「施工管理は、馬鹿になれるやつが最強だよ」。昔から先輩にこう言われてきた。
正直、初めのうちは何が言いたいのかよく分からなかったが、最近は、この言葉の本質的な部分を理解できるようになってきた気がする。
今回は、建設業界で働いていくうえで、馬鹿になれることがどれだけ重要なことか解説していこう。
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“クレーマーへの対応”こそ馬鹿になれ
世の中には、理不尽なことでクレームをつけて、金銭を取ろうとする人間がいる。こういう話の通じないクレーマーに対して、誠実に対応しようとする施工管理や喧嘩してしまう施工管理がいるが、どちらも得策ではない。
私は否定や反論をせず、とにかく話を聞くことに徹するようにしている。相手が何を言ってきても、「そうですね。申し訳ないです」という姿勢を貫くのだ。
実際、私たちが真摯に対応して解決できることならばいいが、悪質な場合、そこにつけこみ、さらに別の要求をしてくることも十分にあり得る。逆に、喧嘩をして口論になれば、相手も引くに引けなくなってクレームがさらに悪化することも考えられる。
理不尽なクレーマーへの対応こそ、馬鹿の一つ覚えのように、相手の話をとにかく聞いて、聞いて、反論をせずに聞くことに徹するのが1番だ。
“理不尽な小言”にこそ馬鹿になれ
新人や若手の頃は、現場で理不尽に怒られることも日常茶飯事だ。右も左も分からない新人に対して、職人が声を荒らげて怒鳴り散らす場面は珍しくない。「こんな理不尽な業界でやってられるか!」と、すぐカッとなって辞めていく人間も多い。
しかし、そんな理不尽な小言にこそ、笑って「すいません!」と言えれば大したものだ。最初のうちは理不尽なことを言われてもしょうがない、という心得は必要だと思う。
確かに、古臭い習慣で、今すぐに撤廃しなければならない風習だが、これを業界から完全に取り除くのは正直不可能だと感じる。時代が変わってはきているものの、建設業はいまだ高齢化が続いており、職人気質の人からの新人や若手に対する風当たりはまだまだ強い。
新人が馬鹿にならなければならないというのは、正直この時代において古い考えだが、成長できるチャンスと捉えて、馬鹿になる訓練をしよう。
邯鄲の夢の如し