リノベーション業界でキャリアアップ・チェンジを目指せ
――リノベーション業界は離職率も高い?
飛田さん 一般的に、新卒は3年間で3割離職すると言われていますが、リノベーション業界は4割と高いんです。その理由は、仕事の継続が難しいことと結果が後からついてくるためです。リノベーションの場合、お客様からの評価は住んで使っていただいた後になるため、直接感謝の言葉を聞くことが少ないんです。また、「ものづくり」の現場なので、いろんなトラブルも発生します。出来上がった時には「イメージと違う」であったり、「言った、言わない」の話もあります。
結局、バーチャルの段階でお客様は契約します。しかし、出来上がった成果物がお客様の思いと一致するかについてはシビアな世界で、うまくいかなかったときにはお客様から辛辣な言葉を投げかられることもあるでしょうし、するとプレッシャーに耐えきれなくなり、辞めてしまうこともあるでしょう。だからこそ、営業として正しいお客様との打ち合わせの仕方、向き合う方法や完成物の作り方を学んでほしいという気持ちが強いです。
――定着率の向上も、リノベーション業界全体のテーマのように思えますが。
飛田さん そうですね。会社からすれば、大枚をはたいて結婚資金を蓄え、結婚が成立したと思ったら、離婚されてしまうようなものですから。また、学生さんにとってもそういう形で退職することはプラスに働きません。
採用の段階から、企業側も「この学生が欲しい」と真剣に思い続け、学生の側もこの会社で真剣に働く未来が見えるという双方のマッチングが大事です。ですから、数合わせの採用を避けることが肝要です。人材開発は採用から始まると言っても過言ではありません。
――営業手法の伝授も大切ですが、職人の育成についてはいかがでしょうか。
飛田さん OKUTAは、職人を内製化することで収益を確保しています。特に、リノベーションに特化した多能工育成に取り組んでいます。古いタイル張りのお風呂からユニットバスに変えると、職人も7~8工種必要になります。2人の職人でその工種をこなせば、工期も2日間短縮でき、コストカットも可能です。
また、住宅のメンテナンスでは、OKUTAで行っている住まいの便利屋「Handyman(ハンディマン)」のシステムを広めていきたいと考えています。これは、簡単な住宅リフォームをはじめ、屋根や外壁の塗装・メンテナンスハウスクリーニング・水まわりのサポートまで、幅広くお客様の生活をより便利で快適にするサービスを提供するものです。多機能工や家のちょっとした困りごとを解決する技能も身に付けてもらえます。。
好敵手が存在することで業界も健全化する
――リノベーション業界全体を活性化する志はどこから生まれたのでしょうか。
飛田さん 奥田会長は昔から教育に力を入れ、「OKUTAカレッジ」を年々充実させてきました。今回、私は社団法人で独立しましたが、、OKUTAへの研修はもとより、自分のつくったカリキュラムをより広めていくことで、リノベーション業界を盛り上げていきたいと思っています。
奥田会長は、好敵手が存在する業界は健全であると考えています。健全な競争がないとリノベーション業界が廃れます。好敵手がいてもOKUTAのブランディングが尖っていれば、負けることはありませんし、仮に好敵手が成長しても、さらにその上を行けば良いわけで、お互いに競い合う業界を目指したいんです。だからこそ、私の身分も社団法人の代表理事であり、独立した組織となっています。
――比較的新しいリノベーション業界は、まだ整理整頓ができておらず、課題も山積みとなっている
飛田さん お客様が共働きですと普段、施工の様子を見ることはありません。それをいいことに、中には水洗いをせずに外装をする業者もいるんです。高圧洗浄で外壁の汚れをしっかりと落として、しかるべき下地の処理を行ってから、正しい外壁施工をしないといけないにもかかわらずです。
すると、出来上がったばかりならそれなりに綺麗でも、3~4年でおかしくなる話もあります。おかしいなと思って業者に電話しても、「現在使われておりません」と連絡が取れなくなったという話もあります。
これは確信犯の話ですが、業者自身が技術について理解せずに施工するケースもあります。誤解を恐れずに言えば、塗装を特に勉強しなくてもローラーを持てば、「今日からオレは塗装工」と言える世界ですから。
OKUTAがただ一度だけ赤字を出した年がありましたが、それは2005年に悪徳リフォーム会社が、全国の高齢者を騙し、不要な工事契約をさせるリフォーム詐欺事件が発生したときです。大手業者は影響を受けませんでしたが、真面目な中小の業者はその風評被害で潰れたところも多かったですね。
――これからの目指す研修は。
飛田さん 研修は、単発で良い話を聞いただけで終わってしまう傾向にあります。1週間も経つと2割ほどの内容も覚えていないというデータもありますが、それでは研修の意味がありません。結局、研修が実地に活かされていないケースが多いんです。
そこで少し費用をかけて頂いても、企業側に見返りの多い研修やOJTもしっかりできることを実施してこうと考えています。
――最後に改めて開校での思いを。
飛田さん 新築が年々目減りしていく中、大手企業もリノベーションに参入しています。リノベーションが文化となるよう、古き良きものを大切にしながら、長く使っていくという長期優良住宅の考えに基づいて、20年に1回メンテナンスすれば200年持つような世界を目指していきたいと思います。
そのためにはOKUTAだけではなく、いろんな企業に正しいノウハウを提供していきたいという思いがあります。エビデンスのあるノウハウを提供するので、結果は必ず出ます。安心してお任せください。
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