建設ディレクターで建設業の「負のイメージ」を払拭
――セミナーを運営しての印象などを?
田辺 事務の女性の多くは、昼間は事務所に一人でいることも多く、なかなか横のつながりを持つことが難しいです。なので、セミナーで週1回京都サンダー株式会社に集まる受講者の方々は、「普段はどんな仕事をしているの?」とか「「今どんなことで困っているの?」などの会話を通して得られた共感を大切にし、コミュニティーを作ろうとされていた姿が印象的でした。
私自身は、京都サンダー株式会社で建設業に関わって、建設業に対するイメージはガラリと良い方に変わりました。今では、建設業は「命綱」だと思っています。ただ、多くの一般女性にとっては、「コワイ」「いかつい」「ガラが悪い」というイメージが強いのも事実です。本当の姿を知ったら、おそらく印象は変わると思います。どれだけ重要な仕事かわかってもらえると思います。
女性がハローワークに仕事を探しに行って、建設業の中で仕事を探すことは稀だと思います。まずは、メーカーでの事務職か医療関係でしょう。建設業は、おそらく最初に候補から外されると思います。女性の仕事があるという認識がないからです。
現状の建設業のイメージは「建設業=現場」ですが、事務所と現場をつなぐ存在である建設ディレクターによって、建設業のイメージが変わると期待しています。建設ディレクターは、専門スキルを身につけるので、女性特有のライフイベントが起こっても、そのスキルが次の道を拓いてくれると思いますし、建設業は、女性がまだまだ活躍できる余地がある世界だと思っています。
――建設業の事務職の方はベテランが多いのですか?
新井 私達がお付き合いしている女性の事務員さんは、長く勤めている方々が多いです。
田辺 建設業の事務の求人は、比較的年齢を問われないので、長く仕事を続けたい人にとっては、やりがいのある世界だと思います。
新井 一人でも事務所を切り盛りできる方ということでしょう。
田辺 「俺らは外で頑張るから、中のことはよろしくね」と、信頼されていることが感じられることもあるのかなと思います。
――女性特有の難しさについてどうお考えですか?
新井 私達が目指しているのは、専門知識を学んだことがない、一般的な女性が活躍できる建設業です。たしかに、一つの職場に女性が増えると、いろいろな変化が出てくると思います。京都サンダーも8名の社員のうち6名が女性です。しっかりコミュニケーションがとれるなど環境づくりには気を遣っています。
田辺 会社としては、定着してほしい、という思いでいろいろとやったことが、力の入れ具合が偏っていると受け取られ、当事者同士にはトラブルはないのに、二人の距離が開いてしまうということもあります。
建設業は「縁の下の力持ち」に徹し過ぎている
――建設業へのメッセージなどあれば。
田辺 建設業は社会で大きな役割を担っているのに、あまりPRしない、非常に奥ゆかしい面が強いと思います。災害が起きたら、地元の建設会社さんが、一番に現場に入って道を拓いたり、最後まで残って後片付けしたりしているにもかかわらず、一般の方は知らないという状況です。「縁の下の力持ち」に徹し過ぎていると感じるので、もう少し発信してもいいのでは?と思います。
――地域建設業には、ホームページすらない建設会社が、まだけっこうありますね。
田辺 工事現場もずっと幕が張られていて、何もわからないままに2〜3年経つと、いつの間にか出来上がっているという感じです。安全面で難しい部分があるでしょうが、モノができあがる過程が見られたら、工事現場の理解も得やすいと思います。
――地元京都の建設業に対しては?
新井 私達は、建設業では第三者的な立場です。私達の情報発信によって、なにかが少しでも変わることがあればという思いで、活動しています。私達は建設業の果たす役割を大切にしたいと考えます。建設業が抱える課題を解決したいという思いから、建設ディレクターのプロジェクトを始めました。建設業に貢献しながら、ビジネス展開できれば、こんな嬉しいことはありません。そういう思いを持ち続けながら、全国の建設業のお力になれるよう、一生懸命取り組んでいきます。
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