そもそも自衛隊の災害派遣とは?
日々のニュースの中で「自衛隊による災害派遣活動が行われました」的なアナウンサーの声を耳にすることがあると思います。私の体験談をお話する前に、自衛隊がどのような手続きと要件で災害派遣活動に従事することになるのか簡単にご説明します。やや舌足らずな点があるとは思いますが興味のある方はネットで検索すると簡単に出てきますので調べてみてください。
自衛隊が災害派遣命令を受ける最大の根拠は、「都道府県知事等による防衛大臣等への災害派遣要請」です。ここで注意が必要なのは、現在の法的枠組みでは市町村長には要請の権限はありません。
都道府県知事等の要請に基づき、最寄りの部隊が被害のあった自治体と必要な調整を行い、必要な活動を行うのです。ただし、要請を待ついとまがない緊急事態には、自衛隊独自に自主派遣という形で災害派遣に行くケースもあります。
都道府県知事等から災害派遣要請があった場合、実際のところすべての要請を受け入れるわけではありません。要請に基づく災害派遣を行う場合、以下の3要件を満たしていないと自衛隊は動かせません。
- 公共性:公共の秩序を維持するために、人名又は財産を社会的に保護する必要性があること。
- 緊急性:さし迫った必要性があること。
- 非代替性:自衛隊の部隊が派遣されるに以外に他に適切な手段がないこと。
難しい文章ですが、簡単に言うと「今の時点ですぐに国民の生命と財産を守る活動ができるのは自衛隊しかいないんだ!よろしく頼むよ!」という状況であることです。
しかし、災害派遣も時間の経過とともに民間業者も動き始めます。そこで、いつも問題になるのは「自衛隊の引き際」です。先に述べました3要件の一つでも欠けた時点で、基本的には自衛隊の災害派遣活動の根拠が失われます。ただし、都道府県知事等からの要請に応じた災害派遣は、都道府県知事等からの撤収要請がないと自衛隊は現場から撤収できないのです。つまり、地方自治体との調整で一番苦労するのは、撤収のタイミングなのです。
自衛隊が災害派遣活動をすることは周囲に大きな影響を及ぼします。
私は大きく3つあると思います。
①国民の生命・財産の安全確保に寄与
②自治体の予算に影響なく復興活動が進む
③国土防衛上の空白が生じる問題(特に南西方面)
②については、民業圧迫の問題があるので政府と自治体は線引きを明確にしなければならないでしょう。
③は自衛隊の本来任務の国防に影響をきたすことから政府が自治体に理解してもらうよう引き続き働きかけていかなければならないのでしょう。
被災地出身の隊員は撤収することに対して抵抗を感じるかもしれません。しかし、自衛隊の撤収からが本当の復興の始まりなのではないかと私は思います。
昨年の千葉の台風で、10月になっても自衛隊の人達が、屋根にブルーシートを掛けているのには違和感を感じました。
主に、空き家をメインにしていたように思います。
一般の家屋は、工務店が既に掛け終わっていました。
これは、後から瓦の修理工事を請け負うためであるのは明らかです。
緊急事態が終わったなら、後は自治体が対応するべきなのに、
自衛隊は費用がかからないからだというのは、部外者から見ても明らかでした。
これで、民業圧迫と言われたら、危険な作業をしている隊員達としてはいたたまれない気持ちになります。
名前は自衛隊でも、あくまでも国防軍なのですから、
自治体に対しても、言うべき事は言えるという制度にしなくてはならないと思います。