“安かろう、悪かろう”では意味が無い
従来、無線水位計の導入には膨大なコストが必要だった。アムニモの試算では、一般的な無線水位計を導入するには、最大80万円ほどの本体費用に加え、通信契約やクラウドの開発費に300万円、電源を繋げるための電気工事や設置工事費に数十万円と、400万円前後の初期費用は必至だという。
その上に、月々の通信費や維持費用が上乗せされていくため、どれだけ利便性が高くとも設置・運用を阻害する最大要因でもあった。
アムニモでも開発当初は買い切り型でのビジネスモデルを検討したが、こうした背景から利用期間に応じて料金を支払うサブスクリプション方式に舵を切った。事業者は水位計の設置工事費の負担こそあるが、それ以外の初期費用は一切なく、必要なのは月々の通信費と維持費用のみ。その額、わずか3万円~。
「大手建設業者ならば、自社で水位計を購入し、システムを構築することができる。だが、中小建設業者はテンポラリー(一時的)で利用するため、水位計本体を購入するのは負担が大きく、クラウドの構築も敷居が高い。
私たちの水位計測サービスはクラウドも通信もすべてオールインワンで、設置し電源スイッチを入れるだけですぐに利用できるようにした」(新井氏)
とくに河川工事においては、中小建設業者は「施工費に見合わないから」と水位計を設置しない現場も多い。現場監督たちは雨が降るたび休日だろうと水位確認のために現場に駆けつけなくてはならず、天候によっては水位監視のために現場に寝泊まりしているのが実情だ。
無線水位計なら、遠隔地からパソコンやスマホで水位を確認することができる。サブスクリプションによりコスト負担を抑え、導入の敷居を低くすることは、結果的に現場を管理する技術者、作業員の安全管理だけでなく、人件費の削減にも大きく寄与することになる。
ただ、水位計は人の命を守るモノ。”安かろう、悪かろう”では何の意味も無い。アムニモの無線水位計に使用されている圧力センサは、横河電機が独自開発し、プラントや計装分野で使用されている”シリコン振動式センサ”を電池で駆動できるようにしたもの。「横河電機30年の技術の粋」が詰まっており、その精度は「世界最高クラス」(新井氏)と豪語する。
既にアムニモの無線水位計は、2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた広島県で進められるため池の遠隔監視システムのモデル事業に試験的に導入され、その優位性を確認している。
河川工事で水位計の設置がスタンダードになってほしい
埼玉・川越に住む新井氏自身も、昨年の台風19号による入間川流域の氾濫を目の当たりにした。浸水被害により、今も避難所生活を送る友人もいる。だからこそ、今回開発した水位計には並々ならぬ思いがある。
「治水対策は、一朝一夕に出来上がるものではない。だが一方で、昨今の異常気象を鑑みると喫緊の課題でもある。一時でも早く水位計の設置が普及するべきだと考えている。周辺地域への安全管理が課題となっている河川や水路等の工事現場で、まずは一度使っていただきたい」(新井氏)
コストが、安全管理ひいては人の命を守る障害となることはあってはならない。アムニモの無線水位計測サービスが、日本の治水対策を加速度的に推し進めていく未来に期待したい。
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安すぎるけど儲かるのかこれ
既存の水位計は高すぎるんだよ。何であんな高いの?
3万で設置が楽ならぜひ入れたいね