日本建築仕上学会 女性ネットワークの会(熊野康子主査)は、一般社団法人技術同友会が主催する「第10回女性技術者育成功労賞」(後援:内閣府男女共同参画局、経済産業省、厚生労働省、国土交通省、文部科学省)を組織表彰の部門で受賞した。受賞式は8月8日、東京千代田区の如水会館で開催し、会場とオンラインで盛大に執り行った。女性ネットワークの会の副主査をつとめる、森嶋順子氏(トーヨー科建株式会社取締役営業部長兼千葉営業所所長)、奥田章子氏(株式会社大林組技術研究所生産技術研究部主任研究員(課長))の両名が参加、表彰状を受け取った。
女性技術者育成功労賞とは、産業界での女性技術者の活躍を推進・支援するために、女性技術者育成で顕著な成果を上げた個人や組織を表彰するもので、2014年から実施している。今回の個人表彰の部門では、11件(12名)、組織表彰の部門では9件が受賞した。
「建設業界で働く女性へのアンケート結果」などが評価
女性ネットワークの会は、建築仕上げに伴う設計や材料、構法、施工などの技術発展に貢献する「日本建築仕上学会」の企画事業委員会の下部組織。2013年に準備委員会が立ち上がり、翌2014年から本格活動を開始。会社、組織や職種の垣根を越えたネットワークをつくり、女性技術者が交流する場の提供を目的にしている。2023年では10年目を迎え、10周年記念講演会を行うなど各種イベントを各地で実施、今年は11年目となり新たな1ページを開く。
表彰理由は10年間にわたり女性の活躍推進を展開し、昨年では川口とし子氏(日本建築仕上学会理事、アーキスタジオ川口一級建築士事務所主宰)を招き、「親子で学ぶ 住宅のリフォーム教室」や、厚木や静岡で建築の組立てブロック教室を催したほか、長年続けてきた「建設業界で働く女性へのアンケート結果」などが評価された。
「おおむね外部に対する発信も評価されました。日本建築仕上学会内の関係者も大変喜んでいます」(熊野康子主査)

日本建築仕上学会 女性ネットワークの会の熊野康子主査
「女性ネットワークの会は継続的に出席される方が多く、アットホームな会であることが10年以上続いた秘訣です。女性活躍支援は、今後とも続いていかなければなりません。最近では男性の育児休暇が話題になっています。男性の育児休暇を取得することが当たり前になるまでは道半ばであることが現状ですが、今回の表彰で一歩前進したと思います」(熊野主査)
会の活動を企業や地域へと浸透させていきたい

第10回女性技術者育成功労者表彰式の全体のもよう
技術同友会代表理事より、個人表彰の11名と組織表彰の代表者の9名に表彰状とトロフィーを授与した。その後、白川貴久子審査委員会委員長からは、個人と組織の募集のポイントと審査基準の報告があり最後に、各受賞者が受賞の喜びと後進の女性技術者育成に関わる抱負を語り、表彰活動の意義を参加者が共有した。
技術同友会は、日本が高度経済成長を遂げた1972年9月、科学技術の有志24名が集い、自由な立場で、自然と調和し、社会との適合を目指す新しい科学技術の方向を求めることを目的として発足した。以来、広く産業界、学界、官界等の科学技術に携わる有識者の交流を促進。その時々の人間の未来に関する重要な諸問題について、会員相互の討議や調査研究活動を重ね、提言を中心に活動してきた。
「今回、受賞を機に女性ネットワークの会の活動はますます盛んにしたいですし、私の仕事は一段落したとも思っていません。これから女性活躍推進に参加される方が増えていくことが私の夢です。ここで満足せず女性ネットワークの会の活動を地域や各企業へと浸透していきたい。これからも女性活躍の推進が楽しみですね」(熊野主査)