崖崩落場所に立っていたのは・・・
近づいていくと、その崩落現場に立っていたのは総監と副官(秘書みたいなものです)でした。こんな早くに総監が現場にきているとは想像もしなかったので、私は挨拶とともに施設課の隊員であることを申告しました。
すると総監は、「施設課も台風シーズンはご苦労だとは思うがしっかり対応を頼むよ。慰霊碑が気になって朝早く目が覚めて様子を見に来たんだ。幸い慰霊碑に被害はなかったが、やはり工事の途中ということもあって崩落していたね。人的被害はないし、大したものではないが小さいところから大きな事故が起きるということを認識しておいてくれ。君も朝早くから崖を見に来たのだろう?施設課がそのような姿勢で臨んでくれているのなら安心だ。あとはよろしく頼むよ」といい、庁舎に入っていかれました。
さすがに「私の担当工事ではありませんので…」とは言えず、「はい」と大きく返事をして終わってしまいましたが、自分の考え方に対する甘さを認識するとともに、総監の細かいところに気配りされる姿勢に感動したところもありました。
私はその足で担当している岸壁の状況を確認し、異常がないことを当直室に報告するとともに、崖崩落については業者に対応させるよう調整する旨を伝え、事務所に入りました。
この時、施設課が持っていた工事で出た被害は、幸い崖の崩落だけで済みました。総監に言われる前に台風対策を取るのは当然ですが、総監からの指示があったからこそ、余計に施設課として念をいれたことが功を奏したと思います。