三井デザインテックと三井不動産リフォームが統合
三井不動産グループにおける空間デザイン、リフォーム・リニューアル部門の中核を担う三井デザインテック株式会社と三井不動産リフォーム株式会社の2社が2020年10月に統合し、「三井デザインテック株式会社」としてスタートした。
今後、グループのシナジー効果を一層発揮し、多様化・分散化するユーザーの価値観に応え、暮らしやビジネスライフにおける空間創造サービスの提供を行う。
住宅のリフォームからインテリア企画提案、家具の物品販売、オフィス・ホテルなどの内装工事に加え、共用部工事や大型リニューアル工事などでの実績を活かしながら、最大の強みとするデザイン力に加え、コンサル力、コスト競争力の強化をはかり、これまで以上の企画提案を行うことを目指す。
「空間デザイン提案力で、不動産価値を高めていく」と語る三井デザインテックの斉藤健取締役執行役員経営企画部長に話を聞いた。
グループのリフォーム会社を統合し、新生「三井デザインテック」誕生
――三井デザインテックと三井不動産リフォームを統合した背景は?
斉藤健氏(以下、斉藤) 三井不動産はご存知の通り、ビルや商業施設、オフィス、ホテル、集合住宅と手広く事業を展開する総合デベロッパーですが、古くから住宅とビルは屋台骨で、現在では商業施設や海外事業も主力分野となり、また、リゾートやホテルの比率も増加しています。
その中でも、住宅分野では三井不動産レジデンシャルによる新築分譲事業と三井ホームの新築戸建請負事業、三井不動産リアルティの仲介事業が主力でした。そのうち新築分譲事業や新築戸建請負事業は人口増大が伴う経済拡大期のマーケット規模に成長を後押しされたビジネスでしたが、経済も成熟期に入り、少子高齢化や人口減少など社会構造が大きく変化する中で、マーケットのパイは長期的には縮小する時代へと突入しています。
そこで、建築ストックの増大、つまりストックマーケットのポテンシャルの高まりを捉え、三井不動産グループ住宅事業の成長戦略の一環として統合による新会社を設立し、ストックビジネスの強化、つまりリフォーム・リノベーション領域への積極展開を図ることとしました。

三井デザインテックが手がけたシェアオフィスの事例
――リフォーム・リノベーション領域についてどうお考えですか。
斉藤 もちろん、ポテンシャルの大きい市場だと受け止めています。昔のいわゆる「住宅スゴロク」では、まず若いうちはアパートやマンションを借り、結婚して子どもが小さいうちは狭いマンションを買い、最終のゴールとしていずれは庭付き一戸建てを購入する、というような人生設計が典型的なパターンでした。
しかし、価値観や人生の在り方も多様化した現在、結婚は当たり前では無くなり、単身で人生を全うする方も増えています。夫婦共働きで子どものいない「DINKs(ディンクス)」も増えています。また、家族や夫婦の役割も変化する中で、住まい方や用途も多種多様なニーズが生まれています。
当社は「空間創造事業」「空間デザイン事業」を生業として掲げており、新築か中古かを問わず、オフィスやホテルなどの業務系施設、一棟モノのマンションから個人の住宅までその用途も問わず、またソリューション手法もデザイン・工事・ファニチャリング(インテイリア家具商販)まで全てを一貫対応できること、そして、この幅広い領域での実績や経験から蓄積されるノウハウやセンスを、また別の様々な事業領域に横断的に生かしていく、この循環が我々の最大の強みです。
リフォーム・リノベーションというニーズは、ストックがあれば必ず発生するものであり、また、消費者の行動や価値観の変化は、そのまま空間の使い方やニーズの変化につながります。これらの変化に対応して、当社の広い事業ウィングを活かしたノウハウとスキルをもって高い空間価値とサービスを提供し、業界の中でも大きなプレゼンスを発揮していきたいと考えています。
――御社の強みはどこにありますか。
斉藤 当社はそのデザイン力を強みとして打ち出していますが、当社が言う「デザイン」とは意匠上のデザインだけでなく、お客様の持つ課題の解消に向けて「活用や使い方などもデザインしていく」というコンサルティングも含めて定義しています。その観点から言えば、例えば、昔は働く場所は会社、自宅は帰る場所と決められていましたが、今は働き方も多様化し、働く場所も自宅、会社、カフェなどと垣根が取り払われています。
つまり、場所とその活用は時代とともに変わります。当社は、新築・中古を問わず、用途を問わず、ソリューション手法も多岐に渡る形で一貫対応できる点が強みであり、多種多様な空間デザイン・設計・施工を手掛けています。そのノウハウやスキルを活かすことで、移り変わる場所と活用のニーズに対応して高い品質、価値とサービスを提供し続けていける力が、他社との違いであると考えています。