自衛隊は自治体の便利屋ではない
結局、撤収要請が出たのは、この2週間後ほどだったと記憶しています。自治体の意思決定の遅さにも腹が立ちました。自衛隊は自治体の便利屋ではありません。打ち合わせで建設会社の社長が言いたかったことは、「従業員の生活や町の復興のために仕事が欲しい」という表れだったのだと私は思っています。その点では、民間企業のほうがよほど危機感を持っていると思います。
災害派遣のみならず、官公庁発注工事でも担当者が何をしたいのか、今後どうするのか、といったビジョンを持たずに受注者任せにしている監督官が多いように感じます。今、民間で勤務していると、なおさらそのように感じます。税金を投入して、市民・国民の生活をより良いものにすべきなのに、現状はそうではありません。無計画に税金をつぎ込み、失敗したらやり直し・・・負のスパイラルに陥っているとしか思えません。
官公庁に勤務するすべての方がそうではないとは思いますが、今一度、自分自身が何のために仕事をしているのかを考えてもらいたいです(もちろん私自身もですが・・・)。
自衛隊が災害派遣活動をすることは周囲に大きな影響を及ぼします。
私は大きく3つあると思います。
①国民の生命・財産の安全確保に寄与
②自治体の予算に影響なく復興活動が進む
③国土防衛上の空白が生じる問題(特に南西方面)
②については、民業圧迫の問題があるので政府と自治体は線引きを明確にしなければならないでしょう。
③は自衛隊の本来任務の国防に影響をきたすことから政府が自治体に理解してもらうよう引き続き働きかけていかなければならないのでしょう。
被災地出身の隊員は撤収することに対して抵抗を感じるかもしれません。しかし、自衛隊の撤収からが本当の復興の始まりなのではないかと私は思います。
昨年の千葉の台風で、10月になっても自衛隊の人達が、屋根にブルーシートを掛けているのには違和感を感じました。
主に、空き家をメインにしていたように思います。
一般の家屋は、工務店が既に掛け終わっていました。
これは、後から瓦の修理工事を請け負うためであるのは明らかです。
緊急事態が終わったなら、後は自治体が対応するべきなのに、
自衛隊は費用がかからないからだというのは、部外者から見ても明らかでした。
これで、民業圧迫と言われたら、危険な作業をしている隊員達としてはいたたまれない気持ちになります。
名前は自衛隊でも、あくまでも国防軍なのですから、
自治体に対しても、言うべき事は言えるという制度にしなくてはならないと思います。