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ゼネコンの公式HPが協力会社の「最強の求人サイト」に。伊藤組土建が示す、専門工事業との”運命共同体”のカタチ

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長井 雄一朗
公開日:2026.05.26
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伊藤組土建株式会社 常務取締役 総務本部長 阿部道浩氏

伊藤組土建株式会社 常務取締役 総務本部長 阿部道浩氏

目次
  1. 協力会社なくして、ゼネコンの存続なし
  2. 工程を見える化し、専門工事の価値を再定義
  3. 「名門」のブランド力をシェアし、持続可能な建設業界へ

ゼネコンと協力会社。かつては「発注と受注」という峻別された関係性が強調されがちだった建設業界において、両者が「運命共同体」として同じ地平に立つプロジェクトが、北海道から動き出した。

伊藤組土建株式会社(本社:札幌市、大谷正則社長)は、自社の公式ホームページ内に、新たなコンテンツとして「協力会社紹介ページ」を開設した。これは、協力会社から寄せられた「専門工事業の仕事内容や求人情報を発信する場を設けてほしい」という切実な要請をきっかけに誕生したものだ。

人口減少と地元回帰という北海道特有の課題に直面するなか、一社の利益に留まらず、業界全体の持続可能性を追求するこのプロジェクト。伊藤組土建と協力会社による合同チームが制作した同ページは、建造物の完成プロセスにおける専門工事の役割を「見える化」し、各企業の採用ページへスムーズにアクセスできる導線を設けている。

これまでスポットライトが当たりにくかった専門工事業の価値を再定義し、名門ゼネコンのブランド力と結びつけることで採用を支援する。この新たな形は、地方の建設業界が抱える人材的な閉塞感を打破する一筋の光となるはずだ。

本プロジェクトを推し進めた伊藤組土建の阿部道浩常務取締役と、協力会社の制作メンバー代表である株式会社杉本運輸の杉本憲昭社長に、業界の未来を見据えた決断の背景を聞いた。

協力会社なくして、ゼネコンの存続なし

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まずは、北海道の名門とうたわれる伊藤組土建の会社概要について改めてご紹介ください。

伊藤組土建・阿部常務

伊藤組土建は1893(明治26)年の創業以来、北海道の発展とともに歩んできた総合建設会社です。おかげさまで、北海道を代表するような建造物や難易度の高い工事も数多く任せていただき、ありがたいことに「技術の伊藤」と呼んでいただけるまでの実績を築くことができました。

近年は、下水熱利用やZEB等の環境関連技術、ICT施工なども積極的に取り入れています。常に社会のニーズに応えられるよう技術力向上に取り組み、社是である『責任観念』と『誠心誠意』を大切にしながら、北海道の未来に貢献し続けていくことを目指しています。

新桂沢ダム堤体建設工事(日建連表彰第6回土木賞受賞)

新桂沢ダム堤体建設工事(日建連表彰第6回土木賞受賞)

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続いて、今回のプロジェクトで協力会社側の代表を務められた杉本運輸の概要をお願いします。

杉本運輸・杉本社長

杉本運輸は北海道小樽市に本社を置き、1950年の創業時は運搬業からスタートしました。そこから徐々に事業を広げ、現在はクレーン作業や橋梁工事、資機材のリースなど、建設やインフラ整備に幅広く携わっています。

運搬という原点を大切にしながらも、今では高度な技術が求められる特殊な工事まで対応できるのが当社の強みですね。

株式会社杉本運輸の杉本憲昭社長

株式会社杉本運輸の杉本憲昭社長

施工の神様

専門工事業・協力会社の「採用の現状」をどのようにお感じですか。

杉本運輸・杉本社長

当社ではトラックドライバーやクレーンオペレーターの採用に注力していますが、これらの職種は当社に限らず全国的に苦戦を強いられています。とくに若い世代の入職者が限られており、入社志望者は50~60代が中心で、30~40代が少ないのが実情です。

若手人材の志望者が少ないということは、将来的な人材パイの縮小を意味します。これは運転手だけでなく、鳶工事や型枠工事など、他の専門工事会社も同様の悩みを抱えています。

施工の神様

なるほど…

杉本運輸・杉本社長

もちろん若手の獲得に成功している企業もあり、そうした成功事例は参考にしていますが、全社が同じように効果的な採用活動を展開できるわけではありません。

たとえば、2024年3月には外国人採用において「特定技能・自動車運送業分野」がスタートしましたが、当社が必要とするのは「大型」のトラックドライバーのため、一筋縄ではいきません。このように各社が採用活動には頭を悩ませていました。

石狩川頭首工管理歩廊橋(杉本運輸の実績)

石狩川頭首工管理歩廊橋(杉本運輸の実績)

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北海道という地域特有の難しさも影響しているのでしょうか?

伊藤組土建・阿部常務

ここ5年の傾向ですが、地元から離れたくない生徒や学生が多いように思えます。昔は札幌市への入職志向が強かったのですが、今は親御さんからも「同じ建設業で働くなら地元がいいのでは」という意見も多く、旭川市や帯広市から当社に来ていた人材が、今は地元の建設業に就職されるケースが増えてきたように思います。

杉本運輸・杉本社長

当社は札幌市にも営業所を置いていますが、人口集積地である札幌の方が反応はいいです。ただ、阿部常務がおっしゃった地元回帰型の傾向も強いため、他地域での掘り起こしはなかなか難しく感じています。

また、クレーンも資格が必要ですが、首都圏の給与水準が高いため、北海道や東北は首都圏企業の「人材の狩場」となっている面も否めず、社員の給与アップへの努力が欠かせない状況です。

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そうした様々な課題があるなかで、ゼネコンである伊藤組土建が協力会社の求人支援に乗り出した経緯を教えてください。

伊藤組土建・阿部常務

建設事業は、ゼネコン単体で建物やインフラを造れるわけではありません。多くの専門工事業者の皆様による協力体制があって、はじめて実現するものです。つまり、「専門工事業者の存続」は「当社の存続」に直結しています。

専門工事業者の人材獲得が業界全体で困難になるなか、当社にも何かできることはないかと、日頃から協力会社の皆さんと意見を交わしていました。そうした中で「伊藤組土建と各協力会社の採用ページをリンクさせられないか」というご提案をいただいた際、「個社の問題」ではなく、「業界全体の持続性に関わる問題」として受け止めたことが、今回の取組みの実現につながりました。


次のページ工程を見える化し、専門工事の価値を再定義

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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コメント(1)

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  • - 2026/05/27 19:12

    道内の行政機関は緩い気がします…。

    建設業に限ったことではないです!

    人材流出の原因は他に理由があると思います。

    私的には労務単価が原因だと思います。

    北海道は環境による施工問題があるので地元の会社が有利でしょう。
    後観光地なのでそう言った案件も多いと思います。

    コンサルや団体にお金を使うより実労働をする会社にお金を落とせば
    人は集まると思いますね。

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