掘削床の「地層」に、もっとご注意を!
問題が発生したのは、ある夏の夕刻。どんどん雲行きが怪しくなり、ついには土砂降りの雨によって、基礎工事をしている部分が水没しました。
しかし、午後5時前でちょうど職人さんたちは作業の片付け中でしたし、私も明日になれば水は引くだろうと気楽に考え、帰路に就きました。
そして次の日、現場へ向かうと、想定外にも現場は昨日とほぼ同じ状況でした。数cmぐらいは水位が下がっていましたが、全く作業が出来る状態ではありませんでした。
「なぜ水が引いていないの!?」
私の頭の中はパニックに陥りましたが、ゆっくり考えている余裕はありません。ありったけの水中ポンプで水替えを始め、ようやく昼過ぎになって、全部の水を替え切りました。
が、しかし、その日の夕方、また土砂降りの夕立ちに見舞われたのです。
また、やり直しです。肩を落としても、天気には勝てません。その後も、夕立ちと水替えの苦しいイタチごっこが続きました。
田んぼの埋め立て地
それから数日後、定例会議の場面で、昔からずっとお客様の施設を管理している担当者に、この水替えの話をしました。
すると、「昔この一帯は、田んぼでした。田んぼを埋め立てて出来た土地なので、ちょうど掘削床の深さあたりに、田んぼの水を溜めるための地層があったのでは?」という返事。
会議後、改めてボーリング調査の図面を見てみると、確かに「砂層」に挟まれて「シルト層」と書いてあります。
「水が溜まらないと田んぼの意味がないですからね、そういうことか!」などと妙に自分で納得してしまいましたが、今でも工事前に気付くことは難しかったと思っています。
掘削工事の排水計画では、くれぐれも掘削床の地層に注意しましょう。
私は土方ですが、シルト層の上には川砂層が在ることが多い様に思います。そこには雨水が滞留し、掘削をすると現場が周辺の釜場になってしまいます。
水替えの計画はその都度、組に提案しますが最低でもベースに水中ポンプ用の釜場と水が土を引っ張らない様にするためにも簡易山留めをしっかりとしノッチタンクを用意していただければ当初経費が掛かりますが、最終的には天候による水替ぃの常雇代や工程の伸びが抑えられると思います。