でも、建設業界で「テレワーク」って何やるの?
ワクワクな気持ちを一旦落ち着かせ、冷静に考えてみた。
そもそも、建設業界で”100%のテレワーク”は正直難しいと思う。現場に赴かないと始まらない仕事だからだ。
施工管理アプリを使って、デバイスのモニターを見ながら現場に遠隔指示を・・・なんて話も最近聞いたりするが、クライアントの監督員ならともかく、うちの会社の人たちにそれが許されるとは思えない。
じゃあ、結局うちの会社で「テレワーク」は無理ということか?
答えは、NOだ。
理由は、施工管理のお仕事は、現場が100%ではないからだ。
クライアントとの打ち合わせや積算、工事図面の作成、資材注文等々、現場以外の仕事もたくさんある。それらは別に、会社に居なくてもできる仕事だ。スマホと、積算や作図用のアプリの入ったPCがあれば、自宅でも問題なく仕事ができる。
また、私が常々疑問に思っていたことがある。
それは、外現場の人たちが、会社に来て出勤と退勤の打刻をする必要があるのか?ということだ。
会社と現場が近いならまだしも、どうしてわざわざ会社に来てタイムカードを押し、遠くの現場に行き、帰って来てデスクワークをしているのか?
しかも、巷はコロナ禍だ。移動が増えるということは、感染リスクがあがるということでもある。ただでさえ少ない人数で多くの業務をこなしているわが社にとって、1人の感染は会社の危機にもつながる。
私は前々から密かに思っていた。「そこは直行直帰でいいじゃない。デスクワークは自宅でしてよ!」と。
善は急げ!助成金ゲットまでの道のり
こうなったら善は急げだ。さっそく私は上司に相談し、社長の承諾を得てもらうことにした。いつもはPC1台購入するのに、あれやこれやと理由を書き連ね、社長の承諾を得るのに約3か月は掛かっていた。
たが、さすがに「無料でもらえる」だけあって、今回は「いいんじゃない?」の一言が早かった。いや、待てよ。「無料だから・・・」ではなく、「社員の健康を守るためだから」ですよね?社長。
肝心なのは、ここからだ。今回説得しなくてはならないのは、社長ではなく、助成金申請の提出先だ。申請が通らなければ全てが水の泡になる。何とか「わが社におけるテレワーク環境の構築」をしなくては・・・。
まずは、必要機器の書き出しから取り掛かった。
1.ノートPC
これはマスト!でも欲張って必要数以上は申請しない。あとで追及されると困るから・・・。
2.スマホ(現ガラケー使用者用)
自分の会社用スマホもついでに申請。事務職はスマホ要らんでしょ?という意識は、この際変えていただこう。
次に、クラウド環境の構築をイメージする。
1.Office 365を契約
1人あたり1TBのOnedrive(クラウド型データ保存ツール)が使えるのは嬉しい。会社PCと自宅ノートPCのデータ共有と、Office各種アプリの共有に使用。
2.KING OF TIME(クラウド型勤怠管理システム)を契約
これで不毛なタイムカード打刻のための出社にサヨナラだ。
3.Microsoft Teamsのインストール
- 社員の業務予定表を共有:社員の業務見える化が可能に
- お知らせデータのアップロード:事務所周辺エリアのコロナ感染者情報を共有
- チャットツールによる個別連絡:「○○さーん、出勤打刻忘れてますよ~」などの連絡がスムーズに
- Web会議も利用可能:今年の忘年会はリモートか?
これらに、テレワークでの必須項目として明記されているセキュリティツールと、在宅での図面作成業務に必要なアプリケーションを追加して・・・、うむ。何とか形になりそうだ。
お役所案件だけあって必要書類は細かく指定されていて、揃えるのはそれなりに大変だったけれど、どうにか期限までに申請が完了。かくして無事に、助成金の「支給決定通知書」の通知をいただくことができた。
実際に助成金がもらえるのは、申請したツールを使用したテレワークの後(実績報告書提出後)というのが不安なところではあったが、社長から「とにかく準備を始めたのだからやってみてください」という有難いお言葉をいただき、わが社なりの「テレワーク」を開始、現在に至る。(助成金は無事、満額受給済み)