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福岡県出向中の国交省キャリアに仕事のやりがいなどを聞いてきた

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公開日:2021.06.22 / 最終更新日:2022.08.16
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都内再開発Pでは関係者の利害調整に苦心

西川昌宏さん 福岡県県土整備部長(国土交通省から出向)

――これまでで印象に残っている仕事は?

西川 やはり東京国道事務所ですかね。非常に大変でしたけど、いろいろ貴重な経験ができました。現場に何度も足を運びましたし、調整なども自分が出ていきました。自ら出て行かないと、動かないことが多かったので。

――大変だったことは、例えば?

西川 ちゃんとした枠組み、ルールがないところで、走りながら物事を決めていったところですかね。バスタ新宿では、JR東日本、バス会社と調整したのですが、道路管理者はバス会社に対して基本的に権限がないので、対等の立場での交渉になるので、いろいろと大変でした。

バスタ新宿は、ターミナル整備は国土交通省が行いますが、運営はバス会社が行います。ただ、バス会社は各社バラバラなので、運営を行う会社を新たにつくってもらい、この会社と道路管理者が協定を結ぶことにしました。この協定の条件を巡って、かなり議論しました。

渋谷の場合には、JR東日本だけでなく、東京メトロや東急との調整が必要なうえ、そこに東京都やデベロッパーも入ってきました。道路管理者はすべての関係者の利害関係を調整する立場なのですが、これを事務的にやっているとなかなか進まないので、あっちに行って調整し、こっちに行って調整するという感じでやっていました。けっこう勉強になりました。

道路を「賑わい空間」にするのは良い政策

――道路のプロとして、「ウォーカブルなまちづくり」をどう評価しますか?

西川 個人的にはどんどんやるべき政策だと思っています。自分の仕事として直接関わったわけではないですが、道路局の一員として、局内での議論の場に参加したことがあります。道路に賑わいが欲しいというニーズは、以前からあったのですが、いろいろな制度がカベになって、なかなかできなかったところがありました。当然どこもかしこもやるのはダメですが、場所を限ってやる分にはスゴく良い取り組みだと思っています。

こういう政策が出てきた背景には、環状道路やバイパスが整備され、本線の交通負荷が減ってきたことがあります。本線沿道には人が住んでいたり、店が並んでいたりするので、従来の道路の使い方を続ける必要はないというのがベースにあるんです。昔はまちなかを車が走らざるを得ませんでしたが、今はまちなかを車が走らなくても、ちゃんと交通が成り立つようになってきているので、こういう政策を打てるようになってきているわけです。

――「無電柱化」は実際には進んでいない印象がありますが。

西川 東京国道事務所にいたとき、実際に無電柱化の工事をやったことがあります。現場感覚で言えば、地元住民や電力事業者など関係者が多くて、とにかく調整が大変だったという覚えがあります。「総論賛成、各論反対」ということもありました。地上機器の設置場所をどこにするかの折り合いがつかなくて、スゴく時間がかかりました。

住民全員が「無電柱化は大変結構だが、機器を俺の家の前には置かないで欲しい」という感じで、調整に手間取ったことがありました。無電柱化があまり進んでいないとすれば、予算が足りないということもありますが、それよりは関係者との調整がネックになっている部分もあると思います。調整ができないと、予算も付けられませんから。

進まない原因のもう一つは、コストの問題です。浅層埋設などが可能になったり、昔に比べれば徐々に改善されてきていますが、整備延長などの数字として現れてくるのはもう少し先になるかもしれません。

土木技術者は「わかりやすいメッセージ」が苦手

――土木広報について、どうお考えですか?

西川 私自身、土木の広報については苦労してきました。われわれ自ら情報発信しても、なかなか信用してもらえないようなところがあると感じています。土木の理解者を増やして、その方々に発信してもらうのがベストかなと思っているのですが、理解者がなかなか増えなかったという経験があります。

30年止まっていた東京外環を動かそうとしたとき、私はPI(パブリックインボルブメント)の先駆けみたいな取り組みを現場でやっていました。いろいろな広報紙を配ったり、オープンハウスを常設し、1日中説明したりしていました。地道に説明しているうちに、理解してくれる住民の方々がチラホラ出てきて、その方々を通じて理解が少しずつ広がっていったということがありました。

そのためには、住民の方が情報発信できる易しい内容の情報を、われわれが発信していかなければならないなと感じたものです。「わかりやすいメッセージ」を出すということですね。ただ、この辺は土木の技術者にとって、苦手な部分なんです。

そもそも土木の人間には、過去の経緯もあって、事業に関する数字をあまり出したがらないという面があります。数字を出すと、その根拠はどうなっているのか、計算方法は適切なのかとか、いろいろと突っ込まれるリスクがあるからです。最近は少なくなってきているようですが、そういう体質が「わかりやすいメッセージ」が出せない一つの原因になってきたのかもしれません。

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四国の犬
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