高値が続く木材価格。ウッドショックはいつまで続く?
“ウッドショック”が、依然として住宅業界に大きな打撃を及ぼしている。
全国建設労働組合総連合(全建総連)の「ウッドショックによる工務店影響調査(第2回)」(2021年8月時点。32都道府県、273社回答)によれば、5月時点の第1回調査と比較して木材の調達状況は51%が「悪化」と回答。また、木材価格の実情でも「大きく値上がり」「若干値上がり」が93%で、高値が続いている状況だ。
ウッドショックへの関心は一般消費者の中でも高まっており、株式会社リクルートの住まい領域の調査研究機関であるSUUMOリサーチセンターの調査によると、注文住宅検討者の72.8%がウッドショックを認知。65.3%の人が関心を寄せており、実際に影響を受けた人は39.2%という結果も出ている。
今年1年、住宅建築業界に激震をもたらしたウッドショックだが、国産木材の調達により外国産材に依存しない体制を目指す、一般社団法人日本木造分譲住宅協会(以下、木分協)の菊谷憲太郎氏らに、ウッドショックの動向について話を聞いた。
合板が過去最高値に
――8月調査の木材の調達状況では、5月と比較して「悪化」が51%でした。11月に入ってからはいかがですか。
谷口猛氏 8月はどこのハウスメーカーや工務店も木材調達はかなり厳しかったと思いますが、11月に入ると多少改善基調となっています。不足している材料については、ウッドショックの発生当初は柱が、次に梁がそれぞれ不足する流れでしたが、現在は住宅の壁や床に使う合板が不足しています。
――コンテナ不足も要因として指摘されています。
谷口 それも一つです。単板積層材であるLVLも不足しています。ロシアから中国を経由して日本に輸入する材料ですが、コンテナを手当てできない状態です。新型コロナの影響で検査も厳格になり、中国で2週間程度待たされている状態にあります。
――あらゆる輸入商品に言えることですが、日本は高いカネを払わないため、買い負けしている状態も指摘されています。
谷口 確かに、ウッドショック発生時ではそうだったかもしれません。しかし、その後はアメリカの住宅需要も下火になりました。木材価格が暴落したため、価格も落ち着きを見せたため、日本に木材を売ることになり、アメリカのウッドショックは一服感を見せています。
――ウッドショックは今後もしばらく続きそうでしょうか。
谷口 そうですね。国内の着工件数が減少していない中で、ウッドショックの影響で着工が遅れ、今も常に物件が蓄積された状態で捌ききれていません。
ハウスメーカーは3月期決算が多数で、年度末までに引っ越しを希望される施主も多いです。こうした背景から3月完成を目指して工事を進めている案件も多く、12月以降も木材不足は続くと想定されます。