「首都高仕様」の車両が必要だった
――開発の経緯を教えて下さい。
石塚さん 私は2015年入社ですが、入社当初からウェーブドクターの試作段階からの開発に関わっています。大学では機械を学んでいました。
道路業界で機械系の人間は少ないですが、私は、電気、機械、建築あっての首都高だと思っています。ウェーブドクターは、以下の首都高速道路特有の維持管理環境を考慮して開発しました。
- 1日100万台を超える交通量に影響を与えないため、交通規制を実施しない測定車両
- 高速道路全線に道路照明が設置されているため、長距離の連続測定に対応(高速湾岸線64Kmに対応)
- 照度測定前に行う照度計の高さ調整作業を走行しながら行える照度計昇降装置の装備
- 測定機器を変えながら測定を連続で実施するため、複数の測定機器の自動制御に対応
つまり「首都高仕様」の車両が必要だったということです。
――首都高でちゃんと使える点検車両が必要だったわけですね。
石塚さん そうですね。また、34箇所のトンネルを含む総延長約327㎞の首都高速道路全車線に加え、個別に約3500箇所という膨大な測定箇所を効率的に測定するため「測定ナビシステム」を開発しました。
このナビシステムは、ドライブで使用するカーナビと同じように、測定順序や次の測定箇所までの距離などを案内し測定員を補助します。また、測定ナビシステムは年々進化し、現在では測定機器を自ら制御し自動測定が可能になるまで進化しています。
――この車両(トヨタ・アルファード)にした理由は?
石塚さん ウェーブドクターは、多くの測定機器を搭載する必要があり、設置スペースや振動対策、電力供給装置などを考慮する必要がありました。
また、長時間の測定にも快適に作業できる環境として測定員の前方視界や乗り心地も考慮し、ミニバンタイプでハイブリット仕様のアルファードを選定しました。
国内外の道路管理者へ”絶賛営業中”
――今後の業務展開をどうお考えですか。
石塚さん 最近は、首都高以外の道路管理者からも問い合わせがあり、中には東南アジアの高速道路会社もあります。例えば、国道では、道路照明のLED化が進んでいます。LED照明の明るさの定量的な管理に関するニーズは年々増していると考えています。
当社としては今後、首都高に限らず、そういうニーズに応えるため、国内外のいろいろな道路に対しサービスを提供していきたいと考えています。「絶賛営業中」です。
ただ、当社のマンパワーには限りがあるので、すべて当社が行うのではなく、お客様と連携しながら、点検に関するコンサルティング的な支援を行うことも想定しています。
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