地域建設業は、逆転の発想からの求人PRが必要
――建設業界がもっとこうした方が良い、ということはありますか?北岡組の佐藤佳世さんは?
佐藤佳世 私の前職は人材採用の会社で、いろいろな会社の求人を取り扱っていました。「この内容では人は来ないですよ。こうした方が良いですよ」など具体的なアドバイスもしていました。地元に帰って、今の北岡組に入社したわけですが、都市部と比べても休日が少なく、それが当たり前にようになっています。また、完全週休二日制の導入の進捗に関する調査を見ると、全産業の中で、建設業はワースト2でした。現場との兼ね合いや雇用形態など、建設業特有のものがありますが、建設業界の働き方改革が働き手にとって良い方向に進むことを期待しています。
――建設業界の求人に関する気づきは?
佐藤佳世 地方である徳島、建設業という不人気。これを逆転の発想でPRすれば良いと思っています。打ち出し方を変えるということです。
例えば、ハローワークに求人を出す際、多くは、やって欲しい業務を箇条書きにして終わりですが、会社に入ってどんなメリットがあるのかとか、会社がどんなことをしてくれるのかを、一言添えるだけで、応募者数は変わってきます。実際に北岡組の求人でも3倍に増えました。若者が欲しい場合は、「先輩社員が丁寧に教えます」とか「キャリアアップできる環境があります」みたいに、ちょっと書き方を工夫するだけで、印象は大きく変わります。求人を会社のPRツールのひとつとして捉えるのも良いと思います。
――岡山県の土木施工管理技士会の事務局をやっている山崎さんはいかがですか?
山崎 私はみなさんとは立場が違うのですが、土木施工管理技士会の会員は9割以上が男性です。国交省の会議や講習会、現場などに行っても、周りに男性しかいないのが当たり前です。作業服についても、「女の子だから、ピンクを買えば良いよ」と言われるんですけど、普通に男性用のものを着ています。
「女性だからできないだろう」と思われていることを、どうやってできるようにもっていくかというところで日々仕事しているので、その辺でツラいとか感じたことはありません。ただ、事務屋の中で、技術的なことをすることにやりにくさを感じています。そういうこともあって、岡山県の土木施工管理技士会では現在、組織のあり方を見直そうとしています。
技士会を運営する立場の者としては、なでしこBC連携のような活動に関わっていることを広報することを通じて、女性の会員が少しでも増えれば良いと感じているところです。
――県西土木株式会社の亀井さんはどうですか?
亀井 県西土木には女性技術者はいませんので、女性用の作業服もなかったんですが、なでしこBC連携に参加したことをきっかけに、女性用の作業服を買ってもらいました。パトロールなどの際に着ています。
普段の業務では工務の事務だけですが、せっかく作業服があるので、現場の検査にも行くようになりました。現場に行くようになって、それまでは書類でしか知らなかったことが、現場を知ることによって、自分がやってきた仕事がより分かるようになりました。微力ではありますが、会社のため、上司のために、自分ができることが増えたことに喜びを感じています。
「こう思うんですけど!」と反論しても、汲み取ってくれる上司に「グッジョブ!」
板倉 女性が男性社会である建設業界に入り込むということは、とっても大変なことだと思います。それだけに、建設業界で揉まれて、頑張っていると、他の業界で働くよりも、よりたくましい、より強い女性になれるのかなと思うのですが、いかがですか?
橋本 その辺は『施工の神様』の記事を見てください(笑)。男性社会で揉まれてたくましくなったというよりは、私の性格では女性がいっぱいいる職場ではムリだろうな、という判断がありました。大竹組では、大事に大事にしてもらったので、だから、今があるという感じです。怒られることもありましたけど、しっかりフォローしてもらえたので、なんとかやってこれました。
板倉 怒られるときは、男性と同じように怒られるんですか?
橋本 怒られるときは、男も女も同じです。
――国土交通省に怖い女性の先輩はいないんですか?
板倉 私の所属課に女性は私しかいないので、女性の先輩から怒られることはありません。ただ、私の上司はキレキレのやり手の方なので、細かく指導されることはあります。悔しいので、私も「こう思うんですけど!」とやり返すこともあるわけですが、それも汲み取った上で、鍛えてもらっています。
私の場合、男性社会だから、男性目線だからといって困ったということは特にありません。鍛えてくれる上司がいて、困ったときに助けてくれる同期もいて、それがすごく楽しいです。
――むしろ周囲が男ばかりの方がやりやすい?
岡林 私は高校から理系だったので、周りは男子ばかりでした。そういう環境で過ごしてきたので、それが普通でした。だから、建設業界、建設会社に入ったということはあると思います。
佐藤秀香 やりやすいということではありませんが、私は、性格的に負けず嫌いなので、男の人に負けたくないという気持ちで、仕事には臨んでいます。