トップセールスマンから人事教育へ
――飛田さんのOKUTAでのご経歴から。
飛田 恭助氏(以下、飛田さん) 1997年にOKUTAに入社し、約20年間営業畑を歩み、エリアマネージャーや執行役員営業部長を歴任しました。自分で言うのも恥ずかしいですが、社内表彰にて営業職として3年連続を含む5度のMVP(年間最優秀営業)も受賞し、初代「グランドマスター」という称号もいただきました。
これはキャリアパス上にはない営業の最上位で、殿堂入りのイメージです。営業の売上、完工、利益、契約率、お客様の満足度、会社のミッションに従っているかなど総合的な能力(スキル)と功績を認めていただいたものです。
その後、営業部部長を拝命していましたが、当社の奥田イサム会長から「グランドマスターを活用した教育事業に力を入れてほしい」と2018年4月に打診をいただき、人事教育部を預かることになりました。
――人事教育部長に異動された経緯は。
飛田さん 営業部員の中でも、理論・体系立てて教えられる人もいれば、「オレの背中を見て覚えろ」という方もいて様々でした。自分はもしかしたら前者かもしれないと考え、営業部の責任者でいるよりも、広義の意味でいろんな育成や教育に携わった方に向いているのではと思いました。
もちろん、営業は会社の要ですから、そこに軸足は置きつつ、より多角的に広い視野での教育ができれば、営業部にいなくとも、営業はできると思い、奥田会長の拝命に対して「是非やらせていただきます」と回答しました。
――リノベーション専門学校の設立のキッカケは?
飛田さん 私が在籍していたOKUTAでは、メンテナンススタッフや多能工を内製化しています。そのため、作業効率は向上し、クレーム・トラブルの防止や最終的には利益のアップにつながっていました。また、OKUTAには、「OKUTAカレッジ」という充実した研修制度があり、教育・育成をしっかりやると企業の足腰が強くなることを経験上理解していました。この教育システムをさらに進化させ、より育成や訓練に特化した”リノベーション業界最高峰の教育機関”を結成しようというのがキッカケです。
職業訓練は厚生労働大臣と埼玉県から認定を受けており、営業職からリフォームアドバイザー、多能工やメンテナンス技術に特化した技術習得まで、幅広くより専門性の高いスキルを身に付け、活躍できる人材の養成を目指しています。
――こうした総合的にリノベーションを学べる専門学校はそうそうないと思いますが。
飛田さん ありそうでなかったですね。OKUTAにはしっかりとした教育スキームがあり、それを専門学校に移管した形にし、よりリノベーション業界に広めていくミッションを追っています。
営業こそ技術者という理念
――営業職では埼玉県初の職業訓練の認定を受けているが、営業人材の育成にも力点を置いたワケは?
飛田さん リノベーションは、異業種からの参入も増えています。競争が激化すれば、技術力も向上すると考えてはいますが、その途中のプロセスで怪しげな業者にお客様が捕まってしまう課題もあります。実際、そういう声も届いていました。
私は図面を描いたりする技術畑出身ではありません。しかし、各社でリフォームアドバイザーやリノベーションコンサルなど様々な呼称があるように、営業ではお客様に正しい情報を、正しく伝えることがとても大事になります。
施工管理やインテリアコーディネーターは技術者ですが、私は”営業こそ技術者”と認知しています。当初は感覚で営業をやってきましたが、途中から理論的に学び、お客様にしっかりと伝えるには感覚と理論の両輪が必要だったことに気が付きました。
OKUTAには、「営業を科学する」というスローガンがありますが、営業には根拠があり、理論立てられているものです。営業職を中心に、またそれを束ねるマネジメント職も営業力です。
――リノベーション業界は、一般的に育成が得意ではない?
飛田さん そう思います。決められたモノを決められた通りに販売する営業は、台本やマニュアルでトレーニングすれば一定の成果は残せます。例えば、大手企業は数千人もの社員を抱えていますから、このスタイルとなりますね。しかし、リノベーションは一つひとつ中身が異なりますから、営業の中でも最も難しい職種ではないでしょうか。