すぐに問題に対処する大切さ
所長の言っていることは理にかなっていた。確かに川の流速は見るからに速く、次に雨が降れば、大型土嚢がなければ、盛土材を投入しても流されることは目に見えていた。
しかし、土地の持ち主の問題と、設計の問題が立ちはだかった。それでも、所長の対応は驚くほど早かった。土地の問題は、工事用道路のルートを変更した際に、土地の地権者が違う場所に盛土材を投入する必要があったため、すぐに地権者を調べて、交渉を行った。土地の地権者も最初は顔をしかめていたが、所長がすかさず借地料を毎月支払うことを伝えると、二つ返事で了承してくれた。
また、ルート変更で盛土材の数量が減ることによる、工事用道路の安定勾配や計算、具体的根拠を発注者に示す必要もあった。ここでも、所長は当然のようにすぐに外部設計コンサルタントを呼び、自分の作成したルートに、具体的な安定勾配や計算上問題ないところで出来る限り近づけてくれと、外注した。コンサルを使って、ルート変更の必要性を実証したのだ。
工事をいかにシンプルに、簡単にできるか
結果的に、この現場では工期を1ヶ月も短縮した。最初の工事用道路作成の短縮がそのまま成果につながったと形だ。
所長は新米だった私に「工事っていうのは、いかに手間を減らして、シンプルにしてしまうかが重要。同じ結果が得られるのなら、足し算だけで済む方法と、複雑な割り算をしなければいけない方法のどっちを選ぶよ?」と問いかけてきた。
そして、「工事をシンプルにするためのお金は、準備の費用のようなもの、ここをケチって複雑なやり方をしたところで、管理も面倒くさくなるだけ。結果的に、不経済になることを知っておいたほうが良い」と付け足した。
現場監督には、高い管理能力も一つの求められるスキルだろう。しかし、それ以上に、現場を予測し、どれだけ慌てずに工事を簡単にすることができるかが大切かが、よく理解できた現場だった。
2800m3の盛土材が通常の雨水増で流されるようなところに重機で入るのって危なくないですか?そこまで緊急性を要するほど道路や民家が近いとか?
詳細がまったく分からないので何とも言えんですが読んだ限り、準備や土量、外部の設計入れたりってことは工期的には少なくとも半年くらいはあると感じました。
そしたら渇水期にやれば安全面と経済面の両方で良かったのでは?
全体的に不透明過ぎて疑問ばかり出てきてしまう印象でした。
長文になってしまい失礼しました。