恐怖を感じる放射線施設の解体工事
東日本大震災から間もない時期、私はある放射線施設の解体に従事した。
原発事故とは直接関係のない施設だったが、ちょうど放射線に関する過剰報道がされていた頃で、非常に恐怖を感じる現場だった。まるで自分が映画『バイオハザード』の世界に迷い込んだように感じた。
「もう5年以上使用してない!人体に影響はない!」と言われて参加したのだが、私や作業員たちは全員、白い防護服を着用し、マスクをして作業に当たった。
建物は渦巻状のRC造
その放射線施設の建物は、平面30m×30m、高さ8mほどのRC造。
建物内部に入ると、入口から通路が渦巻状に中心の部屋に向かい、通路の幅は1.2m。コンクリート壁の厚さは最低でも1mあり、2m近い箇所もある。
中心の部屋は約7m角で、放射物を置く専用の台が設けられており、その天井には重量物を搬入するための開口部があるのだが、鉛が仕込まれた鉄扉でふさがれていた。
そして壁には1ヶ所だけ、厚さ100m程の鉛入りガラスがはめ込まれた20cm角の覗き窓があった。
恐怖心を植え付けるような施設だ。