もっと手軽に水位を図りたい
アムニモはなぜ、水位計を開発したのか。そのキッカケは、意外にも近年多発する水害によるものではなかった。
「3年前、クライアントからある相談があった。『工場の敷地内の用水路が、1年間に何度か氾濫してしまう』と」(新井氏)
概して、工場は河川や海に隣接している土地に誘致されることが多く、土地条件が芳しくない場合が多い。もし浸水すれば、工場の稼働ができなくなり、致命的な機会損失となる。そのため、水位計測は工場の安定稼働のために必須の予防措置となる。
だが、既存の水位計を設置するとなると、配線工事の手間が掛かる上に、本体費用や設置費用も高額だった。
「話を聞いていくと、建設業者が河川工事などで短期間に利用したいというニーズも見えてきた。『もっと簡単に、手軽に水位を測りたい』という要望に、どう応えられるのか知恵を絞った」(新井氏)
長年にわたり、プラント内のセンサ開発に従事してきた生粋のエンジニアだった新井氏の頭に、「横河電機のコア技術である圧力センサを水位計に転用できれば、正しいソリューションを提供できるのではないか」という考えが廻った。
2017年、横河電機の新規事業として水位計の開発が始まる。さらにその1年後、センサとサーバー、クラウドサービスをパッケージ化し提供するアムニモ株式会社が、横河電機からスピンアウトする形で発足。アムニモと合流し、クラウドを活用した水位計測サービスの開発へと進んでいった。
投込式、電池式にこだわる理由
実際の河川をフィールドに開発は進められた。開発に際し、ポイントとしたのが”電源を電池に”することだった。
当初、外部電源を利用する形式だったが、自身で河川に赴くと、電源のための配線工事の手間が事業者の負担となっていることが分かった。
「電池だけで動く水位計はまだまだ少なく、どうしても大きな電源が必要になるモノが多い。今はソーラーパネルも主流となっているが、山間部などは日当たりが悪かったり、天候条件にも左右されやすい。すると、どうしても電源に不安が生じてしまう」(鈴木氏)
そのため、電源は電池とすることにしたが、電池式ではバッテリーの保ち時間に不安が残る。携帯電話も同様だが、データ通信の際が最も電池の消費が激しくなる。そこで、水位の計測時は、監視モードでは20分ごとに測定・通信し、しきい値を超えると観測モードに切り替わり、即座にクラウドサーバーに通知する。電池消費を抑え、メンテナンスフリーで1年間以上駆動する省電力化を実現した。
測定方式は投込式に。超音波式では、河川の真上から超音波を照射し、水面で反射した超音波を受信し計測するため、橋梁などに設置する必要があり、条件を選んでしまうからだ。また、データの通信には、遠隔地での利用も想定し、携帯電話の回線である3Gを採用しており、今後LTE等にも容易に変更可能な設計としている。
新井氏は「全国各地、あらゆる現場を想定している」と語る。
安すぎるけど儲かるのかこれ
既存の水位計は高すぎるんだよ。何であんな高いの?
3万で設置が楽ならぜひ入れたいね