ドローンで、インフラ点検を変える
株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(東京都中央区、柴田巧代表取締役社長CEO、以下JIW)は2019年4月、ドローンによるインフラ点検サービスを目的に設立された会社だ。
NTT西日本(本社:大阪市中央区)が100%出資する完全子会社で、社名のJIWは「日本のインフラの道標」の意味だが、「NTT西日本」の文字はない。通信に限らず、「日本のすべてのインフラ点検に貢献したい」という柴田社長の思いからだ。
JIWの社員数は21名。NTT西日本から出向した情報工学、土木工学などのその道のプロが顔を連ねる。レガシー企業が世に放った「ドボクTECH」ベンチャーだと言える。
NTT西日本はなぜ、インフラ点検に乗り出したのか。JIWが目指すものはなにか。ドローンによってインフラ点検はどう変わるのか。柴田社長に話を聞いてきた。
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NTT西日本よりインフラストックを持つ民間企業はない
――NTT西日本はなぜ、JIWを設立したのですか?
柴田 NTT西日本では近年、リソースが問題になっていました。リソースの一つはお金です。かつての売上げは3兆円でしたが、今は1.4兆円です。毎年500億円の減収が続いています。これは、固定電話からモバイルにシフトした影響です。
二つ目のリソースが人です。2017年度は、仕事量と社員数がトントンでした。ただ、2022年度には、社員の退職により、仕事量が社員数を上回る見通しになりました。仮に収益が持ち直したとしても、通信サービスを維持する人が足りなくなります。NTT西日本は、「お金と人が足りなくなる」という問題を抱えているわけです。

笑顔が素敵な柴田社長(右)と社員の面々。左端は以前に記事紹介した春田健作さん。取材後、「担当課長」から「技師長」に昇進していた。
NTT西日本の業務区域は、西は沖縄県から東は静岡県まで30府県に及びます。インフラ量を見ると、ビルは約4,000、鉄塔は約1,000基、インフラが添架された橋梁は約3万に上ります。これだけのインフラストックを持つ民間企業は国内にはありません。
減収したからと、人が足りないからといって、インフラの量を減らすことはできません。1人でも利用者がいる限り、インフラを維持し続けなければなりません。そうなると、インフラのメンテナンスにかかる費用、必要な人員を減らすしかありません。
そこで、新技術を導入し、メンテナンスに関する生産性を上げる必要がある。JIW設立には、NTT西日本のそういう状況が背景にありました。