駅が変われば、まちが変わる
――鉄道土木のやりがいは?
手塚さん 自分が担当した工事に対して、お客様からダイレクトに反応が返ってくるところですね。調布駅の地下化のときは、事業完了後に「地下化して駅が使いやすくなったし、まちが元気になった」などのお声をいただきました。
駅は基本的にそれぞれのまちの中心にあるので、連続立体交差事業などでその駅が変わると、駅周辺もガラッと変わるんです。駅の工事をきっかけに再開発が始まり、面的に広がっていくこともあります。鉄道土木のやりがいは、「まちをつくれる」ことだと考えています。「鉄道にはまちを変える大きな力がある」ことを強く実感しています。
調布駅で言えば、鉄道の地下化により快適な歩行者空間が確保されるとともに、商業施設「トリエ京王調布」がオープンし、駅前が活性化するなど、調布の街が大きく変貌したのを目の当たりにしました。このようにまちを一新させるような大規模事業に携わることができることに、非常にやりがいを感じています。

調布駅地下化によって生まれた旧駅施設スペースに建設されたショッピングセンター「トリエ京王調布」(写真提供:京王電鉄株式会社)
現在は区長という立場で事業に携わり、自らの考えに基づいて事業を推進していくことができる環境にあることから、さらに大きな魅力を感じるとともに責任も感じています。また、高架橋を構築するためには、多数の列車が走る線路の近くで安全性を確保しながら工事を進めなければならず、非常に難易度の高い工事となります。
そのため、設計段階からこれまでの経験を注ぎ込み、施工時の計画を入念にイメージすることで、施工実現性を担保した設計となるよう検討を重ねました。今から完成する日を楽しみに、日々の業務を一歩一歩着実に進めています。