悪魔(失礼)のような「佐藤さん」
一方、もう1人の佐藤さんは、天使の佐藤さんと同じ現場の土工事の職人仲間で、年齢も天使の佐藤さんと同年代の方でした。
お察しの通り、とってもアクの強い人で、何でもズケズケと好き放題に言い放つ姿が印象的でした。職人の仲間内で集まると、決まって人の悪口を言い始めます。そこに、天使の佐藤さんがフォローとして入るのが、お決まりのパターンでした。
ただ、この悪魔のような「佐藤さん」は、悪気があるわけではなく、気持ちに正直に生きているような感じでした。口八丁手八丁で、仕事モードに入るとものすごい勢いで、次々と仕事を進めてくれる職人さんでした。
誰かが何かを手伝っていると、「こら〜、はよせんかい!」と鼓舞してくれる、とってもいい職人さんです。現場管理をする立場の私としては、工程をガンガン進めてくれて、すごく助かっていました。
業者の仲間内からは、尊敬と畏怖の念で絶対的な存在だったと思います。
この「天使」と「悪魔」の名付け親は、私が勝手に付けたのではなく、元々は現場管理をしていた職場の先輩が付けた名前でした。先輩は、他人のことをズケズケと話す佐藤さんの話をいつも面白がって聞いていました。
細かくは書けませんが、過去にいくつもの武勇伝があり、悪魔の佐藤さんは自慢話をするのが好きな方でした。かといって悪いことばかりではなく、仕事をし始めたらチャッチャと早く片付けてくれるので、非常に貴重な戦力となってくれていました。
年齢も定年近い方でしたが、20代の若い女性を見ると、その当時でもナンパのように声を掛けていました。まさに、『本能に従って生きる』を信条とした方だったのかもしれません。
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2人の佐藤さんから学んだ”現場での教訓”
初めての建設現場で出会った、とても対照的な2人。
同じ土工事の会社に属していて、休憩時には自分も会話に加わることも多かったのですが、仲間の輪としては非常に居心地が良かったです。
これは、天使の佐藤さんの心がとても広かったからなのか、それとも悪魔の佐藤さんが天使の佐藤さんへ配慮していたからなのかは分かりませんが、両極端な佐藤さんが活躍する現場はとても楽しいものでした。
2人の佐藤さんから学んだ、現場における貴重な教訓は、お互いの長所と短所を合わせると非常に強力なチームが出来上がる!ということでした。
今でも、「佐藤さん!」と声を掛けた時に、2人の佐藤さんが同時にこちらを振り返る姿を想像して笑ってしまいそうです。
わたしは電話恐怖症になった。
なので今は基本全てメールにしてもらっている。
忙しいときほどメールの方が見返せるし、間違えなくていい。