ところが、今一番多いのは施工図もロクにないどころか、現場を管理できる人間も満足にいない。嘆かわしいが、基本設計の図面を指さして、「この図面があるのに、施工図なんかいるの?」と真顔で聞いてくる人もいる。そんな風潮だから、まともな施工図が正当な評価もされず、施工図を描ける人がドンドンいなくなり、現場の品質が目を覆いたくなるほどに低下している。
今私がいる現場でも、まさしくそんなことが起こっている。見かねて私が施工図を描いたら「そんな図面描かなくても、現場は出来るでしょ?」と聞かれた。垂直じゃない壁、水平じゃない壁、平行じゃない壁に、改修工事で新たな擁壁を造るのに、一体何を基準にして寸法を追ってくるのか? せめて、その差を把握して調整代をサブコンに伝えておかないと、まともな作業は出来ない。
言いたいことは山ほどあったが、「描くなと言うなら、描くの止めます。ただ、今ある建築図面は現場の状況に合わせた図面になっていません。そのまま今の現場に当てはめようと思ったら、必ず現場から色々聞かれて、その都度考え、現場に伝えることになるので、時間がいくらあっても足りません。ただでさえ遅れてる工程がますます遅れていくと思いますが、いいですか?」と聞くと、「…じゃあ、時間があるなら描いていいよ」と返事が返ってきた。
モチベーションがグッと落ち込んだが、こんなことで神経を乱していたら自分が損するだけなので、気分を入れ替えて施工図を描き終えた。が、描き終えて、サブコンと職長に説明した日の夕方、またまた変更された内容のメールが来た。
決定する前に散々考え、一度決めたら二度と変えないくらいの覚悟で最終決定をしなければいけない。変更を繰り返すことが、どれほどの時間やお金のロスになるのか、分かっていない。たとえ、図面にする前の段階で多少時間が掛かろうと、徹底的に詰めておかないからこんなことになるのだ。施工図の重要性を理解していない人間は増えている。
改修工事で施工図を完璧に描こうとしてはいけない。
改修工事の図面は考えるための図面。
自身で検討事項を洗い出すためであり、明確なイメージを持たない施主や設計、浅経験者に検討を促すための図面。
改修工事において変更のない計画を立てることは不可能だと思った方がいい。人間があれこれ考えてもそこにある建物は変わらないのだから。
それよりも最初から変更ありきで、問題点にいち早く気づき、いち早く対案を出し、現場を止めたり手戻りを最小限にすることを目指すべき
改修工事で見えない部分を施工図書くのは結構至難の技です。ある程度想定しながら、施工図をかくわけですが、書いても現場でやってくれないときも多々あってがっくり来ます。
何のために書いたんだろうとかある。改修工事は図面だけでなく、現場とのすりあわせがとても大事な気がします。解体したら原図とも違うというのが何度も起こるので、決して施工図だけの話ではない気がします。
この記事には、大変納得。
改修工事の設計図面はしょせん参考図
昔の建物は竣工が無く、設計図で改修工事の図面を作図するので仕方ないが…
一番ビビったのが耐震改修工事で補強する梁が無かった事ですが…
改修工事の肝は現調と施工図が大事だと思います。
現調と施工図をしっかりすれば手戻りが少なくなると思います。
施工図はあるとないでは施工側としてはあるに越したことはないと思います。設計図の段階で寸法ものっていないような図面渡されても、監督が常にいるなら別ですがいない事のほうが多い。
納まりのわかるしっかりした施工図だと結構助かる事のほうがあります。
解体して予想外のこともありますが
毎度確認して、返答待ちをしていたら施工が止まってしまうこともしばしば…
まず、現場のトップに問題があると思う。古い建物にはその当時の図面があると思うが、付け足し付け足しを繰り返していると、建物の中心線がわからなくなるばかりか図面にないその場だけの施工もある。現場施工図を作製する前に以前の作業を聞く方が先決。
素晴らしい。施工図の重要性がわからない人が多すぎる。設計照査も含めた施工図は自分自身の為にも必要。