますが、今回の経験で今後オフィス空間の提案もできるのではないかと気づいた点もあり、BtoBビジネスの領域にも踏み込んでいきたい」(加藤社長)

今回はコロナ禍が続いている状態での本社移転となった。働き方がここ近年、建設業でも劇的に変革していく中で、リモートワークについては今後どのように検討しているのだろうか。

「リモートワークについてはコロナ以前から検討しており、それが今回生きました。現在、7~8割の出社率ですが、これは仮にコロナが終息したとしても、リモートワークは続けたい。イノベーションを起こすためには、オフィスにとどまらず、外界の刺激を受けることが必要ですから、今後出社率6割で推移できれば望ましいと考えています」(中村和博ワークイノベーション推進部長)

グループで初のABWを導入、固定席を廃止に

「TOKYO BASE」ではイキイキと働くことができる環境を整備するため、三菱地所グループで初のABW(※1)を導入。固定席を廃止し、業務内容に合わせたさまざまなタイプの座席を自由に選択する。プランニングにあたっては、同社の事業特性や業務ごとの特性を考慮し、すべての社員のパフォーマンスの最大化を目指し、「MJH10のワークポイント」(※2)を設けた。

社員は取り組む業務内容に合わせて、オフィス内で最適なワークポイントを自由に選択し、主体的に働くことができ、さらにリモートワークなどオフィス以外を含めた広義のABWが生産性を向上させる。

執務エリアと「Ground」を仕切る全面ガラスウォール「UPDATE-Window」

執務エリアと「Ground」を仕切る全面ガラスウォール「UPDATE-Window」

カフェ空間や休息エリアでは国産材を活用。構造材を産出する小岩井農牧株式会社(岩手県・雫石町)、有限会社藤原造林(山梨県・甲斐市)から提供を受けたスギ・ヒノキ・カラマツの原木を設置した。社員が林業に携わる人々や林業が抱える課題を意識しながら、原木に触れることで感性を刺激し、同社の中核的な価値である木の可能性や商品思想に触れる場として活用する。

※1 「Activity Based Working」の略で、オランダで生まれたワークスタイル。社員が働きやすい環境を自分で選ぶワークスタイルを差し、自分が集中しやすい環境を自由に選び、その日の仕事内容に応じて、働く場所を自由に変えられる。

※2 「MJH10のワークポイント」は、高集中作業、集中作業、WEB会議/電話、ベースワーク、チームワーク、クリエイティブワーク、リチャージ、2人作業、定例会議・打合せ、アイディア出し。

木造木質化の流れがオフィスに変革を生み出す

「注文住宅における主力商品での国産材採用比率が約8割を上回り、ハウスメーカーとして今までにないオフィスで、できることを表現しています。現在の木造木質化の流れからすれば、こうしたオフィスが増えてくるのではないでしょうか。移転してから2週間ですが、木のぬくもりもあり、非常に居心地が良い」(加藤社長)

「社員は知識として木の有用性や、機能面については分かっていますが、原木に触れた社員は多くない。木の持つ力強さを感覚的に感じることで、我々が大切にしなければならない価値観を顧客と共有できるオフィスの実現を目指しました」(中村部長)

カフェ空間「Ground」では、岩手・福島・南九州の国産材に加え、現場で発生する端材を活用し、顧客や取引先との商談や打ち合わせスペースを設計した。リチャージ空間「Mori」では、スギ・ヒノキ・カラマツの原木5本と人工芝を施し、自然音を再生する音響効果による仮想の外部空間を構築。さらに、執務エリアと「Ground」を仕切る全面ガラスウォール「UPDATE-Window」を設けている。

リチャージ空間「Mori」

リチャージ空間「Mori」

7割強のペーパーレス、棚のスリム化を実現

また、建設業は紙にあふれて仕事をこなすことが多い。これはDXの時代に突入してもなかなか改善されない点でもある。

「今回、業務のデジタルシフトに大きく舵を切りました。当初は床からA4の紙を積み上げると、1kmにも及んでいました。これを大きく物流削減を行い、292mに減らし、7割強のペーパーレスを実現しました。従来の収納棚の本数も239本ありましたが、これを54本に減らしています。そして空いたスペースを社員がイキイキと働く環境の整備に使いました」(中村部長)

現在、同社ではSDGsなどの社会課題解決に向けた試みとして、オフィス内でカラマツの苗木を育てる「(仮称)苗木の循環プロジェクト構想」を推進中。これは、「TOKYO BASE」に設置したカラマツやスギ・ヒノキの原木が年月を経過し乾燥材となったものを小岩井農牧へ還し、木のプロダクトへ加工し、再びオフィスで利活用するとともに、「TOKYO BASE」から育った苗木を小岩井農牧に植樹するプロジェクト。都市にある「TOKYO BASE」を起点に苗木を通じて、地域とつながり、再造林や森林保全の大切さを社会に浸透していく試みだ。

「この木の循環サイクルをこのオフィスを介して行うことを、小岩井農牧とともに検討をしております」(中村部長)

オフィス内でカラマツの苗木を育てる「(仮称)苗木の循環プロジェクト構想」を推進

オフィス内でカラマツの苗木を育てる「(仮称)苗木の循環プロジェクト構想」を推進

 

オフィスが変わると会社の風土や意識も変わる

「従来から住まいづくりを通じて、新たに住まわれた方がそれによって人生が変わっていく姿を見ております。ですから自分の居場所が変わることは人生にとって大きなインパクトがあります。それはオフィスについても同様です。1日8時間の業務を行いますから、オフィスが変われば、様々なことが変わっていきます。このタイミングで会社の風土や意識を変えたいとするニーズもあると思います。我々は単なるハードにおける施工だけではなく、ソフトの部分でも会社全体の大きな流れを変えるビジネスを検討し、その一環としてオフィス変革の提案もこれから新規事業の一つとして考えております」(加藤社長)

注文住宅で大きな存在感を示す三菱地所ホーム。今後はオフィスの提案という新規事業でもビジネスシーズを探る方針だ。

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
三菱地所ホームが本社移転。国産材を活用しイノベーションを生み出す新オフィス「TOKYO BASE」が誕生 三菱地所ホームが本社移転。国産材を活用しイノベーションを生み出す新オフィス「TOKYO BASE」が誕生

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