1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 コンクリート「骨材・混和材料」
1級土木施工管理技術検定試験の学科試験のうち、土木一般の「コンクリート」に関する問題では、骨材・混和剤・配合・施工・品質・養生・鉄筋・型枠支保工と幅広く出題されます。
土木一般だけではなく、品質管理、専門土木(構造物・ダム・トンネル)などでも出題されます。
コンクリートと骨材の概要
コンクリートは、セメント、水、細骨材(砂)、粗骨材(砂利・砕石) + 混和剤量(コンクリートの性質を上げるための材料・薬剤)からできています。
骨材とは、砂利や砂のこと。ここでは骨材の形状(表面積・含水率・密度)などに関する問題が出題されます。骨材は粗骨材(砂利・砕石)、細骨材(砂・砕砂)に大別されます。
- 細骨材・・・10mmのふるいを全部通り5mmのふるいを質量で85%以上通るもの
※ コンクリート標準仕様書では5mmのふるいを通るものの質量百分率は90~100%と記されている。
- 粗骨材・・・5mmのふるいに質量で85%以上とどまるもの
骨材に関する問題での重要なポイントは「骨材の吸水率と含水率」
品質のいいコンクリートを作るには適切な水の量(単位水量)の調整が重要になります。
骨材の形状や、乾燥状態によって、本来コンクリートが作られる上で必要な水分を骨材が吸ってしまい、施工上必要な流動性を保つために水を増やさなければならなくなります。その結果、強度の低下やひび割れの発生につながってきます。
→つまり、単位水量を少なく品質のよいコンクリートを作るには、表面積・吸水率の小さい骨材が適している。
表面積大・吸水率大 | 表面積小・吸水率小 |
---|---|
砕石(砕いた石なので、角張りゴツゴツ) | 砂利(川の流れで角が取れ球体) |
密度の小さな骨材(スカスカで水を吸う) | 密度の大きな骨材(水を吸いにく) |
最大寸法が20mmの粗骨材(粒度が小さいほうが
同じ量で比較した場合、表面積が大きくなる) |
最大寸法が40mmの粗骨材 |
※同じスランプを確保するには左(表面積大・吸水率大)の方が単位水量を多く必要とする!
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
粗骨材の最大寸法が40mmの場合と20mmの場合の単位水量を比較すると,40mmの方が単位水量は大きくなる傾向にある。 |
→ 解答×。配合される骨材の質量が同じ場合、粒径が小さいもののほうが表面積が大きくなり単位水量も多く必要となる。
骨材の含水状態
骨材の含水状態には4段階ある。試験に出てくるのは絶対状態と表乾状態だけ!
- 絶乾状態…カラッカラに骨材が乾燥している状態。このときの密度を絶乾密度といい、骨材の密度はこの状態を標準とする。原則とし2.5g/cm3以上でなければならない。
- 表乾状態…表面は乾燥、内部が水で満たされている状態。示方配合ではこの状態を基準とする。
骨材の粒径判定実積率
骨材(砕石及び砕砂)の粒径を判定する数値で、砕石は56%以上砕砂54%以上と定められている。
※イメージとしては箱の中に砕砂、砕石をいれてどれだけ詰まっているか。55%を占めているということは、隙間が45%。粒がそろっている方がぎっしり詰まる。ゴツゴツとしている骨材の方が、すき間が大きくなる。ということは、粒径判定実積率が小さい骨材を使用すると、ワーカビリティーの良好なコンクリートを製造するためには必要な単位水量は増加する傾向にある。
骨材のすり減り抵抗
摩耗などによるすり減りに対する強さのことをいう。舗装用コンクリートやダムなど車の繰り返し走行、水の流れによる摩耗など、すり減りに対する抵抗力が必要な箇所では、骨材のすり減りに対する強さが定められている。
すり減り減量は舗装では35%、ダムは40%と定められている。
再生骨材
解体したコンクリート塊などを原料としたリサイクル骨材の総称で、品質の程度によって再生骨材H(ハイ;高品質)、再生骨材(ミドル;中品質)、再生骨材L(ロー;低品質)に分類される。
品質により使用箇所に制限がある。再生骨材Hは通常の骨材とほぼ同等な品質があり、レディーミクストコンクリート用材として使用できる。再生骨材Mは基礎などの地中構造物で使用。再生骨材Lは構造物以外で使用と、制限が設けられている。
混和材料(混和材・混和剤)
混和材・混和剤ともに、コンクリートの性能をあげるために使用される材料で混和材は、使用量が多く、配合計算上にも計上されます。混和剤は薬剤のようなもので、少量で使用されます。
- 混和材…フライアッシュ・高炉スラグ・シリカ等
- 混和剤…AE剤・減水材・流動化剤・遅延剤等
一番よく出題されるAE剤だけポイント解説!
AE剤を用いたコンクリートの特徴
エントレインドエア(微細な気泡)を一様に分布させ、凍結・融解に対する抵抗性が増す。また、ワーカビリティーが改善できる(同スランプの場合、単位水量を減らせる)しかし、空気量1%増加につき圧縮強度は4~6%減少する。
各種混和材料の特性は、設問無いに出題、実地試験にも出題されます。しっかり覚えておきましょう。
では問題で間違えやすい箇所をチェック!
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
AE減水剤を用いると、寒中コンクリートでは、水セメント比を大きくすることができる。また、凍害に対して抵抗性を高める。 |
→解答×。水セメント比(単位水量と類似する用語)は極力小さくする方が望ましい。混和剤を使用して「水セメント比をおおきくすることができる」のような、いいことのようにかいてあると×
シリカを混合したコンクリートは、通常のコンクリートと比べてブリージングが小さく単位水量が減少するので強度の増加や乾燥収縮の減少に効果的である。 |
→解答×。シリカを用いたコンクリートは、早期強度を抑え長期強度を増加させ、化学抵抗性も大きくなるが、単位水量が多くなるため注意が必要である。
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