設計と図面の認識を共有することが最重要
――顧客の希望に応える家づくりのポイントは?
田尻 顧客の要望をそのまま設計に落とし込むだけでは、単なる御用聞きになります。要望の目的までヒアリングし、その目的を実現するための設計であることが重要です。
また、施工管理は住宅建築の最後の砦です。顧客は、できあがった住宅で安心して理想の暮らしを実現できるという期待感に、2,000~3,000万円もの費用を投じるわけです。ですから、現場で性能や品質を絶対に担保しなければなりません。
――施工管理者の育成は?
田尻 施工管理は営業や設計と異なり、建てる場所や建物が違うだけで、仕事のフローは同じです。順序通り、正確にやっているかを確認するために、チェックリストの共有化や業務フローの統一化ができれば、施工管理が最速で一人前になれる職種だと考えています。
しかし、施工管理者が現場で判断しなければならない場面が多くなれば、経験も必要ですし、難易度も上がります。そこで仕事のバトンの渡し方が重要になってきます。
――具体的には?
田尻 設計が書いた図面を大工や職人が理解できず、施工管理者に確認する場面がよくあります。そこで施工管理者は設計の矛盾をなんとか現場で、個人の解釈で判断して施工しようとする。すると、顧客の要望とズレが生じ、場合によっては工事をやり直さなければならないことも出てきます。
しかし、これは本来、施工管理者の責任ではありません。設計の指示の問題です。つまり、仕事の川上を整えることが最も大事なことです。現場で出た問題や疑問は、しっかりと設計やインテリアコーディネーターと共有し、認識を一致させることが基本なんです。
現実問題として、施工管理者も「現場判断できない=技術がない」とみられることが嫌で、現場でなんとかしようとしますが、結果的に施工管理業務のブラック化につながっていると思います。
いかに現場監督のケータイを鳴らさないか
――どんなチェック体制を設けている?
田尻 まず、設計から施工管理者に図面を渡す前に関所を設けています。
たとえば、設計やインテリアコーディネーターによる設計図面は、綿密なセルフチェックを行います。しかし、セルフチェックにも漏れがある可能性があるため、第三者的な図面のチェック係を設け、そのダブルチェックを経たうえで、施工管理者に図面を渡しています。もちろん、施工管理者も図面をチェックをし、大工や職人に渡す前に図面の疑問点を洗い出しさせています。
さらに、施工前には職人にも「図面を見てわからないことがあれば、あらかじめ漏れなく書いてほしい」と要請しています。職人の疑問点が解消してから、ようやく現場が開始されます。
――ここまでチェックをすると、職人から施工管理者への問い合わせも減る。
田尻 一般的に激務と言われる施工管理者を救うには、まず施工管理者の携帯電話に一体どの業者からなんの用件で連絡がきているかをすべて記録させ、設計やインテリアコーディネーターと真剣な話し合いの場を設けるべきです。
設計の曖昧さが、インテリアコーディネーターの曖昧さにつながり、さらに施工管理の曖昧さにつながっていく。そして、その曖昧な図面を見た職人は、施工管理者の携帯電話に連絡する。チェック体制が曖昧な会社ほど、施工管理者の携帯電話が鳴りっぱなしになります。
「今日、生コンどうするの?」
「排水の位置が書いてないけど、どうすればいいの?」
などの疑問が職人から施工管理者に次々にぶつけられると、いつまでたっても仕事の効率化などできません。チェックを繰り返し実施することは、その時点では手間がかかりますが、最終的には施工管理者の業務負担が軽減されます。
✕ 図面を大工や職人が理解できず
◯ 無能設計士の物理的不能な設計を指摘してる。
悪意感じますね。自分等は悪くないみたいな。
この間は監督も無能だったので設計通り発注して施工してこうなるやろ?って分からしてやったわ。
後工程が24時間体制で死んだらしいけど。
コメント失礼します。
店舗什器、住宅造り付け家具製造、販売している新潟県見附市の家具工場です。
①共感する部分
設計図面に対しての職人の質疑の洗い出し。
足跡のこしで情報の共有。
とても再現性があり、金銭的負担も少ないやり方で明日から当社でも取り入れる気でいます。
②共感できない部分
ケータイ鳴らさないのは良いが、後々「あの時聞けば良かったなー」と思う場面も出てくるのでは?
当社では細かい部分まであらかじめ質疑で全て拾うことはできかねるので、仕上げが劣らない様に電話鳴らします。什器、家具がスペックや金額によりけりで枝葉末節だからですが…
とはいえ正直御社の様な会社に憧れます。
社長様の人柄も強い求人力になっていると思います。
最後まで拝読いただいてありがとうございました!応援しています!!
建設会社30年たちました。ハラスメント・働き方改革・IT化・電気化といろいろ時代は変わってきました。図面も手書きからCADへと進化しています。しかし内容・表現力はGOOD・BATの差がおおっくなってきているように思います。1番さん、ごもっとものとこがありますね。設計するなら具体的な工法も資料提出してほしいです。それを崩すのが施工者側です。2番さんもごもっともです。施工図に足跡残すのは大事だと思っています。携帯については、現場としては「聞いとけば…」「今聞いちゃえ…」いろいろありますが、やはり施工図で打ち合わせをすればその回数は減るはずです。やたら電話ばっかしでろくに物事を頼める状況にない人も結構見られます。事前合わせ(すくなくても施工手順だけでも)を進めれば結果的に工事全体の作業時間は縮まります。どうすんのこうすんのやってると、携帯時間と残業時間が知れづと多くなります。
まぁ昔は、その時間が施工図書いてる時間だったのかもですが…
他の関係者様のご意見参考にしていきたいと思います。