大手よりも中小企業で加速するテラドローンの導入
近藤 これまで測量と言えば地上測量が一般的でしたが、主流はドローン測量に移っていくと思います。すでに、ドローンを使えないと仕事がない、という建設コンサルタントも出てきています。
テラドローンは、ドローン測定後のデータ解析に関するサービスも提供しており、この点も土木測量の常識を変えそうですが、3次元設計・データ解析(CIMモデリング)の特長をお教えください。
関 2Dから3Dに図面を起こし、その差で土量を計算するため大幅な省力化と効率化が可能となります。またデータを3D化することで住民説明もスムーズになり、点検、維持、修繕といった過程でも活用できます。データはクラウド上ですぐに確認できるため、すぐに施工チェックが可能になるなど「見える化」によって、土木測量の効率化に寄与しており、おかげさまで、すでに300現場以上に導入いただいています。
近藤 テラドローンのサービスを導入しているのは、やはり大規模な現場や大手ゼネコンが中心でしょうか?
関 当社のサービスをご利用いただいている企業は大手ゼネコンよりも、地場建設会社のほうが多いです。たとえば先代社長から会社を受け継いだ若い経営者ですと、新技術やITへの抵抗感もなく導入に至っています。
近藤 テラドローンのサービスは土木測量が中心だと思いますが、点検業務にドローンを使う例もありますか?
関 タンク内を点検できる水中ドローンなどもありますが、今のところは測量約80%、点検約20%と、やはり測量に使うケースのほうが多いです。しかし、インフラや大型建築物についてのメンテナンス領域は今後、非常に重要な市場になると考えています。
先日は静岡県にあるエコパスタジアムの屋根部分の点検業務に、自動飛行が可能なドローンを導入し、東急コミュニティー様と共同で実証実験を行いました。これまで作業員が2日かけて高さ約40m、面積約23000m2の屋根膜などを点検していましたが、自動飛行式ドローンによって約1時間で撮影を済ませることに成功しました。
UTM事業にも参入するテラドローン社
近藤 ドローンの自動飛行にはUTM (UAV Traffic Management)の技術が必要だと思います。UTMについてご説明いただけますか?
関 UTMとは、ドローン同士が上空で衝突しないように管理したり、指定範囲外の飛行を制限したりする遠隔管理システムです。このシステムを利用することで、あらかじめ指定した飛行ルートを自動航行させることが可能となります。フライトプランを登録しておけば、同じ場所を毎日モニタリングし、データを取ることもできるため、橋梁やダムなどの点検にも応用できます。人間の操縦ですと目視外の飛行は困難ですが、そういう点も克服できます。
テラドローンはUTM事業の世界的リーディングカンパニーであるベルギーのUnifly社と提携を結んでおり、ドローンの機体管理・運行管理システム事業に参入しようと考えています。将来的にはドローンが上空を行き交う時代が来ると予想しており、UTMはドローンが土木測量以外の産業にも拡大していくための基盤となるシステムです。
大手ゼネコンからテラドローン社に転職も
近藤 テラドローンの成長に期待が集まりますが、社員の採用も増えていますか?
関 これからドローンの需要はさらに増えるため、施工管理技士や測量士など、土木や測量、3DCADに精通した有能な方々を採用し、ドローン操作を教育した上で現場へ送り出していく考えです。テラドローンの将来性に期待して、大手ゼネコンから転職してくる30代の若者もいます。今も名古屋と広島で社員募集中です。
近藤 これから社員も売上も増えていきそうですね。最後の質問ですが、実際に建設業へ参入するにあたって、建設業界に対してどんな印象を持ちましたか?
関 ドローンを土木測量に導入すれば、必要なコストや時間を削減できると分かっていても、「今のままでいいじゃん」という人も実際にいらっしゃいます。しかし国土交通省によるi-Constructionの動きが追い風になっており、ICT土工、けんせつ小町、AR、VR、週休2日制モデルなど、建設業界全体が変わろうとしているのを感じています。想像以上にスピーディーな変化であるため、現場では戸惑っている人もいますが、テラドローンは今後さらに地域的にも、産業的にも活動の範囲を拡げ、建設業の生産性向上にも貢献していきたいと思っています。
近藤 たいへん貴重なお話ありがとうございました。
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