ずっと同じ仕事は退屈なので、管理職になった
――管理職に就いたのはいつですか?
富田さん 3年半前に砂防の出張所長になったときです。
――整備局に女性の管理職は何人いるんですか?
富田さん 局採用の技術系職員では、まだ私しかいないです。

出張所長として、施工業者と現場で打ち合わせを行う富田さん
――「管理職になりたい」と思っていたのですか?
富田さん 「ずっと同じ仕事のままなのは退屈だな」という思いはありました。それで管理職を拒まなかったという感じです。今は「女性活躍推進の波に乗っていけるんだったら、行けるところまで行ってみよう」と思っています。管理職になりたいと言うより、変化を楽しみたいという感じですね。
――管理職として心がけていることは?
富田さん 若い職員に対しては、「細かく指示しない」よう心がけています。向こうから聞かれれば答えますが、なるべく本人の自主性に委ねたいと思っているからです。例えば、部下が私が求めている水準の70%ぐらいをクリアしていたら、本筋は合っているのでOKと考えています。「じゃあこれ任せるね。困ったら聞いてね。」という感じでやっています。
結婚、出産、転勤しても仕事を続ける女性は、まだまだマイノリティ
――女性のキャリアアップについて、どうごらんになっていますか?
富田さん 私の同期には、土木系の女性技術職員が2人いましたが、2人とも退職しています。ここ数年でかなり変わってきてはいますが、10年くらい前までは、整備局も「女性が働き続けにくい職場」だったと思います。残業出来て当たり前の雰囲気だったり、転居を伴う異動があるからです。育休も、今は最大3年間取れるようになっていますが、昔はそんなにはとれませんでした。
実際、転勤がネックで辞めていくケースもあります。ずっと同じところにいる女性もいますが、転勤は昇格の一つのタイミングなので、なかなかキャリアアップしない女性が少なくありません。
子どもが小さい時は、夫や家族の協力はもちろんのこと、それでも働き続けることが大変なこともあると思います。でも、やめたくないと思うのであれば、民間の病児保育施設の利用や、最近はテレワークの活用などもあるので、まずは周りに相談して欲しいと思います。
――なんか、富田さんが「切り開いている」ように見受けられます。
富田さん それはそうかもしれません。リクルートを担当しているときに、上司から「あなたは良いロールモデルになる」という話をされたことがあるんです。その時私は、結婚・出産・転勤をしても仕事を続けているマイノリティな存在だったからです。
職員にはそれぞれ思いや事情があるので、すべての女性職員が私のようになる必要はないと思っていますが、若い職員が結婚・出産後もキャリアアップしたいと思ったときに、こういう女性の働き方もあるのかと参考にしてもらえれば良いかなとは思っています。
「自分にはできない」ではなく、「自分はこうしたい」が大事
――いろいろ相談に乗ることもあるのですか?
富田さん ええ、女性職員から相談されることは多いです。男性より女性のほうが相談しやすいことも少なくないからだと思います。小洒落たイタリアンレストランとかに行って、話を聞いたりしています。私にとってもストレス解消になるので、大歓迎なんですけどね。

後輩の女性職員と歓談する富田さん
――例えばどういった相談を受けるんですか。
富田さん 職場の人間関係、家庭のこととかですね。例えば、小さな子どもがいて、定時に帰っているんだけど、職場のみんなは忙しく働いているので、罪悪感を感じて悩んでいるとか。私も同じだったので、「そんなの気にしなくて良いよ。いずれ子どもは大きくなるから。」と言ってあげたりしています。
――「これからの人」へのアドバイスをお願いします。
富田さん 地方整備局に限らず、「こうじゃなきゃいけない」「自分にはできない」ということで、自分の置かれた状況について思い悩むのではなくて、「自分はこうしたい」ということを声に出して、世の中を変えていく気持ちが大事だと思っています。あまり恐れずに、自分が良いなと思う仕事に就いてほしいと思います。
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