探せば見つかるダム建設の残骸
途中、相良村の藤田という地区まで行くと、ゲートで閉鎖された奇妙な管理用道路らしきものが目に入る。近くで見てみると、「国土交通省」の看板が立っていた。グーグルマップで調べてみると、この辺りに国土交通省九州地方整備局の川辺川ダム砂防事務所ダム第二出張所があったようだ。
地元の人の話によると、「昔はダム建設予定地の見学にたくさんの人が来ていた」と言っていたが、おそらくこの道路から川に降りていったのだろう。ただ、木が生い繁っていて、川の様子は全く見えず、なにもわからない。445号をさらに進んで、トンネルを抜けた辺りに行くと、川面が見える場所があった。そこから見ると、ダム建設予定地とおぼしき辺りに、コンクリート構造物や柵などが散見された。造成された感じもある。
おそらくこの場所で間違いないだろうと思ったが、念のため、対岸(右岸)側に回って、確認することにした。すると、四浦トンネルを抜けたところに、こちらにはガードレールで閉鎖された奇妙な広場のようなものがあった。広場の広さは、普通自動車10台分ほど。ここもかつては、見学用のスペースだったと思われる。

コケむした紹介看板
立ち入り制限はないようなので、中に入ってみると、相楽村が設置した川辺川ダムの紹介看板があった。建設予定地はここで確定した。「水と緑を活かした村づくり」と題した看板には、ダムのイメージ図とともに、こう書かれていた。
- 川辺川ダムのはたらき
1. 洪水調節
80年に一度の大雨にも負けないダムの機能
2. 流水の正常な機能の維持
下流にいつも豊かな流れを
3. かんがい
流域の発展に欠かせない水の補給を
4. 水力発電
暮らしを支えるクリーンなエネルギーをつくります
かんがい、水力発電の記述があるのを見ると、川辺川ダムの目的が治水のみで確定したのが2007年なので、それ以前に設置されたものと推測される。看板は、一部がコケむし、剥がれかけていた。すっかり忘れ去られた遺物のようだったのが、大雨に降られた今となってみれば、感慨深い。

ダム建設予定地近くで、建設途中のまま打ち捨てられた「廃橋」
ダムとは関係なさそうだが、藤田地区には、橋脚らしき残骸も残っていた。途中まで建設して、打ち捨てられたようだ。廃道ならぬ、「廃橋」といった趣だ。長年雨風にさらされ、いい感じで自然に帰りつつある。
地元にダムがあったおかげで7月豪雨災害は免れたかなと思います。