世界ではホウ酸処理が一般的
――日本ボレイトが行っている「ホウ酸処理」とは?
浅葉 主にホウ酸を含む原料を高濃度水溶液にして、噴霧や塗布して木部に含ませる処理方法です。
ホウ酸は海水や淡水、土壌などに含まれる天然物で、私たちにとって身近な自然素材です。腎臓の働きで排出できる哺乳動物には安全なものですが、シロアリなどの腎臓を持たない生物が摂取すると代謝が止まり、死に至らせるという特徴があります。
また、合成殺虫剤と異なり無機物のため、揮発することも無くなることもなく、効果が持続する点が大きな特徴になります。
世界に目を向けると、シロアリ対策ではホウ酸処理が一般的です。ホウ酸処理による防腐防蟻はオセアニアでは90年の歴史があります。日本では10年前の2011年に認定されて使用できるようになり、当社では「ボロンdeガード®」として展開しています。
――施工はどのように行っている?
浅葉 有資格者がホウ酸を水溶液にして、現場の木材に処理をします。高濃度のホウ酸をいかに木部に含ませるかがポイントで、水溶液での処理のほか、手の届かないところなどに確実に処理するために、粉状のものを散粉して隅々まで処理する方法、屋外の風雨にさらされる木部には固形状のものをあらかじめ木部内に施し、雨や湿気の水分量に応じ滲みださせる工法等など様々なメニューを揃えています。
施工者は、日本ボレイトと契約を結ぶ施工代理店にお願いしています。トレーニングを施し、資格を取得していただいた技術がきちんと確立した会社にのみ、ホウ酸を卸しています。
「ホウ酸濃度×処理量×雨対策」という方程式
――ホウ酸処理剤を商社に卸したほうが楽だと思いますが、あえて教育も含めて行っている理由は?
浅葉 まず1つは、ホウ酸を活用する「ボロンdeガード®」では保証をつけてサービスを提供しています。しかし、保証するには施工者が見えなければ不安が残ります。やはり、顔が見える施工代理店できちんとホウ酸処理について知識や技能が確立されている必要があります。
ホウ酸処理の効果には、「ホウ酸濃度×処理量×雨対策」という方程式があります。このうち一つでも不足していたら効果は発揮できません。ここまで行うにはトレーニングされた方が、きちんと施工することが絶対条件です。効果が発現できなければ保証ができませんから、手間ではありますが、トレーニングを経て販売させていただいているんです。
――施工代理店はおおよそ何社?
浅葉 113社です。また、資格名は「ホウ酸施工士」と言いまして、資格取得者は約300名です。
――施工代理店はどのような会社が多い?
浅葉 プレカット工場、断熱材の施工店、外壁工事会社に「ボロンdeガード®」について学んでいただき、施工代理店になっていただいております。やはり、第3者の視点が重要ですから。
工務店を施工代理店とすると、防蟻防腐工事は自社施工になりますが、工程を優先する可能性があります。たとえば、雨が降っていても工期を優先して「ボロンdeガード®」を施工すると効果が薄れる可能性があるため、上述のような専門工事業者に販売しています。