結婚出産を諦めるよりは「キャリアリセット」が結果的にプラス
――結婚、出産による仕事への影響は?
橋本 私は、大竹組で働いているときに、結婚し、それを機に、一度大竹組を辞め、出産しました。建設業しか経験がなかったので、建設業界に復帰することにしました。子どもがいるので、パートにしようかと思いましたが、生活を考えると、正社員でないと厳しいものがあったので、正社員として復帰したいと考えました。ただ、大竹組は通勤が遠いので、通勤が楽な建設会社に勤めました。いろいろあって、その会社を辞めた後、再び大竹組で働くことになりました。
私の場合、仕事に復帰してからというもの、子どもの面倒を見た記憶が一切ありません。保育所の送り迎えをしたこともありません。子どもにはいまだに「産み捨てられた」と言われています。他の女性が子ども送り迎えをしている話を聞くと、「偉いな」と思います。私にはできませんでした。
山崎 私は今の仕事に就いて6年ほどですが、その前は美容業で働いていました。出産、子育てを経て、今の仕事に就いたわけです。子どもは3人いて、当時、一番上が中学生ぐらいでした。一般的には、結婚、出産でキャリアをあきらめなければいけないという感覚に陥る女性は多いと思いますが、キャリアを優先して、結婚出産を諦めるよりは、一旦そこでキャリアをリセットして、新たなキャリアを積んでいくんだと考える方が、結果的にプラスになると思います。
特に、土木の技術者の女性は、いろいろな資格をお持ちの方が多いので、キャリアをリセットしたとしても、次のキャリアで活きてくると思います。キャリアを積んでいく上で、結婚出産がデメリットということはないと思います。
「女性だから、建設業はシンドいやろうな」と思われがち。でも、メリットの方が多い!
――建設業を志す女性に向けて、一言。
橋本 私は正直、建設業の仕事が楽しいんです。現場で構造物が日々仕上がっていくのが目に見えるのが楽しいんです。構造物ができあがって、検査を受けて、受け取ってもらうと、「終わってしまった」という感じで、ちょっとさびしいんです。それも含めて、建設業の魅力だと思っています。この魅力をどう伝えたら良いか、その方法をいつも悩んでいるんです。この言葉にできない建設業の魅力を味わってみたい女性が、一人でも多く増えてもらいたいと思っています。
佐野 実際の仕事では、全身筋肉痛になったり、過酷な状況に置かれることもありますが、「女性としてイヤだ」と思ったことはありません。NAO企画の社員は、私のことを女性だとは思っていません。たぶん小さなおじさんだと思っています(笑)。
ただ、女性って、結構ラッキーだと思うんです。例えば、役所に書類を提出しに行ったときに、作業服を着た女性というだけで、すごくかわいがってくれるんです。名前もすぐ覚えてもらえます。会社の外では、すごく得なことが多いのが楽しいです。「女性だから、建設業はシンドいやろうな」と思われがちですが、むしろメリットの方が多いとすら思っています。
佐藤佳世 私自身、建設業で働くことになるとは思っていませんでした。私も外から見て思っていたよりは、良いことがあると感じています。例えば、入札に行くと、今まで男性がやっていた仕事なので、周りにいる他社の男性から大事にされます。
山崎 今、会社の上層部にいる方々は、黒部ダムを見て、心を打たれて土木を志した方が多いと聞きます。それと同じ思いを持って、若い女性が建設会社に入社しているとも聞きます。逆に、若い男性は、優しく繊細で、弱々しくなっているそうです。国交省では女性の活躍を進めており、建設業では女性が断然有利な状況にあると感じています。実際の仕事の大変さはあると思いますが、男性より女性が活躍する方が、生産性も上がると思います。
亀井 私も、建設会社に入る前は、男性社会に対する不安ばかりでしたが、入社すると、工務の職場には女性は私一人なので、すごく大事にしてもらいました。さきほど同じようなお話がありましたが、この業界では女性だと目立つので、社外でもいろいろと話しかけてもらえたりするので、会社にとってもPRにつながると思います。
佐藤秀香 みなさんと同じですが、女性だと周りから大事にしてもらえます。私自身、夏場に現場で山を登ったりして、汗をかくのが大好きなので、そういう女性に建設業に入ってもらいたいと思っています。
岡林 現場作業は体力的にシンドいところがありますが、周りの男性が優しいので、シンドい部分はフォローしてもらっています。建設業は、女性でも活躍できる業種だと思っています。
板倉 建設業界はまだまだ「3K」のイメージが払拭できていないところがありますが、国を挙げてイメージを変えていかなくちゃいけないと考えています。昔に比べれば、建設業界は働きやすくなっていると思っています。女性はもちろん、だれしもが活躍できる場所があるのが建設業界の魅力だと思います。その辺のところを、私の後輩をはじめ、これからの方々にしっかり伝えていきたいと思っています。
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