ホウ酸処理は「ペリー来航」
――一般社団法人日本ホウ酸処理協会の役割は。
浅葉 日本ボレイトはあくまでもホウ酸の材料を卸している会社ですが、日本ホウ酸処理協会では教育、育成、トレーニングを行っています。埼玉県・草加市に研修施設を建設し、4日間、座学・実地研修を行っています。また、新規で契約された施工店や、資格も2年で切れますので、更新研修も実施しています。今は新型コロナウイルスの影響で多くの人を集めることができないため、オンラインでの学習が中心です。代表理事は、日本にホウ酸処理を認めさせた立役者である荒川民雄氏です。
――日本ホウ酸処理協会のホウ酸施工士の価値については。
浅葉 まず現実的な問題として、ホウ酸施工士による施工でなければ、我々の保証が使えませんので、「ボロンdeガード®」での施工では必ず取得していただくことが条件です。また、資格取得者も名刺に資格を明記し、積極的に活用されています。
私はセミナーで、ホウ酸処理を幕末のペリー提督の黒船来航にたとえています。日本も2011年9月からホウ酸処理の技術が本格導入され、この10年間はホウ酸が広まった時代とも言えます。これから防腐防蟻工事の主役は合成殺虫剤からホウ酸処理にガラリと変わっていきますが、その歴史を変える担い手がまさにホウ酸施工士であると思います。この点は誇りに思いながら仕事にあたっています。
また、施工の神様で取り上げられていた「大型パネル」にもホウ酸処理を組み込んでいただいております。
建材の重量化、担い手不足の観点からもこれから大型パネルが普及していくと考えています。ホウ酸は雨に弱いですが、パネルを制作する際にホウ酸処理を施し、断熱材を入れて現場に納めることで、雨が当たらないようホウ酸処理ができるため、大型パネルとの相性が良いんです。
ホウ酸の普及率は3%も、いずれ100%に
――普及という観点では、まだまだ合成殺虫剤のほうが一般的です。
浅葉 ええ。100人にきちんと説明できれば、100人全員がホウ酸処理を選ぶと思っていますが、防腐防蟻業界全体での普及率は3%に留まっています。
いずれ100%にシフトしていくと確信していますが、現状でなかなか浸透しない理由には、一部の工務店やシロアリ防除業者の存在があります。この両者からすれば、現行の合成殺虫剤のほうが使い勝手がいいんですよ。工務店やハウスメーカーにとってはイニシャルコストを安くしたいという意向と、シロアリ防除業者にはイニシャルで儲けられなくても5年ごとに粗利90%の数十万円を確保したい考えがあります。これは日本でずっと行われてきた業界での慣習です。
こうした状況を打開するために、施工代理店が中心に「シロアリポリス」というシロアリ駆除業者検索サイトを立ち上げました。このサイトの特徴は、当社の独特のシステムにより反社会的勢力を排除しており、その上でホウ酸処理業者を選択できます。
また、当社の公式LINEでは「この虫、しろあり?」というサービスも行っています。家に出てきた虫をスマホで撮って送っていただければ、毒があるのかシロアリなのかなどをアドバイスしています。こちらも便利ですので、2,000人ほどの登録があります。
ほかにも、YouTubeチャンネルも解説していますが、こうした普及活動を通して、いつの日かホウ酸処理が当たり前の時代になるよう邁進していきます。
比較すると見えてきた!「合成殺虫剤」と「ホウ酸」のメリット・デメリット ーシロアリ対策で大後悔をしないためにー / YouTube(日本ボレイト)
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